企業はバックアップに不安を抱えており、半数以上がバックアップツールの見直しを考えていることが調査から明らかになった。何がバックアップの障壁になっているのか。データ保護策を強化するための選択とは。
システム管理ソフトウェアベンダーKaseyaは、米国を中心とした世界3051人のIT担当者を対象とした調査を実施した。その結果、一定数の企業がシステムのバックアップやリカバリーに対して何らかの課題を抱えていることが明らかになった。企業のバックアップ体制の現状と、取るべき対策を考察する。
Kaseyaは調査結果をまとめたレポート「The State of Backup and Recovery Report 2025: Navigating the Future of Data Protection」を2025年2月に公開した。
企業の40%は、自社が使用するバックアップおよびリカバリーシステムを信頼できると答えた。一方で3分の1の企業は、バックアップに関して「悪夢のような経験」をしたことがあると述べた。
調査対象となった企業のうち、直近1年のうちにシステム障害に見舞われずに済んだ企業はわずか10%だった。つまり90%の企業では1年の間で何らかのシステム障害が発生したということだ。ダウンタイム(システム停止時間)が発生するリスクがそれだけあるにもかかわらず、バックアップを頻繁にテストしている企業は多くない。リカバリーのテストとなるとさらに少なくなり、調査対象企業のうち毎週実施している企業は19%、臨時的に実施した企業は12%だった。
Kaseyaのマネージドサービスプロバイダースイート担当GTMゼネラルマネジャーを務めるフランク・デベネデット氏は、現代の企業が自社で使用中のシステムに確信を持つことは難しいと話す。IT担当者が制御できない領域は多岐にわたる。「人的ミスや自然災害、ランサムウェア(身代金要求型マルウェア)攻撃などのさまざまなトラブルに対して、システムが正しく動いているかどうかを確認するには、繰り返しテストするしかない」とデベネデット氏は説明する。
システムの復旧に要する時間を尋ねたところ、数時間から数日、あるいは数週間と回答にばらつきがあった。8%の回答者は、復旧にかかる時間を全く把握していなかった。
調査対象となった企業の56%が、主要バックアップツールの乗り換えを検討している。これは半分以上の企業が現状のバックアップツールに問題や不満を感じていることの表れだ。特にシステムをオンプレミスサーバからクラウドサービスに移行しつつ、クラウドサービス費用を抑えたいというニーズがある。
クラウド移行を進める上では、費用とセキュリティのバランスを取りながら、予算内で利用できるバックアップ手段を選択することが鍵になる。
ただし移行はスムーズに進んでいない。調査対象企業の15%は、自社に適したクラウドベンダーを見つけるのに苦労したと回答した。バックアップシステムの複雑化や管理の負担増加も課題になっている。複数のバックアップツールを併用することによる非効率性、システムの監視時間の増加を指摘する声もあった。アラートが発生しても、状況を把握するために必要な情報が不足しており対処できないという回答もあった。
バックアップ体制の見直しにおいては、以下が重要になる。
バックアップとリカバリーの重要性は、他の技術分野とも関連する。インフラ構成やデータの保管場所を明確に把握できるようにする可視化ツールといった製品/サービスは、バックアップやデータ保護に関する戦略を立てる上で効果的だ。
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