「物理的に」データに触れさせる案も
Airbnbが実践するBIベストプラクティスは使いやすさファースト
AirbnbとUnivision Communicationsが「Real Business Intelligence」カンファレンスで、成長促進とコスト削減の一助とするために使っているBI戦略を紹介した。
AirbnbやUnivision Communicationsのような数十億ドル規模の業界大手にとって、BIは欠かせない。BIベストプラクティスは成長を促進させる助けになる。
AirbnbのBI
宿泊サービスを提供するAirbnbではデータが継続的に流れ続け、経営上層部は毎日その動向を観察したいと考えている。同社のデータサイエンティスト兼財務インフラ担当製品マネジャー、テリーザ・ジョンソン氏は「Real Business Intelligence 2018」のパネルディスカッションでそう紹介した。
ジョンソン氏はもっと簡単に分析指標(メトリクス)を作成できるシステムの開発を推進し、データサイエンスチームがコラボレーションに集中できる職場環境を醸成した。
ジョンソン氏によると、Airbnbは大部分、独自のツール群を使ってデータを分類している。だが、同氏が使ったBIのベストプラクティスは「slice-and-dice」の手法だ。個人の別荘レンタル市場に関するメトリクスを、データを細切れにしながら分析、編集する手法だ。外出先でも作業できるよう専用のシステムも構築した。
しかし、このシステムには欠陥があった。
新しいメトリクスにわずかでも不具合が紛れていた場合、予期せずシステムの大部分がダウンしてしまう恐れがあったのだ。そのため同氏は、新しいメトリクスをシステムに導入する前に安全にテストできる開発環境を確立したという。
同氏はまた、大部分を手作業に頼らなくても新しいメトリクスを簡単に導入できる、拡張性が高く繰り返し可能なツールを開発した。このおかげで時間と労力が削減できたと話す。
「私が同僚の開発者から学んだことの1つは、使いやすさが求められるということだ。相手が自分のツールを使って苦労を強いられることは望ましくない」
データの透明性
Airbnbのデータは透明だとジョンソン氏は言う。
データに関する最終版の報告書は社内の誰でもアクセスできる。毎週、特定の主要ステークホルダーによって利用されるが、Airbnbの従業員約4000人のほとんどが、会社の報告書を参照するという。
毎日のように積極的に利用するユーザーは少数だが「社内の全員が関心を持っていることなので、社内の全員に情報を提供しなければならない」と同氏は指摘した。
オープンで透明な基盤は関心と責任感を呼び起こさせる。「秘密主義になってはいけない」とジョンソン氏は語った。
データをアクセス可能に
米TV局Univision Communicationsのシモーヌ・ナイト氏(マーケティング・メディアインテリジェンス担当副社長)はパネルディスカッションで、同社もAirbnbと同様の理念を持っていると紹介した。同氏もまた、使いやすくてオープンなシステムの必要性に言及している。
ナイト氏はできれば大型のタッチスクリーンを用意し、そこにダッシュボードを常時表示させることを提案した。そうした環境にあれば、データを参照しようというユーザーの意欲が高まり、もっと簡単にデータを掘り下げられるようになる。
会議では「Microsoft PowerPointの利用をやめよう。リアルタイムに状況を伝えるダッシュボードを使った方がいい。双方向性が高く、最新の情報を紹介できる」とナイト氏は述べた。
BIのベストプラクティスとしてのストーリー
特にマーケティングの世界では、データとともにストーリーを語ることが大切だとナイト氏は言う。新製品やツールを立ち上げる際は、顧客を引き付けてユーザーベースを確立するために、ストーリーを織り込むよう努めるのが最善の策だと指摘した。データの洞察を経営陣に説明しようとする際も、物語が重要な意味を持つこともある。
ナイト氏は、会議でプレゼンテーションをする前に、まず7歳の娘相手に話をすることがあるという。
「娘を相手にそれを単純化する方法を見つけられれば、誰が相手であっても単純化する方法が見つかる」と同氏は言う。
自動化されたBIシステムの有用性も高まっており、これによって従業員の貴重な時間を節約してコストを削減できるとも指摘した。
Univision CommunicationsではBIに加え、放送開始予定のテレビ番組の視聴率を予測するために、予測分析も使い始めた。アルゴリズムを使い、季節やその時間に放送中の他の番組、過去の番組の実績を参考にして、新番組の視聴率を予測できる。
一方、Airbnbでは「完全自動化された」フレームワークを構築して、データの分類や掘り起こしを行っている。
BIのベストプラクティスに関する説明の中でそれに言及したジョンソン氏は「適切なデータを取り込んで、意味のある方法でそのデータを組み合わせ、われわれが定期的かつ確実に浮上することを確認するために、フレームワークを構築した」と語った。
その自動化のためには「多少のインフラ」を要したが、今では時間やコストやエネルギーを削減できるようになったと話している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社ガラパゴス] 「AIっぽい広告」の山に埋もれさせない AIマーケで着実に成果をだす秘訣とは? -
製品資料
[株式会社ガラパゴス] 「広告投資」調査レポート2026:勝ち組企業は何に投資しているのか? -
製品資料
[株式会社Helpfeel] 「問い合わせの渋滞」を解消、情シスの負担を軽減する“次世代型AI”活用方法 -
製品資料
[株式会社Helpfeel] 対話型AIエージェント×RAGで社内情報の検索/問い合わせを効率化するには? -
技術文書・技術解説
[株式会社クレスコ] ソフトウェア開発の属人化と手戻りをどう防ぐ? 速さと品質を両立させる方法
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「Copilot」はなぜ放置される? “議事録要約止まり”を脱する処方箋
-
2
脱VMwareの前提が崩れる BroadcomのVDDK公開停止で確認すべき点
-
3
AI全部入り「Microsoft 365 E7」に企業が二の足を踏む訳 移行意向はわずか4%
-
4
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
5
IT製品の導入に関するアンケート「サーバ&ストレージ」編
-
6
AIエージェントはどう作る? まず押さえておきたい重要技術
-
7
「営業・マーケティングの悩みと企業データの活用」に関するアンケート
-
8
LLMの「過学習」、正しく説明している文章はどれ?
-
9
取手市がVDIと決別した理由 更改費用「4倍超」を約1.7倍に圧縮
-
10
APIキー奪取から3時間でクラウド掌握 Anthropicが暴いた「バイブハッキング」の現実的な防御策
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
マンガで解説:「ゼロトラスト」「SASE」の必要性とメリット
-
2
5回聞くだけじゃ足りない? トヨタ式「なぜなぜ分析」の正しい実践方法
-
3
インシデント対応工数を約3割削減、東京ガスの事例に学ぶ監視体制刷新のコツ
-
4
AIエージェントで多様な日常業務を効率化するための入門ガイド
-
5
JR西日本ITソリューションズが「監視業務の属人化」を解消した方法とは?
-
6
国税庁の次世代基幹システム「KSK2」稼働開始に向けて、対応すべき変更点とは?
-
7
5分で分かる「セキュア大容量ファイル転送サービス」の機能とメリット
-
8
ドラマで分かる、標的型攻撃メールの被害を受ける企業と回避できる企業の分岐点
-
9
少額減価償却資産が40万円未満へ拡大、令和8年度税制改正で押さえるべき変更点
-
10
「脱Excel」か「Excel快適化」か? 現場にやさしい業務改善の進め方
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー