個人情報と引き換えだけでは不信感
IoT活用で気を付けたい個人情報収集の問題、顧客の信頼を損ねない収集方法は(2/2 ページ)
企業への信頼について顧客の本音は?
企業が法令を100%順守しているかどうかについて顧客が必ずしも関心を払うとは限らない。だが、企業が信頼に値するかどうかについて無関心な顧客はいないだろう。世界の10の市場を対象に調査を行った「MEF Global Consumer Trust Report 2017」では、今日のデジタル経済における信頼の重要性が明らかになった。
- 40%の回答者は、追加のアプリやサービスを使用する最大の障害として信頼の問題を1つ以上挙げている
- 75%の回答者は企業のプライバシーポリシーを大体確認していると答えているが、39%の回答者は仕方がなく確認しているにすぎない
- 82%の回答者は、プライバシーまたはセキュリティ、あるいはその両方に対する懸念から対策を講じていると答えている。これには、サービスの削除や使用停止、友人や家族への警告、別のサービスへの切り替えなどが含まれる
この点において、Sonosは、消費者が敏感に反応する「ユーザーのデータがどのように使用されるか」という領域において思い切った行動を取っている。MEFの調査によると、いつも喜んでデータを共有すると答えた回答者はたった3%であることが明らかになった。これは2016年調査結果の半数だ。一方、39%の回答者は一切のデータを共有したくないと答えている。
顧客への信義を守る
規則が確立していないIoTなどの分野において、誠実さは非常に重要になる。自動車からペースメーカーに至るまで、あらゆるIoTユーザーを危険にさらす恐れがあるIoTのセキュリティ上の欠陥に関する証拠は十分にある。にもかかわらず、法律の専門家は標準や指令をなかなか施行しようとしない。米国上院で審議されている「Internet of Things Cybersecurity Improvement Act of 2017」の対象となるのは政府との契約で、商業市場には適用されない。また、2018年5月に施行されるEUの「一般データ保護規則」(GDPR)は、IoTプロバイダーに重くのしかかるだろう。
IoT製品を提供する企業には頭の痛いこの問題も、製品を購入する消費者にとっても最重要事項かと言えばそうとも限らない。だが適切なセキュリティが確保されていないIoTデバイスが、消費者のホームネットワーク全体を侵害したらどうなるだろうか。これには、ノートPCに保存されている金銭や健康に関する記録も含まれる。また、ハッカーが、スマートホーム提供企業のシステムを乗っ取って、その全顧客基盤に大損害を与えたらどうなるか想像してみてほしい。
受動的で時間がかかるという規制プロセスの特質は、企業がIoTのセキュリティについて何も対策を講じなくて良い理由にはならない。プライバシーポリシーに変更を加えるだけで、顧客は企業と敵対する恐れがある。十分な予防対策がなされていないことが原因で、特定の製品によって顧客の金銭的な安全、自宅の安全、命が危険にさらされていることを顧客が知ったらどうだろうか。IoT製品には、セキュリティがシームレスに組み込まれ、問題なく機能しなければならない。MEFの調査では、全回答者の半数が、アプリやサービスが信頼を失う最大の理由として、使い勝手の悪さを挙げている。使い勝手は、友人、家族、メディアによる否定的なレビューや報告よりも重視されているのが実情である。それから、消費者が細心の注意を払っていないとは思わないことだ。同調査によると、コネクテッドホームを導入している回答者の80%がプライバシーポリシーを確認すると答えている。
企業が宣言すべき信条とは
顧客へのメッセージは以下のように明確なものでなければならない。
「弊社の最大関心事は、お客さまを保護することだ。お客さまのデータの安全を確保し、製品を向上し、お客さまのご自宅に新たな脆弱(ぜいじゃく)性が侵入することを防ぐためにあらゆる手段を講じている。お客さまは、弊社の製品で共有するデータを選択して制御できる。これは法律で規制されているからではなく、弊社が対応すべきことだと考えているからだ」
Sonosは、プライバシー、セキュリティ、データ収集の適切なバランスを取る作業に苦労している初めての企業ではない。IoTが普及するにつれて、同じ道をたどる企業は後を絶たないだろう。IoTの分野でビジネスを展開する企業が、この論争から学ぶべき教訓は何だろうか。それは、データの取り扱いに関するオープンな議論と顧客との対話が、そのバランスをとるのに欠かせないということだ。
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