ユーザーとIT部門のヒューマンエラー
クラウドセキュリティ、最大のリスクは「人のうっかりミス」
最新のクラウドセキュリティツールを導入していても、エンドユーザーとITチームの両者によるヒューマンエラーが原因となり、企業がさまざまな種類のサイバー攻撃を受ける可能性がある。
ハッカーは常にITシステムの脆弱(ぜいじゃく)性を探し求めており、企業は警戒する必要がある。データを保護し、脅威を検出するためのツールは多数あるものの、これらのツールを駆使しても対処できないクラウドセキュリティリスクが1つある。それは、人的な要因だ。
エンドユーザーとITチームは完璧とはいえない。両者ともフィッシング攻撃を受けやすく、機密情報を社外で使用したり、セキュリティサービスを不適切に導入したりするなど、ありがちな間違いを犯す可能性がある。さらに、クラウドセキュリティのベストプラクティスは、できるだけ迅速かつ効果的に業務を完了したい、という従業員の要望としばしば矛盾することが多い。
「ほとんどの従業員は適切なセキュリティの手続きを踏みたいと考えているが、必ずしもセキュリティツールは直感的で使いやすいものではない」と、Gartnerのプラクティスリーダーであるジェレミー・バーグマン氏は語る。
クラウド上の人的なリスク要因に対処するために、組織はセキュリティツールの限界を理解し、セキュリティ意識の高い職場環境を作り出す必要がある。
併せて読みたいお薦め記事
クラウドセキュリティへの注目が高まっている
- いまさら聞けない、「CASB」と「URLフィルタリング」は何が違うのか?
- クラウドセキュリティの“熱い”キーワード「CASB」とは何か? 誕生の理由は?
- クラウドセキュリティの“本命” 「CASB」が備える4大機能とは
ヒューマンエラーがやはりリスクに
エンドユーザー
フィッシング攻撃は、個人を欺いてWebサイトのリンクや直接の返信メールを介し、機密情報を暴露するように仕組まれている。多くの場合、一見するとソフトウェアは合法的に見えるため、従業員は攻撃者の犠牲となり、ITシステムへの攻撃者の侵入を許してしまうことになる。
さらに、モバイルデバイスやクラウドの登場に伴い、大量の企業データも社外保管に移行している。これに伴い、ユーザーが家庭、地元のコーヒーショップ、ホテルなど、ネットワークが盗聴される可能性がより高い場所から機密情報にアクセスすることがますます一般的になっている。
情報を安全に保護するためには、データ漏えい防止サービスを使用すると良い。このサービスはアカウント情報などの機密を含む文書を識別し、従業員に潜在的なクラウドセキュリティリスクを知らせるものだ。場合によっては、これらのツールは特定のオフサイトデータへのアクセスも防止する。この分野のベンダーには、CA Technologies、Cisco Systems、Digital Guardian、Veracode、Symantecなどがある。
ITチーム
ITチームも同じくヒューマンエラーを起こしやすい。例えば、パッチ管理は積年の課題だ。ITチームは、緊急を要する他の業務が原因で、更新プログラムの適用が遅れることがある。ただし、パブリッククラウド環境であれば、クラウドプロバイダーがこれらのアップデート作業に責任を持つため、リスクを最小限に抑えることができる。
とはいえ、クラウド環境において、プロバイダーが全てのセキュリティ責任を負うことを期待すべきではない。依然としてITチームは脅威からデータを保護する必要がある。例えば、多くの企業では現在、クラウドアプリケーションを共同開発するシチズンデベロッパーと呼ばれる開発者がいるが、彼らはセキュリティに関する技術的専門知識が限られているか、全く持ち合わせていない。アプリケーション構築のために使用するツール内のセキュリティ機能を利用できるかもしれないが、初心者の開発者の中には、その機能の設定を有効にしないため、アプリケーションに脆弱性が残ることもあり得る。
一般には、クラウド移行は、ITチームが管理プロセスを調整する必要があることを意味する。「レガシーシステムの全てのベストプラクティスがクラウド環境でも理にかなっているというわけではない」とCloud Security AllianceのCEO、ジム・リービス氏は述べる。企業は考え方を変え、次世代ファイアウォールを導入し、アプライアンスではなくサービスとして機能するツールを導入する必要がある。
情報のオーバーロード
