ISOファイルを使って「Windows 11」をインストールする方法は複数ある。代表的な「修復インストール」と「クリーンインストール」の方法と、クリーンインストールがうまくいかない意外な“落とし穴”を解説する。
Microsoftは、クライアントOS「Windows」のISOファイル(ディスクイメージ)をオンラインで配布している。従来の物理メディアでの配布から、オンラインでのデータ配布に移行したことで、ISOファイルを使ったWindowsのインストールや修復の方法は多様化した。代表的な2つのインストール方法である「修復インストール」と「クリーンインストール」の概要と、その過程で生じ得る問題への対処法を解説する。
修復インストールはWindows実行中に実施する。OSが正常に動作している状態で、エクスプローラーからインストーラーファイルを実行する必要があるためだ。
手順としては、まずエクスプローラーに表示されたISOファイルを右クリックして、ポップアップメニューから「マウント」を選択する。これでISOファイルが仮想DVDドライブとして認識されるようになる。
次に、マウントされた仮想DVDドライブ内にあるインストーラー「setup.exe」をダブルクリックする。インストーラーが起動して、実行中のWindowsがISOファイルの内容に置き換えられる。「Windows 11」のビルド番号「25905」以降では、更新管理機能「Windows Update」の仕組みを使った修復インストールも可能だ。「設定」ツールを開いて「システム」「回復」と進み、「Windows Updateで問題を解決する」の「今すぐ再インストール」ボタンをクリックする。
それが終わると、Windowsをインストールするための処理が進行する。PC再起動後はそれまでのWindowsは使用できなくなる。その後は、クリーンインストールと同じ手順で設定を進めよう。
クリーンインストールは、ISOファイルを入れた物理メディアからブート(起動)してインストールする方法だ。
始めに、ISOファイルをブータブル(ブート可能な)メディアに書き込む。USBメモリやHDD、SSDなど、USB接続のストレージデバイスを使うことが一般的だ。「SATA」や「NVMe」接続のストレージを使うこともできる。ブータブルメディアの作成には、Microsoftの公式ツールか、「Rufus」や「YUMI」などのサードパーティー製ツールを使用する。
ブータブルメディアを作成しない方法もある。オープンソースツール「Ventoy」は、ローカルストレージに2つのパーティション(領域)を作成してISOファイルからのOSインストールを可能にするツールだ。1つ目は32MBのEFIシステムパーティション(ESP)だ。EFI(Extensible Firmware Interface)はOSとファームウェア間のインタフェースで、ESPはOSの起動に必要なための特別なパーティションを指す。2つ目は「Ventoy」という名前で、ISOファイルを格納するためのパーティションだ。Ventoyパーティションには複数のISOファイルを格納可能で、いずれか1つを選び、そのISOファイルでPCを起動できる。
Windowsのクリーンインストールは、OSをインストールしたことのない新品のPCに初めてインストールする場合と同じだ。システムドライブやブートドライブをフォーマット(初期化)し、新しいパーティションを作成する。新しいパーティション構造を作るため、「ベアメタルインストール」とも呼ばれる。
Windows 11のクリーンインストールは、標準で以下のパーティションを作成する。
ブータブルメディアでPCを起動すると、機能限定版のOS「Windows PE」(WinPE)が立ち上がる。WinPEは、インストーラーを実行してWindowsのインストールを行うために必要な機能を備えている。WinPEより処理能力に優れた、軽量のリカバリー専用OS「Windows Recovery Environment」(WinRE:Wiondows回復環境)を実行することもできる。
新しいPCでは、ブータブルメディアからWindowsを起動するために、UEFI(Unified Extensible Firmware Interface)またはBIOS(Basic Input/Output System)で、OSを安全に起動する機能「セキュアブート」をオフにする必要がある場合がある。UEFIとBIOSは、ともにコンピュータの電源を入れた直後に起動する基本ソフトウェアだ。UEFIやBIOSを操作するには、通常のOS起動を中断し、ブートメニューを起動させる必要がある。PCごとに操作が異なるため、PCメーカーのマニュアルを参照してほしい。その後、PCがすぐ再起動するので、事前に作業内容を保存し、重要なアプリケーションを閉じておくようにしよう。
次回は、WinREの実行方法を解説する。
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