30秒以上の時間がかかるAPIには向いていない
「サーバレス型API」の導入が企業のイノベーションを促す理由(2/2 ページ)
サーバレスに適合するAPI
フラワー氏によると、動作条件をそれほど要求しない(フットプリントの小さい)単一機能のAPIが、特定のサーバレス関数に適しているという。モノリシック(一枚岩)なAPIは適さない。各エンドポイントを単純なアクションとして扱う。つまり、あらゆることを実施するのではなく、ある1つのことを実施することだとフラワー氏は説明する。メッセージングサービスを提供するTwilioの「Twilio REST API」がその例だ。このAPIはSMS(ショートメッセージサービス)を要求するだけだ。「これらはサーバレスでAPIを最も適切に使用する方法を表す、シンプルな抽象化の例だ」と同氏は述べる。
30秒以内に復帰するAPI関数はサーバレスコンピューティングで機能するとモイヤー氏は説明する。一般的なAPIには30秒のタイムアウト制限がある。「基本的に30秒以上の時間がかかるAPIは全て、サーバレスコンピューティングでの適性に疑問がある」と同氏は述べる。
サーバレスコンピューティングの枠組みに無理やり押し込んでいると思われる関数もある。
既存の仮想マシンにサーバレスを配置しようとしてはならないとレイノルド氏はアドバイスする。サーバレスでは、必要以上の処理負担(オーバーヘッド)が発生させないように構築することが重要だ。「サーバレスフレームワーク内で構築するように最大限努力すべきだ」と同氏は主張する。
フラワー氏によると、リアルタイムに送受信できる強力なAPIは従来のインフラの方が適しているという。こうしたAPIでは最終的にサーバレスのメリットが失われることになるためだ。
例えばAPI設計で、Facebookの「GraphQL」のような非常に柔軟なAPIインフラに対し、サーバレスフレームワークではなくFaaS(Function as a Service)アプローチを使用するとしよう。その場合、メリットを上回る問題が発生する可能性があるという。モイヤー氏は、15個のAPIをサーバレスフレームワーク経由でセットアップしていた。ユーザーが他のユーザーを、各自のアカウントに追加する機能を構築したかったのだという。
時間がたつにつれて、APIはコンテンツデリバリーネットワーク(CDN)の制限に突き当たった。CDNではテンプレートごとにリソースが制限されると判明したのだ。「新しいAPIエンドポイントを追加できなくなり、APIを分けるしかなかった」と同氏は述べる。
サーバレスAPIのメリット
適切な種類のAPIをサーバレス基盤で構築、導入することには多くのメリットがある。ソフトウェア開発において価値の低い繰り返しのタスクを減らすことなどがその例だ。さらに素晴らしいのは、APIの規模調整(スケーリング)と管理に関する懸念が軽減されることだ。企業では、サーバレスコンピューティングによって開発コストを下げ、収益化の機会を増やすことができる。しかも、ベンダーロックインのリスクがない。
サーバレスAPIを導入する主なメリットには以下のようなものがある。
セキュリティ
レイノルド氏によると、サーバレスAPIは完全に信頼された安全な環境で実行されるという。サーバレスは、内部の仕組みを誰にも見えないようにして独自のAPIとコードをほぼ全ての環境に導入する1つの方法だ。サーバレスは、そのコードを実際に攻撃できないことを保証するもので、これまでその期待を裏切ったことはないと同氏は説明する。
スケーラビリティ
安全性を重視する従来の方法では、うまくスケーリングできないとレイノルド氏は説明する。サーバレスは自動的に拡張される。これが効果を発揮するのは、多数のユーザーの要望に対してAPIをスケーリングしなければならない場合だ。同氏によると、ECサイトを運営するNordstromが使用している「AWS Lambda」というサーバレス基盤では、製品の推薦(レコメンド)を求めるユーザーの要求に合わせてスケーリングが実施されるという。それにより、応答時間が数分から数秒に短縮される。「こうしたことをするためにメインフレームを追加し続けることはできない」と同氏は述べる。
コスト
ユーザーは使用したコンピューティング時間のみに費用を支払う。例えば、Cannabiz Mediaは全国に顧客を持ち、トラフィックの増減が非常に不規則になる。トラフィックは朝にまず急増するが、夕方にも急上昇することがある。「夜のほとんどの時間帯は誰も使用しないのに夜通しサーバを稼働させておくことは、それが1台だとしても合理的ではない」とモイヤー氏は話す。要求がサーバレスAPI経由で行われれば、Cannabiz Mediaは要求ごとに料金を支払うことになる。誰も使用していない時間帯にはコストが発生しない。
管理
サーバレスAPIは自動化されている。レイノルド氏は次のように語る。「何も管理する必要はない。カナダで10個のインスタンスを追加しなければならなくなったら即座に用意される。それを把握する必要さえない。新しいサーバが必要になったら既にそこにある。そのために書類を作成する必要もない」
収益化
レイノルド氏によると、企業は自社のAPIをサーバレス関数として販売できるという。特許権を取得するという長い道のりを選ぶことはない。例えば、開発者が「小売業者による冷凍豆の販売増加」を支援する関数を作成したとする。開発者は、この関数をクラウドベンダーのAPIライブラリで利用可能なサーバレスのインタフェースを提供し、その関数の呼び出しに対して料金を請求できる。そのように説明するレイノルド氏はこう続ける。「サーバレスによってアルゴリズムやAPIなどの概念を収益化するチャンスが生まれている。以前ならこうしたことを行う方法は分からなかっただろう」
ベンダーロックインがない
Amazonによって最新のクラウド型のサーバレスサービスが初めて提供された。だが、それ以外にも選択の余地はある、とモイヤー氏はいう。サーバレスフレームワークプロバイダーを変更することは容易だ。「DevOpsチームはサーバレスを実現するために設計し直すことができる。その際には、クラウドプロバイダーのFaaSを使用するか、ソフトウェアをサーバレスフレームワーク上に導入するという単純なアプローチを取ることになる」(モイヤー氏)
2018年はサーバレスを試す年だ。APIは優れたテストケースになる。レイノルド氏は、サーバレスを使用することで高い価値を実現できる、内部APIやアプリケーションを見つけるための実験をすべきだとしている。「サーバレスコンピューティングを使用する企業はスケーリングの能力を飛躍的に向上できる。さらに、さまざまなワークロードに対処するコストを大幅に減らすことが可能だ」と同氏は語った。
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