コネクテッドカーだけではない、その恩恵
5Gが普及をするとあの業界がIoTで得をする仕組み
第5世代移動通信システム(5G)は、転送速度、堅牢なセキュリティ、幅広い帯域幅といった面で、IoT(モノのインターネット)の普及に大きく貢献する……と、彼らが力説する“業界的”な理由があった。
第5世代移動通信システム(5G)は、インターネットの接続環境を現状から大きく拡大することで、現在開発が進んでいる多くの技術でその実用化を後押しする。いま、多くの関係者が5Gのメリットを訴求しているが、彼らがこのように5Gを宣伝するのには理由がある。それは、5Gの実用化によってサービスプロバイダーがIoT専用のネットワークを構築し、最終的にはIoT関連のアプリケーション導入を加速して、契約者の数を増やそうとしているからだ。
ある予測によると、事業者が5G対応ネットワークを提供するようになれば、20億台以上のユニットがIoTによってインターネットに接続する。この状況が現実となるのは2020年という考えが大勢だが、もっと早いと示唆する専門家も少なくない。
確かにIoTでは、転送速度から柔軟に設定できるデータ帯域幅など、5G対応ネットワークがもたらすメリットをすぐ享受できるようになる。その上で、5G対応ネットワーク到来の恩恵をすぐに得られる業界として、インターネットに接続できる“コネクテッドカー”が登場する「自動車」、“スマートシティー”の整備に携わる「建築土木」、そして所有車両を管理する「物流」が挙がっている。
自動車業界とIoT
インターネットに接続できる自動車「コネクテッドカー」は、強力なIoTデバイスだ。それが自動車の利用を楽にものか娯楽を増やすものであるかには関係なく、ユーザーがIoTを利用するために最も多く接続するアクセスポイントになるだろう。自動車の利用を楽にする側面としては、無線による車両関連情報の更新やリモート点検などがあり、娯楽を増やしてくれる側面としては、ストリーミングコンテンツの提供、車内で利用できる無線LANアクセスポイントの提供、安全機能などが含まれる。コネクテッドカーに対する需要は確実に増加している。AT&Tなどの移動体通信事業者のネットワークには、携帯電話以上に自動車が接続している。路上を走るコネクテッドカーは、2021年までに3億8千万台を上回る見込みだ。
コネクテッドカーは、5Gネットワークの導入によるメリットをすぐに享受できる。例えば、高帯域幅の管理で5Gの柔軟性を活用したり、M2Mデータ通信(リモート点検などに利用する機械間データ通信)に必要なデータの少なさを利用したり、より少ないデータ量に対して5Gの高速転送を自律走行車両での自動運転に利用できる。5Gの高帯域幅では、ストリーミングコンテンツ、無線LANアクセスポイント、安全運転支援機能など、IoTに接続して既に利用できるサービスの強化も可能だ。
建築土木業界とIoT
「スマートシティー」では、エネルギー効率の高い街灯や交通状況に合わせて切り替え間隔を変更できる信号機、街中に設置したセンサーなど、IoTに接続した各種デバイスを利用する。スマートシティーも5G対応ネットワークによって、効率を高め、かつ、その存在を意識しないほどに遅延しないで機能するようになる。5G対応ネットワークは柔軟性が高く、幅広いデータに対応できるため、多種多様なデバイスの要件を抱えるスマートシティーでは特に便利だろう。例えば、駐車場で利用しているセンサーを利用状況に合わせた省電力を可能にしたり、リアルタイムの入力トラフィック、待ち時間を短縮するために遅延のない接続を可能にしたりできる。
現在、利用状況に合わせた省電力については、データの使用量が少ないアプリケーションの接続を効率的に処理する無線通信規格「LoRa」のように、省電力広域ネットワーク(LPWAN)技術における成功例が既にある。また、待ち時間短縮では、主に4Gや3G対応ネットワークの処理能力に依存している。だが、5G対応ネットワークの柔軟性、効率的なデータ使用、待ち時間の短縮により、スマートシティー業界は、数多くの利用場面に対して適用可能な包括的でリアルタイムに運用できるシステムを提供できるようになるだろう。ここで提供したシステムで、スマートシティーを効率的に運営し、そこに暮らす住民や勤務者に快適な環境を提供できるようになる。
物流業界とIoT
5G対応ネットワークの柔軟性により、企業は特定の利用目的にデバイスを最適化できる。物流業界における配下車両の管理(業界関係者はこれをフリートマネジメントと呼ぶ)において、5Gの高帯域幅は、大量のデータを必要とする効率的なマシン間データ通信(M2Mデータ通信)に欠かせない。5G対応ネットワークにより、世界中で販売している車両はエンジンのパフォーマンス、総走行距離、事故原因を特定するための動画データに関するリモート更新を送信できるようになる。物流会社は、最適な燃費で走行しているトラックがある一方で燃料を浪費しているトラックを検出できれば、現状の運転関連データを解析して原因を特定できる。このような診断ができれば、メンテナンスによる不要な移動がなくなり、走行時間と燃料効率が最適化できる。
効率的な商品の輸送は、これまでになく重要になっている。だが、運送業界は今も長い待ち時間に苦しんでいる。データ効率の高い5G対応ネットワークは、輸送コストを削減し、業界全体で質の高いサービスを提供できる大きなチャンスとなっている。
最終的には“ユーザー”にとってもいい結果になる
今後数年で5G対応ネットワークが登場すれば、現在のIoTがもたらすビジネスの利益はこれまで以上に高まるだろう。コネクテッドカー、スマートシティー、配下車両管理といった技術は、5G対応ネットワークの高い柔軟性、データ効率、転送速度によって最適化するだろう。そして、最終的には、ユーザーと企業にとって、望ましい製品とサービスが登場するはずだ。
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