マルチクラウドで浮上するプロバイダーも
2017年クラウド総合力ランキング:AWSについに追い付いたIaaSとは?(2/2 ページ)
Gartnerランキングの意味
各プロバイダーが提供する全てのサービスを分かりやすく示すため、同氏は「必須」機能の他に、差別化を図るための「付加価値」のある独自機能や、特定の業界をターゲットにしたコンプライアンスなどの「オプション」機能についてスコアを付けている。AWSはこれらの機能の総合平均値が82%というスコアになり、優位に立った。このスコアではAzureが79%、Googleが62%だった。
それぞれのスコア内訳を見てみよう。まず際立った強みを見せたのはAWSだ。ユーザーに提供する機能の数でAWSの右に出る者はなかった。同社はデータセンターの容量と規模が膨大で、プラットフォーム(クラウド上のシステム基盤)で実行されるソフトウェアを豊富に取りそろえたオンラインストアを所有している。「AWSオンラインストア(AWS Marketplace)にない機能を持った第三者企業(サードパーティーベンダー)を見つけるのは至難の業だ」とクネイサー氏は話す。
Azureが突出しているのはハイブリッド機能だ。企業が社内プライベートクラウドと併せてパブリッククラウドの導入をより容易に管理できるようになる。クネイサー氏は、ユーザーが自身のサーバでAzureテクノロジーを実行することを可能にする新機能、Microsoft「Azure Stack」をポイントとして挙げた。またMicrosoftはActive Directoryによる強固なID管理を誇っており、Microsoft Enterprise Agreementではさまざまなライセンス形態と価格帯、それに伴う割引プランなどを用意している。
一方Googleは、大容量のストレージや革新的テクノロジーがポイントだ。初期の状態で暗号化などのセキュリティ機能などを有している。また、ユーザーにとって魅力のあるシンプルな価格体系を採用しており、基本的に「サービスを使えば使うほど、割引率が上がる」ようになっているとクネイサー氏は述べている。
Gartnerは、ランキングからIBM、Oracle、Alibabaなどのクラウドインフラサービスプロバイダーは除外している。というのも、これらのプロバイダーのサービスは機能が制限されていて、Alibabaに至っては英語の文書が十分になく、Amazon、Microsoft、Googleのレベルまで成熟していないためだ。
「マルチクラウドファースト」
だがGartnerはこれらの企業を注意深く見守っている。こうした企業は市場で注目を集めているだけでなく、拡大するマルチクラウド環境で採用されることが確実だからだ。クネイサー氏は、どの企業もマルチクラウド環境を取り入れなければならないと説く。事実、理由がない限り新しい導入には必ずクラウドを選択すべきという「クラウドファースト」戦略ではもはや不十分で、今や「マルチクラウドファースト」戦略が求められる時代になっている。
「これにより多くの課題が生まれる。具体的には、2社のプロバイダーを同じ方法で管理するにはどうすればよいか。各プロバイダーの管理に1チームずつ編成すべきかどうか。どのアプリケーションをどのプロバイダーに割り当てるか、などだ」(クネイサー氏)
米ヒューストンを拠点とする食品流通会社Syscoでアプリケーション開発ディレクターを務めるマイケル・ゴリゴースキー氏によると、同社では既にマルチクラウドが現実のものとなっているという。同社が利用しているのは、Gartnerランキングに入っている2社のクラウドプロバイダーAWSとAzure、そしてIBM Bluemix Infrastructureだ。だが今のところは、コストを理由として1社のクラウドプロバイダーに集中させ、システム稼働環境の大半をAWSに置いているという。
「複数のクラウド導入を管理して調整するソフトウェアツールには膨大な費用がかかるが、それを節約できている」と、同氏の同僚でエンタープライズアーキテクチャ担当ディレクターのキニット・サルビ氏は語る。
「マルチクラウドは最終形態として優れているため、当社はまず、1社のクラウドに環境を集中しようとしている」とサルビ氏は語る。同社は、自社製のオープンソース(自由に改変、利用ができる)ツールを組み併せてクラウド環境を管理するようになっているが、新しい管理方法が必要となる日が確実に訪れると見ている。
「現時点では、基本的にマルチクラウドの複雑さから距離を置いているが、拡張していけばそのリスクに遭遇する。問題はその都度解決していくつもりだ」(サルビ氏)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「Excel至上主義」の終わらせ方 丸2日の手作業地獄から情シスと現場を救うには
-
2
取手市がVDIと決別した理由 更改費用「4倍超」を約1.7倍に圧縮
-
3
「Microsoft 365のセキュリティ運用」に関するアンケート
-
4
急増する「AIはこう言ってる」マン 判断を狂わせる「AI忖度」を防ぐには?
-
5
221人調査で分かった「情シス最大のストレス」は?
-
6
「Salesforceのテスト自動化ツール」に関するアンケート
-
7
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
8
「AI時代の統合基盤・エンタープライズAI管理」に関するアンケート
-
9
AIで人を減らした企業がもう心変わり 「AIブーメラン現象」の実態
-
10
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
年収2000万「クラウドセキュリティのプロ」になれる資格とは
-
2
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
3
Windows Updateの通信集中で回線が逼迫、ネットワーク刷新事例に学ぶ解決策
-
4
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
5
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
6
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
7
標的型攻撃メールを見破るには? サンプル文面を例に傾向を解説
-
8
商用利用の安全性を確保し大量のコンテンツを高速で生成する、AI活用の秘訣
-
9
マンガで解説、1日で生成AI環境を構築できるワークショップの中身とは?
-
10
Dark AIが台頭する時代の新発想、「より高度なAIで対抗する」具体的方法とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー