“AIコーディング”でどのツールを選ぶ? 「ChatGPT」「Claude」の真価AIコーディングツール7選【前編】

コーディング作業の効率化を支援するためのAI技術活用が盛り上がりを見せている。さまざまなAIコーディングツールの中から、自分の用途に合うものを選ぶために、その違いを知っておこう。

2025年04月01日 05時00分 公開
[Lev Craig, Will KellyTechTarget]

 AI(人工知能)技術によるコーディング支援は新しい概念ではないものの、画像やテキストをAI技術で自動生成する「生成AI」の普及によって、その能力と注目度は大きく向上している。特定の目的に特化したコマンドラインツールから汎用(はんよう)的なチャットbotまで、開発チームで使うものから企業全体での利用を想定したものまで、さまざまなAIコーディングツールが登場している。

 「GitHub」などのリポジトリサービスから得た膨大な学習データによって、大規模言語モデル(LLM)などの生成AIはソースコードの生成や解析を実行可能になった。これによって、AIコーディングツールは一からプログラムを作成したり、高度な編集をしたりできる。ただし人の確認なしにそのまま使えるソースコードを生成するには、まだ課題が残っている。

 本連載は、開発者を支援する7つのAIコーディングツール7個を紹介する。

1.Aider

 「Aider」はコマンドラインツール(CLI)でソースコードを生成、編集、デバッグするAIコーディングツールだ。GitHubの配布ページでは、「LLMとペアプログラミングをするツール」という位置付けで紹介されている。

料金

 Aiderは無料のオープンソースソフトウェア(OSS)だ。ただし「GPT-4o」や「Claude 3.5 Sonnet」といったLLMを使用するにはAPIキーが必要であり、その利用には別途コストが発生する。コストを抑えるため、Meta Platformsの「Llama 3」といった無料LLMを選ぶこともできるが、LLMの性能が低い場合、生成されるソースコードの品質も下がる可能性がある。

特徴

 エンドユーザーはCLI内で、Aiderをチャット形式で操作する。新しいソースコードを一から生成したり、既存ソースコードをデバッグ、修正したりできる。複数ファイルの同時編集が可能で、規模の大きなプロジェクトにも適する。

 複数のLLMを利用できるが、開発元が推奨するのはGPT-4oまたはClaude 3.5 Sonnetとの組み合わせだ。バージョン管理システム「Git」と連携でき、Gitリポジトリ内のソースコードを対象に使用することで優れた効果を発揮する。

 セットアップが簡単で費用も抑えられるため、個人開発者にとっては魅力的な選択肢となる。一方で、チームや企業での利用には運用管理の工夫が必要になる可能性がある。

2.ChatGPT

 「ChatGPT」はOpenAIが開発したAIチャットbotだ。用途はプログラミングだけに限らず、汎用(はんよう)的なチャットbotとして設計されている。ソースコードの生成、編集、解析などにおいて開発者から人気を集めている。

料金

 OpenAIは無料プランと4つの有料プランでChatGPTを提供している。

  • Plus
    • 1ユーザー当たり月額20ドル
  • Pro
    • 1ユーザー当たり月額200ドル
  • Team
    • 1ユーザー当たり月額30ドル(年額契約で25ドル)
  • Enterprise
    • 価格は非公開
    • 営業担当への問い合わせが必要

特徴

 ChatGPTでは、自然言語でのやりとりを通じてソースコードの作成や改善が可能だ。「この関数は何をしているのか説明して」「このソースコードをもっと高速に動作させたい」といった指示ができる。

 Web版では複数のモデルが利用可能で、OpenAIのAPIを通じてさらに多くのモデルを選択できる。「コードインタープリター」あるいは「高度なデータ分析」(ADA)と呼ばれる機能では、チャット内にPythonコードを実行でき、データ分析や可視化にも対応している。

 Plusプランは最新モデルの利用、メッセージ数上限の緩和、ファイルの無制限アップロード、ChatGPTをカスタマイズした「GPTs」の作成、ソースコードの変更履歴を視覚化できる「Canvas」などの機能が利用可能。Teamプランではさらに上限が引き上げられ、ワークスペース(ファイルをアップロードして利用、管理できる開発環境)ごとのGPTsや管理コンソール、データの学習対象からの除外機能が利用できる。Enterpriseプランでは、より大きなコンテキストウィンドウ(一度の会話で処理、記憶できる情報量の上限)、高速処理、ドメイン認証、利用状況の分析、専用サポートサービスなどが利用できる。

 ChatGPTは汎用的なツールであるため、開発者に限らずさまざまな部門で生成AIを活用したい企業に有用だ。一方で、個人開発者や小規模チームにとっては機能が過剰である可能性がある。無料版やPlusプランの利用者は、自分のデータがAIモデルの学習に使われるのを避けたい場合、明示的に設定を変更しなければならない。

3.Claude

 「Claude」はAnthropicが開発したAIチャットbotで、安全性やAIモデルの整合性に重点を置く姿勢で知られている。コーディング以外の用途にも適する汎用ツールだ。

料金

 Anthropicは無料プランと3つの有料プランでClaudeを提供している。

  • Pro
    • 1ユーザー当たり月額20ドル
  • Team
    • 1ユーザー当たり月額25ドル
    • 年額契約が必要
    • 最低5ユーザーから
  • Enterprise
    • 価格は非公開
    • 営業担当への問い合わせが必要

特徴

 ClaudeもChatGPTと同様に、自然言語での対話を通じてコードの生成や改善が可能だ。コードファイルをアップロードして解釈や議論を行う機能も備える。デフォルトでユーザーデータをAIモデルの学習に使用しない。

 無料プランはメッセージ数に制限があるが、Proプランでは上限が緩和され、優先的な処理や「Claude 3 Opusなど」の高性能モデルを利用できる。Teamプランでは、請求の一元管理や管理者機能が利用可能だ。Enterpriseプランでは、コンテキストウィンドウの拡大に加え、さらに広範なカスタマイズ、管理、外部データとの連携、セキュリティ機能が提供される。セキュリティ機能の例としてはシングルサインオン(SSO)、ロールベースのアクセス制御などがある。

 特に開発者にとって注目すべき機能は以下の2つだ。

  • Projects(プロジェクト)
    • 有料プランで利用可能
    • Claudeとのチャットを1つのプロジェクトとしてグループ化できる機能
    • チームでチャットを共有したり、参照用ファイルをアップロードしたりできる
    • Claudeの応答スタイルや文脈を個別に設定できる
  • Artifacts(アーティファクト)
    • 全てのClaudeユーザーが利用可能
    • UI(ユーザーインタフェース)のプロトタイプなど、Claudeとの会話中に作成した成果物を別ウィンドウで表示する機能
    • 公開することも可能で、Teamプランではチーム内で共有できる

 次回は、4〜7つ目のAIコーディングツールを紹介する。

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