IoTビジネスはもう始まっている【後編】
移動の時間を幸せに――JapanTaxi 川鍋社長が語る「Internet of Taxi」の未来(1/2 ページ)
日本交通のIT子会社JapanTaxiは、タクシー体験をより豊かにするためにソフト、ハードの両面でIoTを推進している。川鍋社長が配車アプリやデジタルサイネージの取り組み、クラウド活用について語った。
前編「大阪ガスの「エネファーム」に学ぶ、IoTマネタイズのヒント」に続き、アマゾンウェブサービスジャパン のイベント「AWS ソリューション Day 2016」からユニークな「IoT(モノのインターネット)」事例をお伝えする。後編のテーマは、日本交通のIT子会社であるJapanTaxiの取り組み、その名も「Internet of Taxi」だ。
大手タクシー会社の日本交通を母体とするJapanTaxi(旧:日交データサービス)は、1977年に日本交通グループの電算部門が独立した企業だ。「移動の仕組みを良くしていこう、ITで。」をビジョンに掲げ、タクシー配車モバイルアプリケーション「全国タクシー」の運営の他、ソフトウェアからハードウェアまで一貫した製品開発を手掛けている。JapanTaxi 代表取締役社長であり、日本交通の代表取締役会長も務める川鍋一朗氏が、配車アプリやサイネージタブレット、さらには自動運転技術などを題材に、IoTの活用によってタクシーはどう変わるのかについて語った。
「Internet of Taxi」とは?
川鍋氏は同社が積極的にIoT活用に取り組む背景について、「IoTというワードが注目されているが、当社にとってのIoTとは『Internet of Taxi』のこと。これを言葉だけでなく実践していくことがわれわれの使命だ」と述べる。タクシーの移動時間や空間を通じて、「人々にさらなる幸せをもたらすために、ソフトウェア/ハードウェアの両面からIoT活用を推進している」(同氏)。
JapanTaxiが力を注ぐIoT活用の取り組みとして、まず川鍋氏が紹介したのが自動運転技術の活用だ。現在、全国ハイヤー・タクシー連合会とトヨタ自動車との協業プロジェクトの一環で、2020年に向けて自動運転タクシーのデモ営業を目指している。川鍋氏のイメージはこうだ。「例えば、自動運転のタクシーで羽田空港まで訪日外国人を迎えに行く。この時にはまだ運転手が必要だと思うが、その役割は大きく変わるだろう。タクシーの操縦はほぼ自動化され、運転手は外国語で東京の名所を案内するなど、乗客へのおもてなしを提供するようになる」
2020年のデモ営業実現に向けては、現行のタクシーに通信や映像系デバイスを設置し、さまざまなデータを収集することで、自動運転に必要なテクノロジーの進歩に貢献していく考えだ。2017年10月以降は、東京を走るタクシーの3台に1台を、IoTを活用した次世代車両に切り替えていく計画だ。
ハードも自社開発、JapanTaxiのIoT
タクシーに搭載する通信・映像系デバイスには、ドライブレコーダーやIP無線タクシー配車システム(携帯電話回線を利用した配車システム)、タクシーメーター、決済端末、サイネージタブレット、Taxi Control Unit(TCU:タクシー専用コントローラー)などがある。しかし現在は、それぞれが独立して動いており、データもバラバラで管理しているのだという。「そこで当社では、全てのデバイスを連係して統合的にデータを管理できるよう、ハードウェアの自社開発を進めている。既に決済端末とタクシーメーターについては自社製のものを導入し始めている」と川鍋氏は話す。
次にIoT活用の取り組みとして紹介したのは、乗客向けサイネージタブレットの展開だ。現在、日本交通の約100台のタクシーに、乗客向けサイネージタブレットを設置している。インターネット広告配信システムを手掛けるフリークアウトとの協業によって開発した、動画配信プラットフォームを活用したIoT型デジタルサイネージ事業を展開している。「乗客がアプリから位置情報を入力すると、それに連動した動画広告がサイネージタブレットに表示される。これによって乗客の位置情報に応じて、周辺地域の広告を的確に配信することが可能になった」と、川鍋氏はサービス概要について説明する。
一方で動画広告は、コンテンツの更新や配信に手間とコストが掛かるのが課題だ。JapanTaxiは、SIMカードに「SORACOM Air」(販売:ソラコム)を採用し、通信利用料の安い深夜にコンテンツを自動更新する仕組みを実現した。「運転手が自分でコンテンツを更新する手間がなくなり、運用コストも抑えることができた」と川鍋氏は説明する。イベントドリブンでコード実行する「AWS Lambda」のスケジュール実行機能「Scheduled Event」を使い、深夜にSORACOM Airで通信をするようにシステムを構築した。
2016年内をめどにサイネージタブレットの設置台数を3500台まで拡大する予定で、「将来的にはインバウンド(訪日外国人旅行)向けに多言語で行き先を伝えることができる高度なコミュニケーション機能を提供する他、『Apple Pay』のような海外のスマホ決済を網羅していく」と、インバウンドの乗客へのサービス拡充の考えを示した。
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