AI技術で高度な分析をより容易に
Tableauが挑む「拡張分析」とは? EmpiricalのAI技術で実現へ
Tableauは人工知能(AI)スタートアップEmpirical Systemsの買収により、自動データモデリング機能の提供とBI/分析の活用範囲拡大を目指す。
Tableau Softwareは2018年6月13日、人工知能(AI)技術のスタートアップ(創業間もない企業)、Empirical Systemsの買収を発表した。Tableauはこの買収により、同社のセルフサービス型ビジネスインテリジェンス(BI)製品の分析機能を強化する狙いだ。AI技術を使ったEmpiricalの分析エンジンで、データモデリングのプロセスを自動化すれば、統計の専門知識のないエンドユーザーでも高度な分析機能を利用できるようになる。
Empiricalはマサチューセッツ工科大学(MIT:Massachusetts Institute of Technology)のAI技術研究プロジェクト「MIT Probabilistic Computing Project」のスピンオフ(分離独立企業)として誕生した。Empiricalのデータ分析技術は、自動的に分析データをモデリングして、インタラクティブな予測分析情報を提供するという。
この技術はまだβ版だ。Tableauの最高製品責任者を務めるフランソワ・アジェンスタット氏は、β版を利用中のユーザー企業数を明らかにしていないが、現在のユースケースは幅広く、小売、製造、医療、金融分野の企業が含まれると述べる。適用範囲が広いことも、Empiricalを買収した理由の一つだという。
先進技術で遅れを取り戻す
商品調査コンサルティング会社Impact Analytixの創業者であるジェン・アンダーウッド氏は、TableauのEmpirical買収には、分析情報の自動生成機能に関する遅れを取り戻す狙いがあると見ている。
アンダーウッド氏は「既にそうした機能を提供しているBI/アナリティクスベンダーがある」と指摘。DatoramaやTIBCO Softwareを例に挙げる。同氏によれば、TableauはEmpiricalの自動データモデリングと統計分析技術によって、競合他社に差をつけることができる可能性がある。ただし両社の統合計画がまだ不透明であるため、現時点ではまだ結論が出せないという。いずれにせよ、この技術はTableauのユーザー企業にとって有用なものになると同氏は考えている。「これは歓迎されるだろう。一般のエンドユーザーも、高度な分析機能を容易に利用できるようになる」(同氏)
Tableauは既に、機械学習技術をはじめとする自社自身のAI技術の開発にも力を入れている。同社が2018年4月にリリースしたデータプレパレーション(データ準備)ソフトウェア「Tableau Prep」には、AI技術を使ってデータセットをグループ化するアルゴリズム「ファジークラスタリング」が組み込まれている。2017年には、分析アプリケーション向けの推奨データソースを示す推奨エンジンをリリースした。アジェンスタット氏によると、これは動画配信サービス「Netflix」のレコメンド機能(視聴履歴に基づいてお薦めの映画やテレビ番組を表示する機能)と同様の機能だという。
統合計画はまだ不明
今回の買収により、Tableau製品からEmpiricalのソフトウェアを利用できるようになるのかどうか、その利用に追加料金が発生するのかどうか、アジェンスタット氏は明らかにしていない。同氏は「アドオンにするのか、どのような統合にするのかは、まだ語る段階ではない」と述べる。
とはいえEmpiricalのエンジンは、Tableau製品の「基本要素の一つ」になる可能性が高く、少なくとも部分的に背後で動作することになるだろうとアジェンスタット氏は述べる。「Tableauのさまざまな部分をよりスマートにすることを目指す」(同氏)という。
アジェンスタット氏によると、Empiricalが採用する予測アルゴリズムは、他の予測アルゴリズムとは違って膨大な量のデータを必要とせず、「大規模から小規模までさまざまな規模のデータ」を分析対象にできるという。いずれ統合を進める際には、Tableau製品でデータセットの傾向や外れ値を特定しやすくし、調査すべきファクターを素早くエンドユーザーに示せるようにしたいという。
「拡張分析」採用の動向
機械学習を活用した次世代のデータ分析技術「拡張分析」(Augmented Analytics)を採用するTableauの動きは、調査会社Gartnerが2018年2月に発表した報告書「Magic Quadrant for Analytics and Business Intelligence Platforms」2018年度版の指摘する傾向と一致する。
Gartnerによると、さまざまなベンダーが自社のソフトウェアに機械学習ツールを組み込み、データプレパレーションやデータモデリング、分析情報の生成に役立てようとしているという。データの複雑化はますます進んでおり、拡張分析は「ユーザー企業が重要な分析情報を素早く見つける助けとなる可能性がある」という。
拡張分析機能は、まだBIソフトウェアを購入する場合の要件の主流にはなっていない。ただし「ユーザー企業にとって、ベンダーが急速にイノベーションを進めている証しになる」と同報告書は付け加える。
Empiricalの8人は、買収後も引き続き同社製ソフトウェアの作業に従事する。Tableauは買収額を公表していない。同社はEmpiricalの拠点である米マサチューセッツ州ケンブリッジに研究開発センターを創設する計画だ。
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