クラウドで悩ましい「うるさい隣人」のトラブルを避ける方法は?ノイジーネイバーへの対策【後編】

クラウドインフラでは複数のユーザーが物理的なインフラを共有している。そのため、一部がリソースを占有することで他のユーザーに悪影響を与えることがある。解決方法とは。

2025年03月31日 07時15分 公開
[Kathleen CaseyTechTarget]

 クラウドインフラでは複数のテナント(アカウント専用の運用環境)が同一の物理サーバなどのリソースを共有している。こうしたIT環境ではしばしば、「うるさい隣人」(ノイジーネイバー)問題が発生する。一部のワークロード(特定のシステムやアプリケーションに関するタスクや処理)が過剰にリソースを利用することで、他のテナントのアプリケーションやデータの処理に悪影響を与える問題だ。

 ノイジーネイバー問題を避けるには、どのような点に注意すればいいのか。

うるさい隣人問題の対策とは

 ノイジーネイバー問題を検出するためには、以下のようなリソースの使用量を監視して、急増に目を配る必要がある。

  • サーバのCPU使用率
  • メモリ使用量
  • ディスク入出力(I/O)
  • ネットワーク帯域幅

 過剰にリソースを消費しているVM(仮想マシン)を特定した場合、リソースの割り当てを制限したり、別の物理サーバに移動したり、物理サーバを増強したりといった手法を取る必要がある。

 ノイジーネイバー問題を防ぐ方法の一つにベアメタルクラウドの利用がある。ベアメタルクラウドは、仮想化技術を使用せずに専用のサーバを提供するクラウドサービスで、1度に1つのアプリケーションをハードウェアで実行する。これによってシングルテナント環境となり、ノイジーネイバーは排除される。

 ただ、シングルテナント環境によってノイジーネイバー問題を回避しても、問題が解決されるわけではない。インフラの過剰なコミットメント、つまり1つの環境を共有するアプリケーションが多過ぎる場合、クラウドインフラ全体の性能が制限される。

 クラウドインフラでノイジーネイバーを避けるもう一つの方法は物理サーバ間でワークロードを移動させ、アプリケーションに必要なリソースを確保することだ。

 加えて、ストレージのQoS(Quality of Service)でVMのIOPS(1秒間に処理できるI/O数)を制御して、ノイジーネイバー問題を制限できる。IOPSの上限を設定すれば、各VMが受け取るリソースの量は調整できる。これによって単一のVMやアプリケーションやインスタンスがリソースを独占して他の性能を妨げるリスクを抑えることができる。

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