脱VMwareは「段階的に」が正解? Nutanixを選んだ保険会社の決断「VMwareからNutanixへ」という選択肢【後編】

VMware製品のライセンス変更後、仮想化基盤をNutanix製品に移行しようと考えている企業は珍しくない。どのように移行すべきなのか。英国の保険会社の事例を基に考えよう。

2025年04月02日 07時15分 公開
[Cliff SaranTechTarget]

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 半導体ベンダーBroadcomは仮想化ベンダーVMware買収後、VMware製品のライセンス体系やバンドルを変更した。こうした状況を受けて、NutanixはVMware製品からNutanix製品への移行を積極的に促している。英国の保険サービスプロバイダーのMarkerstudy GroupもVMware製品からNutanix製品に移行した顧客の一社だ。同社はどのような移行のアプローチを採用したのか。

保険会社が選んだNutanixへの移行方法とは

 Markerstudy Groupは従来、物理サーバ、ストレージ、ストレージネットワークを別々に管理する3層構成を利用していた。同社は老朽化したレガシーハードウェアで仮想マシン(VM)を稼働させていたが、英国金融行動監視機構(FCA)の規制を順守するためにITインフラの刷新が必要だった。この段階で「1500台から2000台の仮想マシンを移行することになった」とMarkerstudy Groupの最高技術責任者(CTO)を務めるニック・オベンデン氏は話す。

 そこで、Markerstudy GroupはNutanixのHCI(ハイパーコンバージドインフラ)を採用。Markerstudy Groupは仮想マシンの基盤を、Nutanixのハイパーバイザー「Nutanix AHV」へ段階的に移行している。

 オベンデン氏は、BroadcomがVMwareのライセンス体系に加えた変更について、「AHVへの移行は前から計画していたが、今回の変更でそこに期限ができた」と語る。

 「Broadcomの新しいライセンス体系が実施される日までにVMwareから完全に移行できれば、VMwareの新ライセンスに伴うコスト増を回避できる」(オベンデン氏)

 Markerstudy Groupの戦略は、VMwareの使用を廃止してAHVに移行することだ。だが、Markerstudy Groupはこれまで買収を通じて事業を拡大してきたため、買収した企業をAHVに移行させるのは、それらの企業で結ばれている商用契約が終了してからになる。

 例えば、Markerstudy Groupは2022年にBGL Groupの保険部門であるBGL Insuranceを買収しており、現在、2025年8月までにBGL Insuranceの全てのVMwareシステムをAHVに移行するプロジェクトを進めている。

 企業のIT部門の多くが、今後もVMware製品を仮想化基盤として使い続けることは間違いない。だが、必要のない機能まで含めるとコストが高くなるため、Broadcomが販売する製品バンドル一式を購入せずに、VMware製品を使い続けたいと考える顧客は珍しくない。

 Markerstudy Groupの事例のように、段階的なアプローチによって“脱VMware”を進めることが可能だ。Nutanixが2025年2月に英国で開催したイベント「NUTANIX .NEXT On Tour London」に、Nutanix製品の既存顧客ではない参加者が何百人も参加したことは、VMwareの代替製品への高い関心の表れであり、ITリーダーたちは契約期限が来たらVMwareから乗り換える可能性が高いことを示している。

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