注目は「ネットワークスライシング」機能
無線技術「5G」とは何か? 先行準備企業が語る「これまでとの革命的な違い」(1/2 ページ)
5Gは、超高速ネットワークと大容量通信の実現を約束する新しい通信技術だ。低レイテンシとスループットの向上を必要とする事業は、このテクノロジーのメリットを真っ先に体感できるだろう。
通信業界は、第5世代移動通信システムである「5G」が、世界中のビジネスに多大なる経済効果をもたらすと期待している。2018年、ネットワーク事業者は5Gのテストを増やし、標準化団体は5Gの仕様策定を続ける。そして、企業顧客は5Gのメリットに関心を高めつつある。5Gはビジネスユースへの道を着々と歩んでいるようだ。
5Gの技術は依然開発途上にある。それでもネットワークアナリストや先進企業は、無線ネットワークの高速化と大容量化に期待を寄せている。通信事業者は、2018年いっぱいをかけて5G無線製品と5G固定ブロードバンドサービスのテストを続けると予想される。その後、2019年に商用導入を開始し、2021年までには5G対応のスマートフォンやデバイスを提供することをもくろんでいる。全体で見ると、商用モバイル5Gサービスの利用は恐らく2025年まで広がることはないだろう。
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5Gはまだ開発プロセスの初期段階だが、無線ブロードバンドの速度を上げ、機能を拡張するため、生産性やビジネス効率の向上が期待できる。こう話すのは、コンサルティング会社のMoor Insights & Strategyでアナリストを務めるウィル・タウンゼント氏だ。
企業向けと消費者向けの新しい5Gサービスは段階的に展開されるだろうとタウンゼント氏は語る。2018年に消費者向け5G無線ブロンドバンドサービスの商用化前の試験的展開を計画している通信事業者もある。これには固定回線ではなく無線ネットワーク技術を使用する。
通信事業者は、LTE、LTE-Advanced、LTE Advanced Proなどの4Gネットワークを運用している。4Gの場合、モバイルデバイスはピーク速度100Mbps~1Gbps前後でデータを交換できる。だが、新しい5G技術はピーク速度が最大10Gbps以上に上昇するという。4Gからのこうした大幅な高速化は、5G無線技術を最大限に活用する鍵になるとタウンゼント氏は語る。
企業での5Gへの準備
低レイテンシ(待機時間の短縮)とスループット(一定時間の処理量)向上を必要とする業界、例えば医療、金融サービス、エネルギー、フィールドサービス系の企業などでは、5Gが与える影響は計り知れないとタウンゼント氏は話す。
モノのインターネット(IoT)アプリケーション、自動運転車、一部の製造プロセスなど、通信に関して特殊な要件を持つ企業は恐らく5G無線技術のメリットを真っ先に体感できる。そう語るのは、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers。アメリカ合衆国に本部を持つ電気工学・電子工学技術の学会)の研究員であり、ニューヨークにある研究大学(New York University Tandon School of Engineering)で准教授も務めるサンディープ・ランガン氏だ。
「5Gを電話会議に関する技術、特に仮想現実や拡張現実と組み合わせることができれば、業務で使用する通信が劇的に強化されるだろう」(同氏)
同氏によれば、5G無線技術への準備を始めている企業について触れ、中にはIoTなど、5Gの機能を活用できる可能性があるアプリケーションに注目するよう経営幹部やIT管理者に指示している企業もあるという。また、従業員に技術への注目を促し、5Gを今から学ばせることは最適な準備方法だとも付け加えた。
5Gに向けていち早く準備している組織の1つが、オデッサ医療センター(Odessa Medical Center Health System)だ。2250人以上のスタッフを抱える同病院は、所在地が28カ所に点在している。IT管理者のブラッド・シュック氏によると、5Gに注目しているのは将来を見据えてのことだという。17の地域で医療を提供する同病院は、5G無線技術への準備として2016年に無線ネットワークをアップグレードした。5Gに向けて準備する必要性をこの当時から既に感じていたという。同病院のネットワークは5Gデバイスが利用できるようになったら、すぐにサポートする体制が整っている。
「帯域幅が広くなり、速度が上がることでメリットを得られるのは、放射線医学など、画像アーカイブシステムや通信システムに膨大な量のデータを送信する医療部門だ」(シュック氏)
タウンゼント氏によると、5Gの大きな強みの1つは「ネットワークスライシング」をサポートすることだという。これは、通信事業者が単一の5Gネットワークを複数の分離された「仮想スライス」に分割するという考え方だ。各スライスが例えば「速度が速く、信頼性が高い通信」と「低速だが大量のデバイスとやりとりする通信」といったそれぞれ異なるビジネスサービスを企業顧客に提供できる。
医療に置き換えれば、遠隔手術だ。遠隔手術には、待機時間が短い高速リアルタイム接続を必要とする。オデッサ医療センターはいずれ5Gを使用してネットワークスライシングを実行できるようになるだろうと同氏は話す。あるスライスは例えば遠隔手術に対処し、離れた場所に大量の動画データを送信する。別のスライスは、定型的な作業をナースステーションでサポートすることもあれば、病院の無線ゲストアクセスをサポートすることもある。こうして各医療部門が安全で独立した固有の仮想スライスを持てるようにする。
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