堅調なクラウドサービス事業が、Microsoftに好業績をもたらしている。その背景には、ユーザー企業の“ある変化”があるという。それは何か。
オンラインオフィススイート「Microsoft 365」(Office 365)の需要の増大と、オンプレミスインフラからクラウドサービス群「Microsoft Azure」への移行に対する関心の高まりを受け、Microsoftが収益を伸ばした。同社2022年度第1四半期(7月~9月)の売上高は、前年同期から約22%増加した453億ドルで、純利益は前年同期から約48%増加した。
ビジネス向けのOffice 365の売り上げは約23%増加。コンシューマー向けOffice 365のサブスクリプション数は約5410万個となった。業務パッケージ群「Microsoft Dynamics」の拡大は、主にMicrosoft Dynamicsのクラウドサービス版である「Dynamics 365」の増収がけん引した。
MicrosoftのCEO、サティア・ナデラ氏は金融アナリスト向けの説明会で、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)推進の動きが、第1四半期の業績を押し上げる要因になったと指摘する。ナデラ氏はクラウドサービスの利用拡大の要因として、「ワークロード(アプリケーション)のクラウドサービス移行がもたらす、コスト面のメリットをはっきりと認識するユーザーが増えた」ことを挙げる。
サーバ製品とクラウドサービス分野は前年同期と比べ約35%増収となった。これは主に、Azureなどのクラウドサービスが堅調で、売上高が約50%伸びたことによる。PC市場は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響でサプライチェーンに問題が生じ、PCの部品の供給が遅延していた。それにもかかわらず、PCメーカーがPCにクライアントOSとして「Windows」を組み込むためのOEM(相手先ブランドによる生産)ライセンスの売り上げは10%増えた。
サプライチェーンの制約が続く中でも成長を続けるPC市場において、WindowsのOEMライセンスの業績は「予想より好調だった」とナデラ氏は説明する。「COVID-19のパンデミック(世界的大流行)をきっかけとして、PCの需要に変化が起きている」と同氏は主張。Windowsの新版「Windows 11」に対するこれまでの反応にも「満足している」(同氏)という。PCの販売が依然として好調な中、Microsoftの独自PC「Surface」の売り上げは、サプライチェーンに滞りが生じたことが原因となり、前年同期に比べて17%落ち込んだ。
ナデラ氏は「PCベンダー各社と連携し、あらゆる価格帯と提供形態で、2021年内にWindows 11搭載PCの選択肢を提供したい」と語る。Microsoftはさまざまなソフトウェアベンダーと手を組んで、エッジコンピューティングや人工知能(AI)技術を活用した新しいWindows 11アプリケーションの開発に取り組んでいる。
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