インターネットにおける通信で使われる「IPv6」は、「IPv4」の複数の課題を解消するプロトコルだ。どのような点が改善されるのか。移行する前にその基本を覚えておこう。
IP(インターネットプロトコル)のバージョン「IPv4」は数十年にわたり、インターネットの標準プロトコルとして使用されてきた。IPv4によってさまざまなクラウドサービスやWebサービスが実現してきた。しかし、IPv4は複数の課題を抱えている。その課題と、次世代バージョンの「IPv6」によっていかに課題を解決できるのかを解説する。
IPv4には、以下のような課題がある。
IPv4のこうした課題を解決するのがIPv6だ。IPv6は以下の特徴を持つ。
以下の表は、IPv4とIPv6の基本的な機能比較を示している。
特徴 | IPv4 | IPv6 |
---|---|---|
アドレス長 | 32bit | 128 bit |
アドレス数 | 約43億 | 約340×10の36乗 |
表記方法 | ドット付き10進数 | 16進数 |
ブロードキャストアドレス | 利用可能 | マルチキャストに置き換え |
暗号化 | デフォルトではなし | IPsecに組み込まれている |
構成 | 静的または動的 「DHCP」 (Dynamic Host Configuration Protocol)など |
自動設定またはDHCPv6 |
IPv4アドレスは32 bit長で、4つのオクテット(8bitの集合)に分かれている。各数値は0から255の範囲で「192.0.2.0」のように表記する。IPv6アドレスは128 bit長であり、0から9とAからFまでの16個の文字を使った16進数を使用して「2001:DB8::1:1:1」のように表す。
IPアドレスでは、ネットワークを識別するための「ネットワーク部」と、ネットワーク内のどのクライアントかを識別するための「ホスト部」を区別する。
IPv4アドレスでは、全てのIPアドレスを固定されたクラスに分ける「クラスフルアドレス」方式でアドレスを割り当てる。クラスフルアドレスはIPアドレスを用途に応じてクラスA、クラスBなどに分類して、ネットワーク部も固定する。
これに対して、IPv6アドレスは、必要に応じてネットワーク部を定義できる「クラスレスアドレス」を採用し、表記方法に「Classless Inter-Domain Routing」(CIDR)を使用する。CIDRはネットワークアドレスとサブネットマスクを示し、ネットワーク部分とホストアドレスを表すビット数を指定する。
名前解決は、機械向けに数字などで構成されるIPアドレスを、人間が読める名前に変換するプロセスだ。IPv6は、IPv4よりも桁数が多く、人間にはさらに覚えにくいため名前解決の重要性は高い。幸いなことに、名前解決の仕組みである「DNS」(Domain Name System)を利用した、主要なDNSサーバの大半はIPv6のリクエストを標準で処理できる(図1)。
次回はIPv6を実際に運用するためのコマンドや、移行時の注意点を解説する。
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