OpenAIが開発した最新のLLM「OpenAI o3」は、従来のAIモデルを大幅に超える性能を誇る。その主要な技術革新と実力を詳しく解説する。
2024年12月、AI(人工知能)ベンダーOpenAIのCEOサム・アルトマンは、同社主催のイベント「12 Days of OpenAI」で、LLM(大規模言語モデル)シリーズ「OpenAI o3」のプレビュー版を発表した。2025年1月には軽量モデルの「o3-mini」の一般提供を開始した。本稿は、OpenAI o3の性能面、安全性における技術的革新とその実力について解説する。
OpenAI o3は深層学習モデル「Transformer」をベースとしたLLMで、知識に基づく回答、要約、テキスト生成など基本的な機能を備えている。前身となる「OpenAI o1」から大幅に進化を遂げており、特に以下のような特徴を持つ。
※注:ARC-AGIは、ピクセルパターンの認識を通じて、学習データに含まれていない未知の課題に適応する能力を評価する指標。
OpenAI o3には、従来のOpenAIのAIモデルにはなかった新しい安全技術「Deliberative Alignment」(熟慮的アライメント)が採用されている。これは、OpenAI o3の推論能力を生かして、ユーザーのプロンプト(AIツールへの指示)が安全性にどのような影響を与えるかを評価する仕組みだ。
従来のLLMの安全対策は、安全・危険なプロンプトの例を学習させ、それに基づいて判断基準を設定する方式だった。一方のDeliberative Alignmentは、AIモデル自身がプロンプトの意図や内容を直接評価する。
OpenAI o3は設定された安全基準を基にプロンプトを精査し、隠された意図や、システムを欺こうとする試みを検出する。これにより、危険なコンテンツをより正確に拒否しつつ、安全なコンテンツが誤ってブロックされるリスクを軽減することが可能となった。
Deliberative Alignmentは、以下のように段階的なプロセスを経て機能する。
こうした新技術により、OpenAI o3はより高度な安全管理を実現し、ユーザーに対してより信頼性の高い応答を提供できるようになった。
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