表示の整合性を保つ
企業幹部の心を動かす優れたデータ可視化、7つの実践手法
データの可視化によって表示するデータが正しく解釈されるには、表示の整合性が必要だ。本稿で紹介する設計手順に従えば、表示の信頼性を高めることができる。
手が加えられていないデータそのものがスプレッドシートやレポートなどに含まれていると、それを読み取るのは難しい。そのため、企業のデータセットに埋もれた情報をビジネスの意思決定者に伝えるには、優れたデータの可視化がますます重要になる。
多くの企業では、グラフなどのインフォグラフィックを設計するよりも、データを可視化するプロセスの方が多く使われている。データアナリストとビジネスワーカーはどちらも、セルフサービス方式のBIツールやデータ可視化ツールを使って、可視化とテキストを織り交ぜたプレゼンテーションを作成し、データのストーリーを伝えようとしている。こうしたプレゼンテーションは、何も手が加えられていないデータや一連のグラフを見せるよりも、企業幹部の関心を得やすく、分かりやすくなる。
だが、データサイエンスを専門家以外が担当することが主流になっている。分析ツールや可視化ツールを使う人の数も増えている。そのため、作成するインフォグラフィックやデータのストーリー表示の整合性を確保するには、正しい設計手順に従うことが不可欠になる。
ここでいう表示の整合性(写実的な整合性)とは、可視化するデータの意味を正確に表現し、設計上の選択が本質的な事実や分析の成果をわい曲したり曖昧にしたりしないことを指す。ここからは、BIと分析戦略の一環として、表示の整合性を保つために推奨されるデータ可視化の実践手法を見ていく。
文章やグラフの信頼性を確保するには
- データの出自に関する情報を含める:データ可視化の作成に使用したデータソースを正しく引用しなければ、データの収集方法に関する潜在的に重要な情報を除外することになり、伝えるメッセージの信頼性に影響する恐れがある。
- データ変数の定義を明確にする:可視化の設計者は、プレゼンテーションの対象となる相手がプレゼンテーションに組み込まれたデータ変数の意味を理解していると思い込んでしまうことがある。しかし多くの場合は、プレゼンテーションの表示内容は、関係するデータ変数にテキストを添えてその内容を説明しない限り意味を成さない。全てのデータ変数を明確に定義し、誤解される恐れをなくす必要がある。
- 使用するデータを完全にする:データアナリストは、時折、読者の解釈を誤った方向に導くような、可視化からの情報の除外や情報の編成方法を取り決めることがある。例えば、外れ値を取り除くことで、可視化したデータの尺度を無理やり変えてしまうことがある。他にも、異なるデータ値を比較する読者の見方に影響を与えるため、グラフ軸の範囲を設定して、軸のしきい値を操作することもある。あるいは、グラフに含まれるデータ変数と相関性がある従属データ変数を除外することもある。軸に正しいラベルを付けないことでさえ、他の優れたデータ可視化を台無しにしかねないほどデータの完全性を損なうことがある。
- 一貫性を確保する:読者が正しく解釈できる方法でデータを提示する。よく問題になる例は、1つのグラフに複数の軸を重ね、それぞれ異なる軸に対応する線を含める方法だ。例えば、異なるY軸を2本用意し、それぞれにラベルを付けて左右に配置する。これは対比を示すために行われる。だが、2つの軸に関連がなければ、それぞれの線から推測される関係は何もない。他にも、色、図形、テクスチャ、線種や線の太さの使い方も誤解を与えることがある。
- 縮尺にも一貫性を持たせる:優れたデータの可視化では、要素のサイズとデータが示すことを対応させるべきだ。場合によっては、熱心な設計者が、分析結果を際立たせようと、大きく示して強調しようとすることがある。これは人を惑わせる行為だ。特にグラフ上の要素のサイズと実際のデータ値の比率が懸け離れるほど問題が生じる(エドワード・タフト氏は著書『The Visual Display of Quantitative Information』の中でこれを「うその因子(lie factor)」と表現している)。
- 「ノイズ」を表示に含めない:優れたデザインのデータ可視化には、提示するデータを正しく反映しないアイコンなどのグラフィックスは含めないようにする。これ以外には、データの解釈に影響する可能性のある画像には設計者が編集コメントを追加する。
- 表示できないデータにフィルターをかけて除外しない:可視化の設計によって、表示できるデータが制限されることがある。例えば、事業幹部が対話型のダッシュボードでドリルダウンできるデータの次元にフィルターをかけて制限してしまうような場合だ。データの可視化では、事前に定義する一連のフィルタリング基準があるとしても、読者が全ての関連データ値を自由に見られるようにする必要がある。
多くの可視化がこうした基本ガイドラインのいずれかに従っていない状況に驚くかもしれない。データアナリストなどのユーザーは、本当に表示の整合性があるデータの可視化を慎重に設計し、文章でもグラフでも、提示する情報の信頼性を確保しなければならない。
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