2.4億台が「電子ごみ」に? PCの買い替えが進む“コロナ特需”だけではない事情2025年に訪れる転機

2020年のコロナ禍で需要が高まったノートPCは、さまざまな理由で買い替え時を迎えている。大規模な買い替え需要の背景と、それに直面する企業が対処すべき問題を取り上げる。

2025年04月16日 05時00分 公開
[Simon QuickeTechTarget]

関連キーワード

Windows 10 | Windows 11 | Windows | グリーンIT


 ハードウェア業界は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)時にノートPCを購入したエンドユーザーが、2025年に買い替えを検討するとみる。そうした動きはなぜ起きるのか。背景には、パンデミックによる特需だけではないさまざまな理由がある。

なぜPCの買い替えが進むのか

 エンドユーザーが新しいノートPCへの買い替えを検討する理由には、2025年10月の「Windows 10」サポート終了や、現状より多くの人工知能(AI)ツールを活用できるノートPCへの期待がある。

 ノートPCの買い替えサイクルに注目している企業の一つが、ノートPCの再製造を手掛けるCircular Computingだ。同社は再製造ノートPCを提供するための流通網を拡大してきた。5年ほど使われた古いノートPCの買い替え需要が加速すると同社はみる。同社は独自調査を通じて、法人と個人の両セグメントで大規模な投資が見込まれることを確認した。

 2020年のロックダウン(都市封鎖)を伴うパンデミックによって、在宅勤務の必要性からノートPCの需要は急増した。

 これらのPCは販売から5年が経過し、性能低下や高度なアプリケーションの実行困難など、さまざまな問題に直面している可能性がある。これらのPCは主にWindows 10搭載機であり、2025年10月に迫る同OSのサポート終了期限も課題だ。

 「2020年、COVID-19による移動規制と世界的な半導体不足を受けて、消費者と企業の両方が、全国的なロックダウンに先立ってノートPCを確保しようと買い急いだ結果、パンデミック特需が生まれた」。Circular ComputingのCEO兼創業者のロッド・ニール氏はそう説明する。

 2025年を迎え、在宅勤務用に購入されたPCは型落ち品になり、性能面で問題が出始めている可能性がある。ニール氏は「世界中に普及しているOSであるWindows 10のサポート終了とAI技術への関心が合わさって、再びPC購入が急増する状況が生まれている」と補足する。

 2020年から働き方が変化し、テレワークとオフィスワークを組み合わせた「ハイブリッドワーク」もさらに普及した。ノートPCのアップグレードを検討している大多数のエンドユーザーは、個人使用と仕事の両方をカバーし、十分な性能を提供するノートPCを求めている。

 ニール氏は再生品を買い換えの選択肢として提案することに注力するだけではなく、古いノートPCがごみとなり、埋め立て地に捨てられるリスクについても警鐘を鳴らしている。

 調査会社Canalysは、エンドユーザーが最新のOSを搭載した新しいPCにアップグレードすることを受け、推定2億4000万台のWindows 10搭載PCが電子ごみになる可能性があると警告する。

 「PCを買い替える理由が何であれ、企業は持続可能性(サステナビリティ)についての取り組みを、口先だけではなく実際に行動する時が来た」とニール氏は述べる。消費者の中では、所有するPCなどの製品を自分で修理できる「修理する権利」(Right to Repair)を求める運動が広がっている。同時に、企業が掲げる温室効果ガス削減目標の年である2030年や、カーボンニュートラル(CO2排出量と吸収量の相殺)の公約の期限である2050年が迫る中、ニール氏は「『新品』はもはや名誉の印ではなくなった」と指摘する。

 「企業は従来の調達方法や消費習慣にこだわるのではなく、長期的な視点を持つべきだ。中古IT機器の活用によってコストとCO2排出量を削減することは、容易かつ合理的な選択肢だと言える」(ニール氏)

TechTarget.AIとは

TechTarget.AI編集部は生成AIなどのサービスを利用し、米国Informa TechTargetの記事を翻訳して国内向けにお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。

譁ー逹€繝帙Ρ繧、繝医�繝シ繝代�

市場調査・トレンド 横河レンタ・リース株式会社

PC運用管理者1030人に聞いた「PC運用の実態調査」、担当者を悩ます課題と解決策

近年の情報システム部門は多数の業務を抱えており、中でもPCの運用・管理担当者の業務負荷をいかに軽減するかが大きな課題となっている。1030人を対象に行った調査をもとに、PC運用・管理業務のあるべき姿を探った。

事例 Asana Japan株式会社

“208カ国の壁”を突破しスズキが残業35%減を実現、その全貌とは

“100年企業”スズキでは、DX推進のアクションプランに、「仕事のシンプル化」「ムダの削減」「全社的な可視化」を挙げている。同社はあるツールを導入したことで、業務の見える化や標準化、残業時間の35%削減を実現したという。

製品資料 SUSE ソフトウエア ソリューションズ ジャパン株式会社

システム乱立やコスト増の課題も、マルチLinux環境の運用をどう効率化する?

企業では「マルチLinux」環境が有効な取り組みとして浸透しているが、一方で管理の複雑化という課題も浮上している。本資料ではマルチLinux環境が浸透してきた背景やその利点を整理し、新たな課題の解決策について解説する。

製品資料 株式会社エクサ

AI時代のデータ管理術、低コストかつセキュアな環境を構築するための方法とは?

 デジタル化やクラウド利用の進展に伴い、企業のデータ量は増加し続け、これを狙うサイバー攻撃も激化している。データを守るためには保管場所が必要だが、低コストかつセキュアな環境を構築するためにはどうすればよいだろうか。

製品レビュー 株式会社ソフトクリエイト

Windows 11アップデートで発生しやすい問題とは? 円滑なOS移行方法を解説

Windows 10のサポート終了が迫り、Windows 11へのアップデートを考えている組織も多いことだろう。当然、アップデートには失敗したくないはずだ。ポイントを本動画で把握して、スムーズなOS移行を実現したい。

From Informa TechTarget

お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。

ITmedia マーケティング新着記事

news046.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。

news026.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...

news130.jpg

Cookieを超える「マルチリターゲティング」 広告効果に及ぼす影響は?
Cookieレスの課題解決の鍵となる「マルチリターゲティング」を題材に、AI技術によるROI向...