店内ロボット「LoweBot」とは
見つからない店員よりも人当たりのよいロボットに相談、“小売り×IoT”の最新事例
Lowe'sが2年間テストしてきた店内ロボット「LoweBot」が間もなく利用可能になる。最新ITを使うことによって小売業界はどのように変わるのだろうか。
2016年8月、住宅リフォームを手掛けたり、生活家電を販売したりするLowe'sは、2014年から2年にわたってテストをしてきた新しい店内ロボットが間もなく利用可能になると発表した。Lowe'sの「LoweBot」は、顧客が商品を見つける手助けと、在庫追跡という2つの主要な領域に特化して機能を提供する。このロボットは、小売りと「モノのインターネット」(IoT)の組み合わせについて、豊富な知見をもたらす。顧客の立場を考えると、店員を見つけるのに労力をかけるより、自動化された人当たりの良いサポート役の方がはるかに快適だろう。さらに在庫追跡の面では、Lowe'sが成功すれば、LoweBotはリアルタイムのサプライチェーンを大きく前進させる可能性がある。
小売業界は、巨大で変化が早い。小売業界の団体であるNational Retail Foundationによれば2015年の市場は3兆2千億ドル規模に達している。Gartnerによれば、2016年に世界中の小売市場で企業は、効率化のために約2000億ドルもの投資をITに対してする可能性があるという。
小売りにおける商業ロボティクス
iRobotの「ルンバ」を超える家庭用のロボットがお目見えするのは当分先になりそうだが、商業ロボットの応用に関しては、全く別の話だ。管理と監視が行き届いている環境なら、ロボットは非常に役立つ。
Lowe'sはFellow Robotsとパートナー関係を結び、2013年にLowe'sが買収したサンフランシスコ湾岸地帯のチェーン店Orchard Supply Hardware Storesの1店舗で、2年間の試験運用を実施した。多くの店舗は、モバイルアプリケーションを推進している。だが小売りの未来は、顧客にスマートフォンを取り出させることなく、周囲や前面にあるテクノロジーの選択を体験することを目指している。
例えば、Lowe'sの受付ロボットは来客を認識して、自然言語処理によって目的の商品があるところまで顧客を案内することを想定している。またその商品の在庫があるかどうかについては、あらかじめ伝えておく必要もある。より洗練されたアプリケーションなら、以前の購入に基づいてギフトやセール中の商品を提案できるかもしれない。
IoTのメリットは
小売りのロボットは、幅広い技術進歩の氷山の一角にすぎない。インターネットに接続されたロボットは、店舗全体の在庫状況をリアルタイムで把握し、協調的な受付役をこなし、顧客の要求に応じる。これにより、Lowe'sなどの企業は、自社のサプライチェーンを劇的に改善することができる。
サプライチェーンの変革
Gartnerは、2016年に発表した2つのレポートで、企業がサプライチェーン戦略に取り組むことを推奨している。2016年5月には「Retailers Must Redesign Their Supply Chain Networks to Support Multichannel Growth」(小売業者はサプライチェーンネットワークを見直してマルチチャネルの成長をサポートする必要がある)を、2016年3月には「Retail Industry Outlook 2016: The Year for Accelerating Your Supply Chain Transformation」(2016年の小売業界の展望:サプライチェーン変革を進めるべき1年)を公開している。このレポートで、Gartnerは次のように述べている。
「小売業者は、買い物での選択肢やリターンに対する消費者の期待を膨らませることに関する議論を今すぐやめて、消費者のニーズを満たすために必要なプロセスやテクノロジーの実装に着手すべきだ」
また「在庫精度や可視性といった基本的な作業への投資をしない小売業者は、成長と規模拡大の目標を達成できないリスクを負う」とガートナーは述べている。
リアルタイム分析
店舗内ロボットのネットワークからリアルタイムで得られるデータにより、Lowe'sは事業を独特な立場で効率的に管理している。継続的にサプライチェーン業務を洗練し、消費者の行動傾向を特定し、店舗でのやりとりを今よりも詳しく理解して、より快適に買い物ができるようにしている。
理解と適応
Fellow Robotsの製品ページを細かく見ていくと、ERPソフトウェアとの統合に加え、在庫のスキャンや監視といった機能が確認できる。これらは高度な機能であるものの、小売業者が消費者を理解し、消費者のニーズに適応するのに役立つデータの収集とアプリケーション進化の未来を示している。
今やつながりが重要になる小売り
何年にも渡って、小売業界はマルチチャネルのマーケティングの話題で持ちきりだった。マルチチャネルは、消費者がオンラインとオフラインのどちらでもシームレスにつながれることを期待している。LoweBotは、このマーケティングを個人レベルの精度に高める可能性を秘めている。本人確認さえできれば、LoweBotはLowe'sに関する顧客の履歴を取得して、その顧客が特定の店舗や自宅周辺の複数店舗を訪れたときには、各店舗にあるLoweBotは完全な状況を把握することができる。
Lowe'sはLoweBotを活用することで以下のことが可能になると期待している。
- 従業員が事業に関する専門知識と個人向けサービスの提供に集中する時間をより多く確保できるようになる。
- LoweBotに備わっている在庫のスキャンとリアルタイムデータの取得機能により、最終的なビジネス意思決定に影響を及ぼすパターンやギャップを検出できる。
- よりシンプルでシームレスな顧客との対話ができる。
ただし、個人的には、このLoweBotの実験が成功しても、IoTと小売りの未来に大きな影響を与えるかどうかは疑わしいように思える。
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