Windows「修復インストール」「クリーンインストール」の違いとトラブル対処法WindowsをISOファイルでインストールする【中編】

ISOファイルを使って「Windows 11」をインストールする方法は複数ある。代表的な「修復インストール」と「クリーンインストール」の方法と、クリーンインストールがうまくいかない意外な“落とし穴”を解説する。

2025年04月17日 08時00分 公開
[Ed TittelTechTarget]

関連キーワード

Windows 11 | Windows | OS


 Microsoftは、クライアントOS「Windows」のISOファイル(ディスクイメージ)をオンラインで配布している。従来の物理メディアでの配布から、オンラインでのデータ配布に移行したことで、ISOファイルを使ったWindowsのインストールや修復の方法は多様化した。代表的な2つのインストール方法である「修復インストール」と「クリーンインストール」の概要と、その過程で生じ得る問題への対処法を解説する。

WindowsをISOファイルからインストールする方法

修復インストール

 修復インストールはWindows実行中に実施する。OSが正常に動作している状態で、エクスプローラーからインストーラーファイルを実行する必要があるためだ。

 手順としては、まずエクスプローラーに表示されたISOファイルを右クリックして、ポップアップメニューから「マウント」を選択する。これでISOファイルが仮想DVDドライブとして認識されるようになる。

 次に、マウントされた仮想DVDドライブ内にあるインストーラー「setup.exe」をダブルクリックする。インストーラーが起動して、実行中のWindowsがISOファイルの内容に置き換えられる。「Windows 11」のビルド番号「25905」以降では、更新管理機能「Windows Update」の仕組みを使った修復インストールも可能だ。「設定」ツールを開いて「システム」「回復」と進み、「Windows Updateで問題を解決する」の「今すぐ再インストール」ボタンをクリックする。

 それが終わると、Windowsをインストールするための処理が進行する。PC再起動後はそれまでのWindowsは使用できなくなる。その後は、クリーンインストールと同じ手順で設定を進めよう。

クリーンインストール

 クリーンインストールは、ISOファイルを入れた物理メディアからブート(起動)してインストールする方法だ。

 始めに、ISOファイルをブータブル(ブート可能な)メディアに書き込む。USBメモリやHDD、SSDなど、USB接続のストレージデバイスを使うことが一般的だ。「SATA」や「NVMe」接続のストレージを使うこともできる。ブータブルメディアの作成には、Microsoftの公式ツールか、「Rufus」や「YUMI」などのサードパーティー製ツールを使用する。

 ブータブルメディアを作成しない方法もある。オープンソースツール「Ventoy」は、ローカルストレージに2つのパーティション(領域)を作成してISOファイルからのOSインストールを可能にするツールだ。1つ目は32MBのEFIシステムパーティション(ESP)だ。EFI(Extensible Firmware Interface)はOSとファームウェア間のインタフェースで、ESPはOSの起動に必要なための特別なパーティションを指す。2つ目は「Ventoy」という名前で、ISOファイルを格納するためのパーティションだ。Ventoyパーティションには複数のISOファイルを格納可能で、いずれか1つを選び、そのISOファイルでPCを起動できる。

 Windowsのクリーンインストールは、OSをインストールしたことのない新品のPCに初めてインストールする場合と同じだ。システムドライブやブートドライブをフォーマット(初期化)し、新しいパーティションを作成する。新しいパーティション構造を作るため、「ベアメタルインストール」とも呼ばれる。

 Windows 11のクリーンインストールは、標準で以下のパーティションを作成する。

  • ブートパーティション
    • Windowsの起動処理を開始するパーティション。
    • 現代のWindowsではESPと呼ばれる。
    • 古いバージョンのWindowsでは「システム予約パーティション」が同様の働きをし、MBR(Master Boot Record)という領域から起動が始まる。
  • MSR(Microsoft Reserved)パーティション
    • パーティション管理を担う。
    • 16MBほどの容量を占める。
  • OSパーティション
    • 仮想メモリ用の「ページファイル」パーティション、システムがクラッシュした際のメモリ内容を保存する「クラッシュダンプ」パーティションなどがある。
    • ストレージの大部分を占める。
  • 回復パーティション
    • システムの復旧に必要なファイルを格納する。
    • 数百MB〜数GBほどの容量になる場合がある。

 ブータブルメディアでPCを起動すると、機能限定版のOS「Windows PE」(WinPE)が立ち上がる。WinPEは、インストーラーを実行してWindowsのインストールを行うために必要な機能を備えている。WinPEより処理能力に優れた、軽量のリカバリー専用OS「Windows Recovery Environment」(WinRE:Wiondows回復環境)を実行することもできる。

 新しいPCでは、ブータブルメディアからWindowsを起動するために、UEFI(Unified Extensible Firmware Interface)またはBIOS(Basic Input/Output System)で、OSを安全に起動する機能「セキュアブート」をオフにする必要がある場合がある。UEFIとBIOSは、ともにコンピュータの電源を入れた直後に起動する基本ソフトウェアだ。UEFIやBIOSを操作するには、通常のOS起動を中断し、ブートメニューを起動させる必要がある。PCごとに操作が異なるため、PCメーカーのマニュアルを参照してほしい。その後、PCがすぐ再起動するので、事前に作業内容を保存し、重要なアプリケーションを閉じておくようにしよう。


 次回は、WinREの実行方法を解説する。

TechTarget発 世界のインサイト&ベストプラクティス

米国Informa TechTargetの豊富な記事の中から、さまざまな業種や職種に関する動向やビジネスノウハウなどを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

From Informa TechTarget

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。

ITmedia マーケティング新着記事

news027.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。

news023.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...

news025.png

「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。