AIのような新機能も大事だが……
アプリケーションパフォーマンス監視(APM)の比較で着目すべき3つの機能(2/2 ページ)
2.レポート
どのAPMソフトウェアでも監視が基礎になる。一方、異常についてのレポートを作成できる機能がなければ、莫大な量のデータが生成されても役に立たない。監視と同様、多くのAPMツールにはレポート機能が1種類以上用意されている。
アプリケーションエラーレポート
ソフトウェア開発ではエラーが必ず起きる。だが、エンドユーザーで重大な影響が起こる前にそうしたエラーを特定して修復するのは難しい場合がある。大まかに言って、アプリケーションエラーレポートでは単純なログ収集と致命的なエラーの分析が必要になる。ただし、エラーはログが収集されている場所だけ起きるわけではない。多くのAPMツールは、一般的なフレームワークやプログラミング言語を直接統合する。それにより、サーバレベルのエラーに加えてアプリケーションレベルのエラーを取得する。Webパフォーマンス監視をサポートするAPMソフトウェアでは、このレベルのエラーレポートがWebブラウザベースのエラーにまで及ぶことが多い。
多くの場合、エラーレポートの本当の価値は、APMプロバイダーがエラーを集計してリストにできることだけではない。これらのエラーのパターンを識別できることにも価値がある。例えば「Dynatrace」は拡張性の高いAPMツールで、アプリケーションエラーを収集する機能が組み込まれている。さらに、ユーザーがエラーに遭遇する割合も特定する。一方、「Splunk」や「Grafana」といった競合製品は多彩なプラグインアーキテクチャを提供している。よりカスタム性の高いエラーレポート統合を実現するためだ。
負荷テストとアラート
全てのアプリケーションが拡張性の高さを必要とするわけではない。社内ツールやニッチな製品では負荷テストを割愛する場合が多い。一方、大規模な一般消費者向けのアプリケーションは高度な可用性を必要とする。つまり、負荷テストとリソース使用状況レポートが最優先になる。これらの種類のアプリケーションでは負荷テストが重要な要素となる。だが、その本当の価値はAPMプラットフォームが集計するデータからもたらされる。
アプリケーションインフラ全体でのパターンをさまざまな負荷レベル時に特定することは拡張性と安定性の計画に大いに役立つ。これを適切に円滑化するために、一部のAPMベンダーはサードパーティーの負荷テストプラットフォームと連携する。そうすることで、統合型のエンドツーエンドの負荷テスト環境をアプリケーションに提供する。このようなAPM製品には「AppDynamics」や「New Relic」などがある。また、Nagiosなどのオープンソースプラットフォームを利用すると、アプリケーション負荷の異常な急増を示すパターンを手動で特定することも可能だ。そして、その結果に応じてアラートを設定できる。
3.分析
多くのAPMツールは分析機能を用意している。これは生成された全てのデータを理解する大きな助けになる可能性がある。アプリケーションのエラー率や高いサーバ負荷を特定することには大きな価値がある。一方、もっと複雑なアプリケーションでは、これらの問題の分析を自動化するツールから大きなメリットを得られる。
根本原因分析
ソフトフェアの不具合に関して、アプリケーションエラーの根本原因を特定するのが難しいことは多い。データベースの構成ミスがWebブラウザベースのエラーページの原因になったり、サーバの過剰使用が蓄積してデータベース遅延の問題が生まれたりすることもある。根本原因分析は、不具合の修正で診断部分をショートカットするのに役立つ機能だ。さらに、エラーが発生したときにアプリケーションスタック全体の状況をより正確に特定しやすくなる。
根本原因分析ツールを備えたAPMツールは多くの場合、大手企業に最適だ。大手企業は大量のデータを保持しなければならないためだ。New RelicやCA Technologiesの製品は、アプリケーションのリアルタイム状態や過去の状態について詳しい情報を提供する。これらのプラットフォームでは、ユーザーによるアプリケーションの使用方法を特定したり、掘り下げたりすることができる。それにより高い可視性が実現する。同時に、サーバ固有のデータに加え、スループットメトリクス、エラー率、エンドユーザーの応答時間などのデータを使用することで、トラブルシューティングを行う。
人工知能(AI)
AIを標準のAPMプラットフォームに統合する背景には次のような考えがある。根本原因分析とパフォーマンス警告を行うための手動の診断手順をコンピュータでは実際に学習し、自動化できる。それにより、最終的には最適化する時間を増やして、デバッグの時間を減らせるようになる。
AIはまだ成長中の機能だ。だがDynatraceのように、原因を把握して、問題同士の間にある因果関係を見つけることを目的とした非常に印象的な機能を用意しているプロバイダーもある。AIはまだ発展途上なため、エラーやパフォーマンス問題への対処プロセスが確立されている組織には適さない可能性がある。だが、リソースが比較的少ない規模の小さい組織では、生き残りと繁栄とを分ける差になり得るものだ。
統合機能
クラウドのおかげで、管理者は孤立した状態でアプリケーション開発を行うことはめったになくなっている。サードパーティーサービスとの統合は例外ではなく、むしろ一般的だ。そのため、APMプラットフォームは複数のサードパーティークラウドプラットフォームと統合できるものが多い。統合の利点は、APMツールに対応するための抜本的な変更をインフラに加える必要なく、データセットに追加する方法が提供されることだ。
ほとんどのAPMソフトウェアでは何らかのプラグインアーキテクチャや統合機能が用意されている。一方、サービスの多様性が非常に高いプラットフォームが2つある。それはDatadogとGrafanaだ。商用製品からオープンソースまでの範囲をカバーするDatadogとGrafanaは共に、サードパーティー統合に関して広範なライブラリを提供している。そのため、ほぼ全ての主要サービスプロバイダーからのデータを集計して分析することが可能だ。
日常には、ソフトウェアアプリケーションが至る所に存在する。そのため、かつてないほどに速度や安定性の重要度が増している。APMプラットフォームはこうした問題に対する相対評価で優位を保つ優れた方法だ。だが、このソフトウェアのメリットを最大限に利用するには、自社に適したベンダーを選ぶことが欠かせない。
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