AIは先進的パートナーだ
ディープラーニング(深層学習)が人から奪う作業、人を超えない作業の違い(2/2 ページ)
人間を超える深層学習テクノロジー
深層学習とは、このような画像認識の急速な進化を生み出すAI分野である。深層学習では、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を利用して、画像の具体的な特徴を即座に認識する。CNNのこの能力は、顔識別プログラム、自動走行車、農業での短期予測(穀物生産高など)、病気を診断する機械に応用されている。CNNでは学習に大量のデータが必要となる。そのデータはどこから取得するか、その答えはインターネットにある。具体的にはFacebookやGoogleのタグ付けやラベル付けの機能が、その必要なデータを提供する。これらのFacebookやGoogleなどの企業は、全世界のユーザーがアップロードする大量のデータを利用して、深層学習ネットワークの改善に必要なデータを研究者、開発者に提供している。
CNNは複雑な処理用プログラムを開発する必要はない。CNNは、画像の特徴や微妙な違いを認識するようにトレーニングされるためだ。例えば、CNNで犬種を見分けるとする。まず、システムに犬の画像と犬種の具体例を大量に与える。CNNはデータを階層化して整理し、犬種の解釈を学習する。つまり、犬種を認識するためにトレーニングする場合、CNNは最初に基本的な見た目の違いを理解する。次に、毛並み、尻尾、耳の形など、それぞれの犬種特有の特徴を徐々に割り出していく。ネットワークがデータを徐々に収集し、認識した特徴を基に犬種を特定する。
CNNの複雑な処理能力により、IoT(モノのインターネット)テクノロジーに深層学習アルゴリズムを導入して、画像だけでなく、会話、行動、パターンも特定できるようになる。深層学習を使って歩行者の認識能力を高めることで、自動走行車が改善されている。保険業界では車の損傷を正確に査定するのに深層学習を応用する。セキュリティカメラの行動認識によって、街を歩く人々の交通整理が改善している。
日常生活に深層学習を取り入れる
産業用IoTでは多くの深層学習が取り入れられている。例えばFacebookは、人間よりも優れた認識能力を有するシステムを構築する計画を立てている。実際には視覚障害者向けに写真を音声によって伝える画像認識テクノロジーが公開されている。他にも、ゲーム、生物情報学、自然言語処理の改善に応用されている。画像に関する研究(コンピュータビジョン)の分野でも深層学習テクノロジーによって大幅な改善が行われ、ユーザーが使いやすいプログラミングツールや手頃な価格のカメラなどの端末を提供している。
多くの動きがある最も興味深い分野の1つは、医療だ。AIベースの画像認識システムは、まるで医師のように、スキャンした画像を迅速に読み取り、病理標本を詳しく確認して、診断や検査を適切に行う。米食品医薬品局(FDA)は、心臓疾患の診断に役立てようと深層学習テクノロジーの活用に動き出している。米スタンフォード大学の研究者は、皮膚科医のような正確さで皮膚がんを認識できるAIシステムの開発に取り組んでいる。例えばそのような診断プログラムを個人のスマートフォンにインストールすれば、世界中のどこでも共通で安価な診断治療を提供できる。他にも、骨折、脳卒中、アルツハイマー病などの異常な症状の検査に対応するシステムも研究されている。
人類の未来における先進的パートナー
これら全ての深層学習テクノロジーは目的に沿った使い方をすることで価値が決まる。今日の画像認識システムは、一部の分野では人間以上の能力を発揮する。だが、一般的な推論では人間を超えていない。ここまで取り上げた開発段階の産業用IoTの応用分野は、人間を上回るレベルで個々の作業を行うことにある。本稿の例では画像認識や分類の分野だ。だが、AIは同時に複数の役割を果たすことはできない。深層学習システムは写真に写った個人を見分けることができても、悲しみなどの感情を認識することはまだできない。
やがてAIシステムはそのような能力も身に付けることになるだろう。だが、差し当たり、AIがもたらす多くのメリットを理解しなくてはならない。AIは人間の能力の代わりにはならないが、単純作業の負荷を軽減してくれる。その結果、人間は、集中が求められる重要な思考ベースの作業に注力できるようになる。英ミドルセックス大学でロボット工学の教授を務めるマーティン・スミス氏は、例として表計算ソフトを挙げている。表計算ソフトは計算を高速にするが、分析するのはやはり人間の専門家の仕事だ。
AIや深層学習の可能性が生まれたばかりだ。こうしたテクノロジーの進化が人類の究極のゴールに貢献するかどうかは、結局は、研究者、革新者、専門家の手に掛かっている。
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