米国のトランプ新政権は、5000億ドルを投じるAI投資計画「Stargate」を発表した。プロジェクトが打ち出された背景や狙い、今後の施策を解説する。
2025年1月21日(米国時間)、米国政府はAI(人工知能)プロジェクト「Stargate」を発表した。これは米国のAIインフラを強化するための大規模な取り組みで、AI研究機関OpenAIをはじめとする民間企業が中心となり、今後4年間で総額5000億ドルを投資する計画だ。プロジェクトが打ち出された背景や狙い、今後の施策を解説する。
Stargateプロジェクトが発表されたのは、ドナルド・トランプ大統領の就任直後のタイミングだった。トランプ氏は就任後の数週間で、暗号資産に関する大統領令を含む複数のテクノロジー関連の大統領令に署名。さらに、欧州連合(EU)が大手IT企業の活動を規制する「デジタル市場法」(DMA)に対する不満も表明した。
プロジェクトの目標は、OpenAIの既存のAIインフラを拡張することにある。近年AI競争が激化する中で大規模なAIインフラの整備が必要とされており、Stargateはこの課題に対処することを目指している。全米各地に大規模データセンターを建設し、AIモデルの学習や運用を支える環境を整備する計画だ。
Stargateプロジェクトは単なるデータセンター建設にとどまらず、米国をAI分野の世界的リーダーにすることも目指している。OpenAIはプロジェクトについて、「米国の再工業化を支援するだけでなく、米国およびその同盟国の国家安全保障を守る戦略的能力を提供する」と説明している。トランプ大統領は「史上最大のAIインフラプロジェクト」と表現しており、その国際的な影響力への期待も高まっている。
Stargateプロジェクトは、OpenAIを中心とする複数の民間企業による共同運営で進められる。OpenAIが運用面での責任を、ソフトバンクは財務面での責任を負う。技術パートナーにはMicrosoft、NVIDIA、Oracle、Armが名を連ねる。コンピューティングシステムの設計と運用は、OpenAI、Oracle、NVIDIAが担当。5000億ドルの投資のうち、最初の1000億ドルはソフトバンク、OpenAI、Oracleの他に投資会社MGX Fund Managementが出資する。
これらの公式パートナーに加えて、Stargateはデータセンター建設に関わるパートナーを募集している。対象となるのは、不動産企業、電力供給会社、建築・エンジニアリング企業などで、今後のプロジェクトの進行に応じてさらなる企業の参画が見込まれる。
総投資額5000億ドルのうち、具体的な配分はまだ決まっていない。まず初期投資として1000億ドルを投入し、テキサス州アビリーンに2つのデータセンターを建設するという。建設は既に開始されており、2025年末までに完成する見通しだ。プロジェクトの発表時には、AIインフラ整備による大規模な雇用創出も強調された。
次回は、Stargateプロジェクトがもたらすメリットと懸念を解説する。
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