従来のネットワーク管理との違いは
ネットワーク管理に機械学習を利用するメリットとは
機械学習をネットワークの分析と監視のツールに関連付けると、ネットワーク管理に必要な労力を減らせる可能性がある。機械学習と他形式の自動分析との違いは何だろうか。
企業もベンダーも機械学習を導入する戦略に取り組むようになっている。その機械学習をネットワークの分析と管理のツールに関連付けると、どのようなメリットが生まれるだろうか。
重要なのは、機械学習と他形式の自動分析との違いを理解することだ。これまでのネットワーク管理システムは、ルールベースのシステムを利用していた。こうしたシステムは比較的簡単に構築できる。それは、ネットワークの問題の診断にネットワークの専門家が使用するシンプルなルールを利用するためだ。ルールベースのシステムでは、ルールに一致するときに実行するアクションを定義する。こうしたアクションは、警告の生成から複雑な修正作業の起動まで多岐にわたる。
ルールベースシステムの問題点は、ルールのメンテナンスが必要なこと、そして新しいルールが必要になるたびに頻繁に更新しなければならないことだ。条件の変更が多く、それによって大きく異なるアクションを求めるルールの作成は、過剰に複雑になる場合が多い。さらに、ルールベースのシステムは柔軟性に欠ける。ルールのセットが問題の現象と正確に一致しなければ、その問題を見逃すことになる。
ネットワークの問題点について、専門家から学習できるシステムを構築する方がはるかに優れている。これは、専門家がネットワーク分野の新人をトレーニングするようなものだ。新しい問題や解決策が見つかったら、システムがその問題と、問題に対して取るべきアクションを学ぶようにする。
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ネットワーク管理における機械学習の活用
人工知能(AI)の統合が機械学習のメリットの1つであることには、業界関係者の多くが賛同する。例えば、ニューラルネットワークテクノロジーの例として機械学習と深層学習を考えてみよう。ニューラルネットワークは、対象領域から大量のデータを得てトレーニングされる。こうしたデータには適切な答えや対応策も含まれており、新しいデータが提示されると適切な対応策を学習する。逆に言えば、ニューラルネットワークは、トレーニングされた以上のことは学習しないため、一般的な入力データに対して自ら対応策を導き出すことはない。
機械学習のメリットとネットワーク管理
ここ数年、機械学習がネットワークの管理に利用される場面が増えている。これは期待できる動きだ。管理ソフトウェアが問題点を見つけて適切に処理する能力は、機械学習によって大幅に向上する可能性がある。問題の原因を正確に特定することで、処理に修復作業を含むことができる。
その一例が、AIに基づくネットワーク管理ソフトウェアの開発企業Moogsoftだ。同社は、製品に機械学習テクノロジーを使用して、ITスタッフが対処しなければならないネットワークイベントとシステムイベントの数を大幅に減らしている。こうしたイベントは、SNMP(Simple Network Management Protocol)トラップ、syslog、サーバのログメッセージから明らかになる。
同社のソフトウェアは、ITスタッフによるイベントへの対処方法を数週間学習した後、イベントとその対処方法の関連付けを開始する。ここで重要になるのが、ITスタッフからの情報だ。ソフトウェアはこの情報を頼りに、イベントストリームの中で重要な点を理解する。そして、ITスタッフから学んだことを機械学習エンジンが自動化する。
機械学習アルゴリズムには、ビジネスへの影響を学ぶ能力も、任意の問題を修正する方法を学ぶ能力もない。だが、ITスタッフが日常的に対処しなければならないイベントの数を大幅に減らすことはできる。場合によっては1日数千から数百万ものイベントが削減され、たった数個の重要なイベントだけになる。
例えば、リモートサイトへの接続が失われると、相手に到達できないイベントが大量にトリガーされる。Moogsoftのソフトウェアは、接続が失われた結果生じる二次的なイベントを確認してその多くを削除できる。ITスタッフはこうした機械学習のメリットを活用して、接続が失われた理由の特定に専念できる。
Tetrationとその仕組み
一方Cisco Systemsの分析システム「Tetration Analytics」(以下、Tetration)は全く異なるアプローチをとり、パケットのヘッダデータでビッグデータ分析を実行する。各パケットの先頭160バイトが、収集と分析のためにTetrationに送られる。この量は多く、生成されるトラフィックのほぼ2%に相当する。本システムは収集したデータを調べるために、42Uラック全てのサーバとストレージシステム処理能力を利用する。ただし、もう少し小さなバージョンやクラウドバージョンもある。Tetrationは「Apache Hadoop」の処理を用いてアプリケーションパフォーマンスの問題の特定、セキュリティ脅威の検出、ネットワークの問題の特定をする。そして、アプリケーションの動作を学習して、アプリケーションのパフォーマンスのベースラインを作成する。
アプリケーションのパフォーマンスが変化したら、Tetrationはその原因究明を試み、少なくともその変化に関する警告を発する。Tetrationが監視する多くのパフォーマンス特性の中には、長い待ち時間、サイバー攻撃を示すパケット、パケット損失を示す再送などがある。このようなアプローチは、アプリケーションの動作が遅い場合、それがアプリケーション内部の問題、つまりデータベースの動作が遅いことに原因があるのか、ネットワークの問題が原因になっているのかをIT部門が特定するのに役立つ。2017年秋に開催されたカンファレンス「Networking Field Day 16」のプレゼンテーションでは、この分析エンジンに関する詳しい情報を呼び物の話題としていた。
リソースの削減における機械学習のメリット
ネットワークの監視と管理に必要な労力を減らすシステムがあれば、IT部門に多くのメリットがもたらされる。ほとんどのネットワーク管理ツールはフレームワークとして提供される。そのため、そのフレームワークを、システムとして機能させることに多くの労力が必要になる。運用環境を修正するために管理者による作業が終日必要になる製品もある。
ネットワーク管理者のアクションを元に、システムが何を実行すべきかを学習できると非常に便利だ。修正操作の機能を実現できなくても、機械学習は新たな問題を明らかにし、問題が発生したら警告を発する。リンクのさまざまなタイプでエラーのしきい値や利用率のしきい値を学習できるシステムを想像してほしい。
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