Facebookの問題を意識?
「Google I/O」でプライバシー問題が話題に出なかったのはなぜか?
Googleの開発者向けカンファレンスでは、生体認証や新しいAndroidのバージョンなどに関するさまざまな講演があった。しかし、はっきりとプライバシー問題に言及した講演はなかった。なぜだろうか。
Googleが開発者向けに実施するカンファレンス「Google I/O」の初日では、3つの基調講演があった。GoogleのCEOであるサンダー・ピチャイ氏が一般消費者向けの講演を実施。同社の製品開発者グループのバイスプレジデントであるジェーソン・タイタス氏が開発者向けの講演を、開発者であるダン・サンドラー氏、ロマン・ガイ氏やチェット・ハーゼ氏がAndroidに関する講演をそれぞれ実施した。
しかし、Google I/Oにおいてセキュリティに関する内容は乏しかった。約5時間に及んだこれらの基調講演の間に、セキュリティやプライバシーに言及した話は3つしかなかった。1つ目は、開発者向け会議(developer conference)内で発表された、GDPR(EU一般データ保護規則)に対応したGoogleクロス基盤アプリ開発ツール「Firebase」に関する話だ。2つ目はAndroidに関する基調講演で発表された、指紋認証を含むさまざまな種類の生体認証APIに関する話。3つ目はAndroidの新バージョン「Android P」が、ネットワークトラフィックを監視するアプリに対してアクセスを遮断する仕組みの話であった。
Android Pの開発者レビュー(developer previews)では、バックグラウンドで動作するアプリからのカメラやマイクへのアクセスの遮断、バックアップデータの暗号化の強化、ネットワーク接続における任意のMACアドレスの付与、そして、アプリが古いAPIを使用している場合のHTTPSの設定やアラートのより的確な通知を含め、セキュリティが向上していることが分かっている。
GoogleのIoT基盤である「Android Things」の準備ができた、という発表があったときにも、セキュリティが同基盤の大きな売りの1つであるにもかかわらず、これに関する言及はなかった。Googleは、信頼性の高いセキュリティアップデートを3年間保証している。このため、Android ThingsはIoTのセキュリティをより安全なものにする、と主張している。3年間のサポート保証がIoTのセキュリティに有効に働くか、という疑念は、別の問題として残る。
Googleは新しい「continued conversation」(会話の継続)機能を実装することにより「OK、グーグル」と言わなくてもGoogleアシスタントと会話のやりとりが可能になる、と発表した。この機能はユーザーの許可を求める形式になる予定だ。音声アシスタントが会話を聞くことを、ユーザーが制限できるようになる、ともいえる。プライバシーの問題が常に付きまとう音声アシスタント問題に関するGoogleの回答だ。
ユーザーのデータをどの程度収集しているか、といった点でGoogleに対しプライバシーの懸念が提起されてきた歴史がある。Googleは、収集したデータがどの程度共有されるのか、広告主やその他の提携業者とどのようなデータを共有するかなどについて明確なポリシーを規定している。しかし、ユーザーデータの取り扱いで問題視されているFacebookと同じように、Googleが反発を受けることが想像できる。Googleがこの問題に先手を打って対処しようと考え、ユーザーのデータを守る仕組みについて、改めて明言しなかったことは驚きだ。この問題は、黙殺し続けていれば人々がGoogleに対する懸念を忘れ去るようなものではない。Google I/Oにおけるセキュリティに関する言及はこの発表会の初日にはほとんどなかったが、これが異例のことなのか、何か別の意図があるのか、今後の動向に注目したい。
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