現実味を増す“ソフトウェア定義メモリ”
徹底解説:次世代メモリ技術「NVDIMM」、不揮発性メモリはストレージをどう変える?(2/2 ページ)
メモリの再定義
ここでソフトウェア定義のメモリ(SDM)がその真価を発揮する。メモリが永続的になるなら、他の永続ストレージを補完するために使用できないのだろうか。SDMの理論は、全てのメモリとストレージを1つのサービスとして扱い、物理デバイス間のデータ移動にはソフトウェアツールを使用するというものだ。例えば、メモリオブジェクトがDRAMに作成されていても、そのうちめったにアクセスされない部分については、メモリスタックを通じて永続的なデュアルインメモリモジュール(DIMM)に移動し、その後SSDに移動することもある。
SDMはまだ初期段階にあるため、開発中のソフトウェアはIntelやDiablo Technologiesなどのベンダー製ハードウェアへの縛りがある。だが、この状況は変わる可能性が高い。というのも、コードの大部分(ドライバ以外)は、各種ハードウェアが混在している環境でも実行できなければならないからだ。
圧縮などのデータサービスを適用すると、洗練さという点で、これが非常に大きな進歩であることは明らかだろう。圧縮によって、永続的なNVDIMMの実効容量が5倍増加するだけでなく、データをメモリに転送する時間も5分の1に短縮される。レプリケーション、イレージャーコーディング、暗号化、インデックス作成などのデータサービスは、NVDIMMに保存されたデータに対しても実行可能だ。
ソフトウェア定義のストレージモデルがオールメモリ構成にも拡張されると、幾つかの興味深いアーキテクチャの進歩を後押しする可能性がある。8社のベンダーから成るHybrid Memory Cube Consortiumが推進する構想「Hybrid Memory Cube(HMC)」は、DIMMの従来のパラレルバスを、多数のパラレルチャネルを備えた低消費電力のシリアルバスシステムに置き換えようとしている。このパラレルチャネルは、現在のサーバにおける個々のPCIeリンクのようなものだ。
HMCのプロセッサには最大32GBになると見込まれるL4キャッシュ層が追加で1つ用意される。この非常に高速なDRAMで構成されるキャッシュ層により、パフォーマンスが劇的に向上する。また、HMCのプロセッサにはモジュール外の大容量DRAMが存在し、ここに不揮発性メモリが含まれる。これにより、圧縮を適用する前でも、実質的なシステムメモリ容量は非常に大きくなる。なお、この構想は2017年後半の実現に向けて動いている。
2018年にはもう1つの革新が登場する可能性がある。それは、メモリとSSDのストレージプールをクラスタ内で同格のものとして扱えるようにする取り組みだ。これが実現すれば、永続的なシステムメモリからSSDや別のクラスタノードにデータを直接移動できるようになり、内部バスの負荷が大幅に削減される。SDSの場合と同様に、このフローは仮想マシンまたはコンテナ内で実行されるデータサービスで制御できる。
SDMの鍵はベンダーが開発しているデータサービスツールにある。このようなツールはNVDIMMの種類によって異なる。
NVDIMM-Nはハイブリッド型の不揮発性メモリで、読み取りと書き込みの処理が非常に高速なDRAMとして使用できる。データ転送の実行にCPUレジスタとメモリ間のコマンドを使用することは、ソフトウェアエコシステムに大きな変化をもたらす。現行のOSでは、メモリの特定のセクションが永続化されるタイミングを認識することはできない。だが、スタック全体でベンダーがOSのアップデート、新しいドライバ、互換性のあるアプリケーションの開発に取り組んでいる。
その一方でNVDIMM-Nは、オールフラッシュ型のNVDIMMと同様に、ベンダーのドライバを使用することで、DRAMが4KB単位のI/Oブロックを使用する超高速ストレージドライブとして認識されるようにしている。最初の時点では、DIMMの容量はDRAMとバックアップフラッシュメモリが同じ容量に制限される。そのため、フラッシュメモリを拡張してその性能を最大限に発揮するにはEnmotusやPlexistorのような企業が提供するマイクロ階層化ドライバを追加する必要がある。
NVDIMM-Fはオールフラッシュだ。ブロック単位のI/Oアクセスメカニズムとベンダーのドライバを使用してメモリをドライブとしてOSに認識させている。アプリケーションの変更は不要だ。ただし、NVDIMM-Fの高速さは、NVDIMM-FがNon-Volatile Memory Express(NVMe)型のアプローチであることを示している。ドライバの設計にSCSIのI/Oスタックではなく、循環キューを採用することで、オーバーヘッドを削減して処理を大幅にスピードアップしている。
3D XPointなどの新しいテクノロジーは、アクセス性能を大きく変えるだろう。こうしたテクノロジーを採用した製品は、標準的なNANDスキームではなく、NORデバイスとして設計される。つまり、ゲーティングロジックを用いて、読み取りと書き込み用のアクティブなセルを選択し、本来備わっているバイトアドレス指定能力を実現している。同様に、こうしたテクノロジーでは、まずドライバを使用してブロック単位のI/Oを処理してから、ドライブとして認識させるようにしている。NVDIMM-Nと同様に、ドライバとOSの機能が急速に進化すれば、CPUコマンドを通じて1バイト単位でアクセスできるようになるだろう。
これらのテクノロジーはNANDフラッシュよりもはるかに高速だが、DRAMの速度には及ばない。この事実がキャッシュの問題を引き起こしている。この問題解決の鍵を握るのは、HMCのモジュールアーキテクチャかもしれない。このアーキテクチャでは、DIMMとCPUの間に非常に高速で大容量のDRAMが用意される。
SDMはデータセンターのストレージアーキテクチャの新しいテクノロジーで、ハードウェアプラットフォームとSDMソフトウェアのアプローチの両方について急速な発展が見られている。2017年は大きな変化がある年になるだろう。つまずくことも何度かあるだろうが、本格的な導入は遠い先の話ではない。
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