「5G」だけでは不十分
スマートカーのデータ通信を失敗させない3つの方法
インターネットに接続する「スマートカー」のメリットを引き出すには、車両が生み出す大量のデータを素早く、かつ確実に送受信する必要がある。「5G」はその有効な手段の一つだが、それだけでは不十分だ。
今後数年、インターネットに接続する「スマートカー」の数が増えるのに伴い、無線データに対する新たなアプローチが必要になるだろう。Intelの調査によると、スマートカーは1日当たり4000GBのデータを処理するという。ソナー(超音波センサー)やレーダー、GPS(全地球測位システム)、カメラ、音楽配信サービスのアカウントなど、スマートカーのさまざまなコンポーネントが大量のデータを生み出す。
自動運転を可能にするスマートカーは、公共の安全を高め、交通量を緩和する未来の交通手段だといえる。同時に、一般的なインターネットユーザーとは比較にならないほど、多くのデータを作り出す。現状の無線接続では、こうした膨大なデータ量に対処できない可能性がある。
経済誌Forbesの電子版に掲載された、半導体企業Maja Systemsの共同創設者兼最高技術責任者(CTO)であるジョイ・ラスカー氏のインタビューによると、現状ではスマートカーが生み出す1週間分に相当するデータ量を転送するには、230日掛かる。予防整備など、重要なデータを転送することを考えれば、この転送速度は明らかに最適ではない。事故に巻き込まれた車の位置情報のように緊急性の高いデータになると、とても現実的とはいえない。
こうした問題を一部解決する可能性を秘めているのが、「5G」(第5世代移動通信システム)だ。安定したデータ転送が必要なデータセット向けに、5Gは低遅延のデータ転送を提供する。緊急性の高いデータの大半は、5Gで処理することになるだろう。通信機器大手Ericssonは最新のレポートで、米国のモバイルトラフィックの約半数が、2023年までに5Gで処理されると予測している。
裏を返せば、生成されるモバイルデータの約半数は5Gで処理されないことになる。たとえ約半数だとしても、ラストワンマイル(通信事業者とエンドユーザーを結ぶ末端区間)への対処やネットワーク密度の制限といった、現在のネットワークが抱える問題を解決する必要があることは変わらない。
現在、米ロサンゼルスからラスベガスまで自動車で移動すると、砂漠地帯を通過する間はインターネットに全く接続できなくなる。つまり通常走行では、ほぼ確実にネットワークにつながらない空白地帯を通ることになる。スマートカーを最終的に市場で実現するには、この空白地帯の問題を解決する技術が必要になる。
スマートカーのインターネット切断リスクに対処する方法には、以下の3つがある。
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ネットワーク多様性の確保
モバイル通信事業者各社は、5Gを積極的に展開している。だが依然として、重要なデータが代替ネットワークを通じて送信されていることを認識する必要がある。LTEや3G(第3世代移動通信システム)でさえ、引き続き使用されることになる。
各周波数帯には、それぞれ適したユースケースがある。低周波数帯ほど長い距離を伝送できるものの、データ転送の安定性に欠けることが少なくない。スマートカーメーカーに「危険な状態を脱した」といった通知を送信するなど、緊急性の高くない情報を送信するユースケースには最適だ。
スマートカーメーカーとの連携
モバイル通信事業者はスマートカーメーカーと連携し、何がミッションクリティカルなデータなのかを特定する必要がある。スマートカーのライフサイクル全体での連携が不可欠になる可能性もある。
例えばスマートカーメーカーが、複数種類のOSアップグレードを考えているとする。安全性を確保する機能を強化するためのアップデートと、新しい調光機能を含んだアップデートだ。こうした情報が事前に分かっていれば、通信業者はアップデートごとに5G回線経由で送信するか、低速回線経由で送信するかを決めることができる。
V2X通信の使用
企業では、従業員のインターネット接続を改善するため、免許不要の周波数帯を使ってLTE通信技術の「LAA」や、政府機関が開放した周波数帯を使った民間サービス「CBRS」を活用するようになっている。ただし屋内での使用例はほとんどない。こうした周波数帯は、一般的に屋外での特定のユースケースに利用されている。
モバイル通信事業者は、スマートカーメーカーとの連携の一環として、これらの革新的な周波数帯活用手段のベストプラクティスを共有できる。こうした取り組みを通じて、スマートカーとそれを取り巻く全てのものとの通信を管理する車車間・路車間(V2X)通信技術を使った、シームレスなネットワークインフラを構築できる。そうすれば、スマートカーとモバイル通信事業者、スマートカーメーカーの間で正しくデータを中継できるようになる。
Waymo、Uber Technologies、Lyftなどの企業は、米国内全域でスマートカーのテストを実施している。最終的にこれらの企業が成功するには、モバイル通信事業者各社がスマートカーに必要なデータ量を処理できるかどうかに懸かっている。この市場が目標を実現できるようにするには、モバイル通信事業者が多様なネットワークを維持し、スマートカーメーカーと連携することが不可欠になる。
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