大阪ガスの「エネファーム」に学ぶ、IoTマネタイズのヒントIoTビジネスはもう始まっている【前編】(1/2 ページ)

家庭用燃料電池「エネファーム」を使ったIoTビジネスを、企画開始から5カ月で達成した大阪ガスの事例を紹介する。IoTビジネスのアイデアをどう具現化し、どんなビジネスメリットを生み出したのか。

2016年09月26日 09時00分 公開
[唐沢正和ヒューマン・データ・ラボラトリ]

 「IoT(モノのインターネット)」に本格的に取り組む企業が増えている。IoTは、あらゆるモノをインターネットに接続し、データを収集したり、相互に通信させたりする技術だ。IoTによって遠隔操作や自動制御、自動認識などを可能にし、人が介在しないことによる効率化やコスト削減の実現、新しいビジネスチャンスをもたらすと考えられている。

 アマゾンウェブサービスジャパン 代表取締役社長の長崎忠雄氏は、2016年9月9日に開催した同社のイベント「AWS ソリューション Day 2016」において、「日々お客さまと話していて、IoTという言葉が出ない日がない。それほどまでにIoTはあらゆる企業にとって大きな関心事になっている。ちょうど4年前のビッグデータに対する関心と似ている」と話す。ビッグデータが話題になった時と同様、現在多くの企業はIoTをどうやって経営に生かすかで悩んでいる。モノにセンサーを付けてデータをためるだけでは、お金にはならない。IoTによって集めたデータを保存するだけでなく、分析や処理を通じて価値を引き出す必要がある。

 IoTビジネスに取り組むに当たっては、どのようなITインフラを構築するかも重要なテーマだ。IoTビジネスは新しい取り組みで、どれくらいの効果が出るかが見通しづらい。「従来型のオンプレミスでインフラを構築し、初期投資を掛けるよりは、クラウドを使ってスケーラビリティやアジリティ(敏しょう性)を確保した方が得策」というのが長崎氏の主張だ。同イベントでは、実際に同社のクラウドサービス「Amazon Web Services」(AWS)を使用してIoTビジネスを成功させつつあるユーザー企業2社が講演した。本稿では前後編にわたって2社の事例を紹介する。

マネタイズを示せるか、「エネファーム」IoT企画が通るまで

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