200万人の開発者にアプローチ
SAPのデジタルトランスフォーメーション戦略 成功の鍵は開発者との関係構築
SAPのデジタルトランスフォーメーション(DX)戦略について、同社の最高デジタル責任者(CDO)、バートラム・シュルテ氏が語った。デジタルビジネスの上で、顧客企業が求めていることとは。
SAPはデジタルトランスフォーメーション(DX)ビジネスの最前線で活動し、企業が新しいデジタルビジネスのチャンスを生み出すためのテクノロジーとアプリケーションを販売している。しかし、同社自体もDXの過程であり、その戦略の展開を迫られている。
本稿では、SAPで最高デジタル責任者(CDO)を務めるバートラム・シュルテ氏に、同社のDX戦略について話を聞いた。同氏は、新しいアプリケーションとサービス、ビジネスチャンス、ライセンスモデルの提供方法の立案にどのように目を向けているかについても語った。シュルテ氏は2017年にCDOに就任する前にSAPで幾つかの経営幹部の職に就いており、直近では製品およびイノベーション部門の取締役会の統括部長を務めていた。
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このインタビューは抜粋になります。
――SAPでのCDOの役割はどのようなものですか。また、SAPのDX戦略を立案した方法を教えてください。
バートラム・シュルテ氏(以下シュルテ氏) 企業内には、DXによって変化をもたらすことができる部分がたくさんある。SAPでは、カスタマーエンゲージメント、中でも販売の仕方がDXを促進する最初のフィールドになると考えている。
(当社の前CDOヨナタン・ベッヒャー氏は)過去数年にわたり当社の販売戦略の確立に努めた。そのおかげで、当社は現在120カ国の顧客とパートナーにWeb(と自動プロセス)を通じて販売できるようになっている。
――それは、従来の販売経路を利用したビジネスモデルからの非常に大きな変化ですが、SAPでは複数の販売経路の競合にどのように対処しましたか。
シュルテ氏 ベッヒャー氏は、販売経路同士が競合するのを避け、従来の経路では販売していなかった製品の商品化に力を注いだ。それらは、オンライン販売向けに特別に設計された製品やパッケージ、または従来のフィールドで全く扱われていなかった製品だ。結果、バックエンドプロセス、法務、クレジットカード対応など、必要な全ての機能をある程度独立した体制で構築する機会を得た。
当社は現在、従来の経路で販売していた全製品をオンラインストアのSAP Storeで販売しようとしている。範囲を拡大して、SAP製品だけでなくパートナーの製品も販売している。
――SAPのDXではどのような手段を利用していますか。
シュルテ氏 現在、SAPには、SAPアプリケーションを販売する「SAP Store」、パートナーアプリケーションを販売する「SAP App Center」、教育用サービスの販売専門のストアという複数のオンライン販売形態があり、顧客を非常に混乱させている。そのため、当社戦略の2つ目のポイントは顧客エクスペリエンスの統一になる。
調査を行ったところ、製品の契約、ライセンスのコンプライアンス、ライセンスの更新を管理するのが顧客にとって難しくなっていることが分かった。そのため、これらの管理を行うSAP.comの「My Account」セクションの改善に取り組んでいる。このセクションの透明性を高め、有効な契約、所持するライセンス、利用しているサブスクリプションや従量課金制モデルがひと目で分かるようにする。顧客は、B2C環境のようにアプリケーションを更新できる。
SAPの製品とパートナーの製品を顧客に直接販売に関する取り組みに加え、販売パートナーがより簡単に適切なパートナープログラムを見つけ、利用申し込みをし、そのパートナープログラムから価値を得ることができるように、パートナー向けの商用エクスペリエンスにも取り組んでいる。現在、このプロセスは煩雑だ。そのため、当社はこれらを全て統合したパートナー向けのデジタルエクスペリエンスを構築し、直接アクセスできるようにすることを考えている。
――SAPのDX戦略に成功の兆しは見えていますか。
シュルテ氏 当社の戦略は継続的なプロセスで、まだ先は長い。ただ、非常に複雑な取引や数百万ドル規模の巨額取引の場合は別として、顧客が営業担当者を通す必要があることを全てオンラインでも実行でき、そしてそれが非常に素早く簡単な方法であれば、オンラインは優れたカスタマーエクスペリエンスになる。これが実現すれば、当社が満足するレベルに達したといえる。
当社は既存のプロセスにも目を向けている。既存のプロセスをデジタル化してデジタルエクスペリエンスに組み込む方法を探っている。それ以外にも、新しいビジネスモデルを実現し、顧客エクスペリエンスを向上させることで新たな営業収益を生む方法を解明する予定だ。これは、SAP Cloud Platformへの当社の取り組みにとって非常に重要だ。
――SAPと同規模の企業にとって、DXを実施する際の大きな課題は何ですか。
シュルテ氏 SAP Cloud Platformではチームを率いる最高情報責任者(CIO)と話を進めてきたが、CIOとの関係よりもっと重要なのは、SAP Cloud Platformで実際に作業する200万人の開発者それぞれとの関係であることが分かった。
つまり、チームを率いる2000人のCIOよりも、200万人の開発者それぞれと効率的かつ継続的に関わるにはどうすればよいかが課題になる。これは、デジタル化に伴う使命だといえる。改善する必要があるのは、開発者に可能性を与えるための方法だ。具体的には、開発者を教育するには、開発者とプロジェクトをデジタルでサポートするには、SAP Cloud Platformで何ができるのかについて、ユースケースを用いて開発者を鼓舞するには、どのようにすればいいかが課題だ。
当社はまず、こうした課題への答えの1つとして、開発者と営業担当者の関わり方を変える必要があると考えた。ところが調査を行うと、大多数の開発者が誰とも関わりたくないと答えた。開発者はセルフサービス方式を好み、主導権を持ちたいと考えている。例えば夜の10時にデータストリーミングサービスを自分のIoTプロジェクトに統合する方法を調べるとしたら、オンライン上で優れたWebセミナーやFAQを利用して仕事をこなせるようにしたいと思っている。
これは、SAP Cloud Platformに関する今後のテーマだ。当社はSAP Cloud Platformを改善し、ガイドを増やし、より自然な方法で利用できるようにするにはどうすればよいかを考えている。
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