研究開発が活発化
Googleは機械学習をどうデータセンター管理に生かしているのか?(1/2 ページ)
機械学習を使ったデータセンターの管理がいよいよ実現しようとしている。機械学習は実用化の段階に移りつつあることを裏付ける、さまざまな事例を紹介する。
機械学習の導入がいよいよ企業に広がり始めている。機械学習はとりわけ、データセンターとの相性が良いようだ。
先見性のある企業にとって、機械学習は実用化の段階に移りつつある。人工知能(AI)の一分野である機械学習については、既に半世紀以上前から理論立てて語られているが、ここへきてようやく、機械学習の活用事例がコンピュータサイエンスの本丸、すなわちデータセンターの分野に広がりを見せ始めている。
“データに関するデータ”が存在するような複雑な環境において、コンピュータの計算能力の向上にコンピュータを活用しない手はない。そうした考えにようやく時代が追い付いたようだ。
「機械学習を使ったデータセンター管理がいよいよ実現しようとしている」と調査会社Forrester Researchの主任アナリスト、ミシェル・ゲッツ氏は語る。
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データセンターは理想的な環境
「データセンターには大量のデータがあるので、機械学習にとっては理想的な環境だ」。データセンターサービス提供業者Vantage Data Centersで最高執行責任者(COO)を務めるクリストファー・イェットマン氏は、そう指摘する。データセンターでは、サーバやネットワークデバイスが自らのオペレーションに関する大量の情報を生成しており、建物の物理レベルでセンサーデータが存在する。そうしたデータはこれまでも活用されてきたが、その可能性を最大限に引き出すには至っていない。
さらにデータセンターには、気圧や湿度、温度、電源電圧に関するデータを生成してプログラマブルロジックコントローラー(PLC)に送信するセンサーもある。そうしたデータは、一定のしきい値を超えた場合に、何か具体的な動作のトリガーとなる。例えば、室温が上昇し始めたときなどがそうだ。ただし、これは主として反応性のプロセスである。データセンター管理ツールにしても、プロセッサやストレージアレイ、ネットワークなどで、起きている活動の全てではなく一部を監視するものがほとんどだ。
現在、安価な超小型コンピュータ「Raspberry Pi」を使って、イーサネット経由でコントローラーに接続できる各種の小型物理センサーが開発されている。今後は、利用可能なデータ量がますます増加し、データセンターにおける機械学習の活用事例もますます増えることが予想される。
「優れた機械学習システムに多くの情報を与えれば、サーバの使用パターンなどを拾い上げ、それを天気と関連付けるようになるかもしれない」とイェットマン氏は語る。そして最終的には、湿度の上昇と西風が温度を上昇させることに気付き、データセンターの稼働状況を前もって変更できるようになるかもしれない。
「ソーシャルメディア企業での活用事例も考えられる。例えば、あるソーシャルメディア企業では、ユーザーによる利用が夕方に活発化することが分かっているとする。そうした場合、機械学習を導入すれば、その傾向を把握した上で、夕方に自動的にオンラインのマシンを増やし、適切なレスポンスタイムを維持することが可能だ」と同氏は語る。さらに機械学習は、そうやって追加したマシンがどのくらいの熱を発生させるかを予測し、事前に冷却の手はずを整えることができる。
データセンターでの活用事例が増加
機械学習はデータを取り込む時点では、そのデータに含まれる関係性を知らない。だが、学習プロセスを通じて、最終的にはその関係性を学び取る。データセンター向けのソフトウェア定義インフラストラクチャを提供するVirtual Power Systems(VPS)は、インテリジェントな電力インフラを開発し、その管理に機械学習を活用している。ソフトウェアがサーバと電力系統に接続し、変更の必要性を判断するという仕組みだ。
「VPSのシステムは、1つのラックが別のラックから電力を借りるように調整できる。1つのラックについては一部をバッテリーで動作させ、別のラックに電力を回すことで、最大負荷に対応できる」とイェットマン氏は説明する。
「データセンターでは、機械系、電気系、制御系のシステムが複雑に影響し合っている」。Googleのデータセンターエンジニアで研究者であるジム・ガオ氏は、自身の論文「Machine Learning Applications for Data Center Optimization(データセンター最適化への機械学習の活用)」において、そう指摘する。
「システムの運転構成の選択肢が非常に多く、相互関係が非線形であるため、エネルギー効率を適切に予測して最適化するのが難しい」と同氏はいう。そこでGoogleはこの問題への対応策として、オペレーションを微調整しながらエネルギーを節約する機械学習システムを開発した。
アイルランドでも、データセンターの運用管理に直接適用できる機械学習技術への投資が進んでいる。外国投資の誘致を行うアイルランド政府産業開発庁(IDA)でテクノロジー、消費者およびビジネスサービス担当上級副社長を務めるシェーン・ノーラン氏は次のように語る。「アナリティクスやクラウドコンピューティングの分野には、データセンターにとって興味深いアウトプットがある。これら2つの技術分野の交差地点には、自己管理や自己設定、自己回復、自己防衛を行う自律システムを構築できる可能性がある」
同氏によれば、FacebookやApple、Google、Amazon.comといった大手ITベンダーのおかげで、アイルランドは今や欧州で最も急成長中のデータセンター建設地の1つになっているという。そのため、こうした設備の技術進歩やデータセンターにおけるシステム管理は極めて重要となる。
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