多くの組織が、クラウドのデプロイメントとシステムログを監視するセキュリティツール、もしくはセキュリティサービスを利用している。潜在的な脅威を検出した場合、これらのツールの多くはアラートを自動的に通知する。これらのアラートの一部は正当なものだが、そうでないものもあり、セキュリティチームに過剰な負担をかける可能性がある。このような大量のデータを処理する中で、ITプロフェッショナルは潜在的なクラウドセキュリティリスクの警告を見落としてしまい、システムへの不正侵入の試み、もしくは、実際にデータ漏えいが発生したことを発見した場合、時すでに遅しということにもなりかねない。
「過去数年間、コンピューティングリソースの爆発的な増大が見られた。過去に発生した増大の規模をはるかに超えている」とリービス氏は語る。「多くの企業は、潜在的なリスクを評価するために必要なセキュリティ専門家の数やチームの規模を増やしてはいない」
さらに、ITチームがしばしばセキュリティツールを場当たり的に導入し、これが後にセキュリティ問題の原因となることがある。合併や買収は、この問題をさらに悪化させている。セキュリティツールは大抵の場合、標準化されていないことがその理由だ。
長期的視野での取り組み
企業は、セキュリティポリシーの策定、標準ツールの導入およびトレーニングに投資し、エンドユーザーとITチームはクラウドセキュリティにおける役割をよりよく理解する必要がある。ヒューマンエラーを最小限に抑える最良の方法は、長期的なアプローチに対して投資し、クラウドセキュリティのベストプラクティスに完全に従うことだ。
「経営幹部は、たった1つの手段で、リスクの問題を90%軽減できるものなどはないということを認識する必要がある」と、Security Architects Partnerのマネージングパートナーおよび主任コンサルタントであるダン・ブラム氏は語る。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[富士ソフト株式会社] 受注業務は既に変革のステージ 出遅れて競争力を失わないためのDX戦略 -
市場調査・トレンド
[富士ソフト株式会社] 受注業務でありがち 「今は困っていない」と見直しを先送りにすることの弊害 -
製品資料
[富士ソフト株式会社] 「B2B EC」選定を製品比較から始めると迷走する理由 -
技術文書・技術解説
[SB C&S株式会社] 「Everpure FlashArray」技術詳細解説資料:概要から認証、サイジングまで解説 -
市場調査・トレンド
[セコムトラストシステムズ株式会社] EDR導入を成功に導くロードマップ:選定/稟議/運用のつまずきを防ぐコツ
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
IT業界の女性は9割が10年で消える 人材枯渇を招く“見えない壁”の正体
-
2
「Windows」の不要なファイルを安全に消して容量を空ける方法
-
3
VMware離れの現実解 2500台のVM移行に挑む製造大手の全記録
-
4
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
5
生成AIが普及しても「技術書」を手放せないエンジニアの本音
-
6
「法人向けPCおよび周辺機器の利用状況」に関するアンケート
-
7
業務用プリンターの老舗が挑むAI活用に向けた開発基盤変革を伴走支援
-
8
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
9
「レガシーシステム・老朽化システムの運用課題と刷新」に関するアンケート
-
10
生データを隠してデータ連携 KDDIが4000万人の顧客情報を安全に分析できた理由
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
3
プログラミング不要で誰でも実現できる、ネットワーク運用管理の自動化とは
-
4
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
5
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
-
6
なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは
-
7
ランサムウェア攻撃“究極の対策”はこれだ
-
8
サイバー脅威「トップ50」完全解説ガイド、新たな攻撃手法に対抗するには
-
9
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
10
生成AIの活用を阻む「5つの壁」とは? AIネイティブ組織へ変革を遂げる方法
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー