現代のF1はサーキットコースでのスピード競争に加え、組織運営の効率性においても競争しており、そこで成果を出せるパートナーが求められている。メルセデスAMGペトロナス F1チームの取り組みとは。
2025年4月6日に鈴鹿サーキットで決勝レースが開催された「2025 F1日本グランプリ」では、その直前にトップチームへの昇格を果たした角田裕毅が注目されたが、レース開催の直前、トップチームの一角を占めるMercedes-AMG Petronas Formula One Team(メルセデスAMGペトロナス F1チーム)が説明会を開催。パートナーシップを締結しているITベンダーのTeamViewerおよびSAPと共に、同チームでのIT活用の状況について語った。
TeamViewrはリモート接続ツールで知られるドイツのベンダーだ。メルセデスAMGペトロナス F1チームは、同社のリモート接続ツール「TeamViewer Tensor」を導入しており、レースを戦う上で欠かせない存在になっているという。
F1チームにおけるIT活用やIT企業とのパートナーシップについて説明したブラッドリー・ロード氏(チーム代表兼チーフコミュニケーションオフィサー)はまず、「サーキットを回ってライバルよりもわずかでも速くゴールすることを競うことだけがF1ではない」と指摘。「2週間に1度、4万個ものパーツから車体を組み上げ、1000分の1秒の単位でフェラーリやレッドブル、マクラーレンといった強力なライバルと競い合う極めて複雑な取り組みでもある」と説明した。
一方でスポンサー企業に関してロード氏は、昔は「お金をもらって車体にロゴを掲出する」というシンプルなものだったことを振り返りながら、「現在はチームに対してラップタイムという形で計測可能な競争優位性をもたらしてくれる企業などの組織とパートナーシップを築くという考え方に変わっている」と言う。
現在のF1では、チーム間の実力差が開き過ぎないようにしてレースの面白さを維持することを目指し、予算制限などのさまざまな措置が講じられている。例えば、チームに帯同して実際にサーキットに入ることができるエンジニアの人数は制限されているという。ドライバーは予選でサーキットを走行後、ピットに戻るとすぐに詳細なデータをチェックし、走行したコーナーリングラインが適切だったのか、ブレーキングポイントはどうか、といった具合にわずかでもタイムを短縮できる余地がないかどうかを探り、次の走行でまた検証するといった緻密な作業を繰り返す。その際に、現地に同行しているエンジニアに加え、「TeamViewerのソフトウェアを介してリモートで接続されるチームの拠点(英国)にいるエンジニアのサポートも得られることが大きな力になる」とロード氏は語る。
予算が制限されているため、パフォーマンスの向上につながらないところに無駄なコストを掛けていてはライバルには勝てない。「組織運営の効率性追求という観点での競争もあるのだ」と同氏は指摘する。自動車レースとは一見して関連がなさそうにも見える業務アプリケーションベンダーSAPがパートナーシップに加わっているのは、そうした理由からだ。ロード氏はITシステムに求める要件として「パフォーマンス」と「信頼性」を挙げ、TeamViewerとSAPの両社はその要求を満たし、チームがサーキットでライバルチームを上回るラップタイムを出すことに直接的な貢献をしてくれていると評価した。
TeamViewerについて説明した同社のマイケル・ウィルキンス氏(CFO:最高財務責任者)は、同社が日本の製造業や自動車業界などと密接な関係を保っていることを紹介。具体的なユーザー企業としてはNECやソニーを挙げた。
同社のCCO(最高商務責任者)で、2024年12月にTeamViewerが買収したドイツのIT企業1Eの元CEOを務めていたマーク・バンフィールド氏は、1Eは企業の従業員向けのデジタルエクスペリエンスを向上させる製品やサービスを提供していたと紹介。買収によってTeamViewerのリモートサポート/リモートコントロールの機能と1Eの自動化機能が組み合わせることで、ユーザー企業のIT/OT環境に高いレベルの可視性や制御能力を提供できると強調した。
F1レースと言うと極めて特殊な世界のように思えるが、そのチーム運営に当たっては、DX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組む多くの企業と同様、「デジタル技術を活用してより高いレベルの効率性を実現する」ことに取り組んでいることが分かる。具体的にどのようなIT製品・サービスが必要になるかは業種業態によっても違ってくることは間違いないが、“自社の中核業務に対して具体的なメリットをもたらしてくれるパートナーのIT製品・サービスを導入することが重要”という点は、他の企業にとっても参考になるのではないだろうか。
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