検索AIツール「Perplexity」の独自の強みとは? プランごとの違いは?Perplexityを徹底解説【前編】

検索AIツール「Perplexity」は、「ChatGPT」をはじめとする他のAIツールと何が違うのか。独自の強みやプランごとの違いについて解説する。

2025年05月01日 07時00分 公開
[Olivia WisbeyTechTarget]

関連キーワード

人工知能 | 検索 | 検索エンジン


 「Perplexity」は、AI(人工知能)ベンダーPerplexity AIが提供するAI搭載型の検索ツールだ。「AIチャットbot型のWeb検索ツール」として設計されているものの、単なる検索機能にとどまらず、ユーザーのクエリ(質問や指示)に対するコンテンツ生成タスクを幅広くこなすことができる。

 近年、「ChatGPT」に代表されるAIツールが続々と登場しているが、これらとPerplexityは何が違うのか。検索機能の特徴や、利用プランの詳細を解説する。

「Perplexity」の独自の強みは? プランごとの違いは?

 Perplexityは、自社開発およびサードパーティー製の複数の大規模言語モデル(LLM)を使用して検索結果を提供する。LLMの高性能な自然言語処理(NLP)能力により、Perplexityとのやりとりは自然な会話のように感じられる。

 標準検索では、Perplexity AIがMetaのLLM「Llama 3」をベースに改良した「Sonar」が使用される。有料プランのユーザーは、より高度な検索機能やマルチモーダル機能を実現する以下のようなLLMに切り替えて利用することもできる。

  • OpenAIの「GPT-4o」「o3-mini」
  • Anthropicの「Claude 3.7 Sonnet」
  • Perplexity AIの「Sonar Large」
  • DeepSeekの「DeepSeek R1」

 Perplexity AIは以下のような技術を用いて検索精度の向上を実現している。

  • Webクローリング
    • Web上の情報を継続的に収集、更新し、常に新しい情報を取り込む。
  • インデックス作成と情報検索
    • 収集した情報を整理し、セマンティック類似性(意味の近さ)やキーワードマッチングなどの情報検索手法を用いて、インデックス化されたWebデータから必要な情報を効率よく抽出する。

検索オプション

 検索には「Auto」(自動)モードと「Enhanced queries」(強化されたクエリ)モードがあり、「ホーム」タブの検索ボックスの左下隅からモードを切り替えることができる。

 標準的な検索機能を提供するAutoモードでは、Perplexity独自のLLMであるSonarを使用し、以下のような基本的なタスクを実行する。

  • 質問への回答
  • 要約
  • 関連する追加の質問の提案と回答
  • 情報源の提示

 より高度な検索および生成機能を利用できるEnhanced queriesモードでは、以下4種類の検索が可能だ。

  • Pro Search
    • Autoモードに加えて、より多様な情報源へのアクセス、詳細な回答、AIモデル切り替え、マルチモーダル(画像や音声など複数のデータ形式をまとめて扱うこと)、内部ナレッジ検索(Internal Knowledge Search)などの機能を利用できる。
  • Deep Research
    • 推論モデルDeepSeek R1をベースに使用する。AIモデルが独自に推論および反復的な検索を進めて、包括的なレポートを作成し、調査や分析的な作業に強みを持つ。
  • Reasoning with R1(R1による推論)
    • Perplexity AIが開発した、オープンソースかつ多言語対応の検索モデル「R1 1776」をベースに使用する。専門性の高い論理的推論、数学的課題の解決、リアルタイム意思決定に特化する。
    • R1 1776は、DeepSeek R1の改良版で検閲機能を削除したもの。DeepSeekの公式API(アプリケーションプログラミングインタフェース)は使わず、Perplexity内で独立して稼働するため、中国にデータは送信されない。
  • Reasoning with o3-mini(o3-miniによる推論)
    • OpenAIの軽量な推論モデルo3-miniを使用する。論理性や問題解決能力が求められるタスクに役立つ。

Perplexityの利用プラン

 Perplexityの利用プランは3種類あり、無償版の「Standard」、有償版の「Pro」および企業向け「Enterprise Pro」を提供する。2025年4月時点でのプランの詳細は以下の通り。

Standard

  • 料金:無料
  • Autoモードでの検索:無制限
  • Enhanced queriesでの検索:1日5回まで
  • 利用できるAIモデル:Perplexity AIの標準モデル(Sonar)
  • ファイルアップロード:1日3ファイルまで
  • Internal Knowledge Search:利用不可
  • Buy with Pro(価格比較機能):利用不可
  • APIアクセス:利用不可
  • コミュニティーサポート:ボイスチャットツール「Discord」のコミュニティチャネル

Pro

  • 料金:ユーザー1人当たり月額20ドル
  • Autoモードでの検索:無制限
  • Enhanced queriesでの検索:無制限
  • 利用できるAIモデル:全て(GPT-4o、Claude 3.7 Sonnet、Haikuなど)
  • ファイルアップロード:無制限
  • Internal Knowledge Search機能:利用可能
  • Buy with Pro:米国地域の契約者および販売業者のみ利用可能
  • APIアクセス:毎月5ドル分までのAPIアクセスが無料
  • コミュニティーサポート:Pro専用サポートチャネルを含む全てのDiscordチャネル、カスタマーサポート用チャットツール

Enterprise Proプラン

 Proプランと同等の機能に加えて、以下のような機能を提供する。

  • 強化されたデータプライバシーとセキュリティ
  • ユーザー管理機能
  • SOC 2(System and Organization Controls 2)準拠
  • シングルサインオン(SSO)
  • データ保持機能

 従業員数250人未満の企業の場合、1ユーザー当たり月額40ドル、または年額400ドルで利用できる。より大規模な企業向けの料金については、Perplexity AIの担当チームに問い合わせる必要がある。

TechTarget発 先取りITトレンド

米国Informa TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

譁ー逹€繝帙Ρ繧、繝医�繝シ繝代�

製品レビュー ストックマーク株式会社

AI技術を使って必要な情報を自動で抽出/要約する「情報収集サービス」の実力

日々情報が増え続ける今、業務に必要な全ての情報を、社内外の関連ニュースや論文、特許情報などから収集していくのは至難の業だ。そこで業務に必要な情報を着実に届けるための仕組み作りに役立つサービスを紹介する。

製品資料 ゼットスケーラー株式会社

セキュリティリーダー必見:データセキュリティの複雑化によるリスクの解消方法             

クラウド利用の拡大に伴い、データが分散・肥大化する中、従来のセキュリティ対策の限界が見え始めている。データの所在や利用状況を可視化し、リスクを事前に把握して対応することが求められる今、有効となる新たなアプローチを探る。

市場調査・トレンド ゼットスケーラー株式会社

AI/MLトランザクション分析から読み取る、企業のリスク管理とセキュリティ課題

AIの活用が急速に進む一方で、セキュリティリスクの増大が懸念され、企業の対応が急務となっている。本資料では、2024年2~12月までの5365億件のAI/ML(機械学習)トランザクションの分析に基づき、その実態と対策を多角的に考察する。

事例 富士通株式会社

富士通が実践、AI時代に最適な設計プロセスを実現する方法

製造業の設計現場では、設計プロセスの複雑化などの課題が山積している。こうした中、注目を集めているのが生成AIの活用だ。本資料では、生成AIがもたらす設計業務の未来について、詳しく解説する。

製品資料 富士通株式会社

チャットbotだけで終わらせない、生成AIの“高度な活用”を実現するには?

多くの企業が業務における生成AIの有用性を実感する一方、高度な活用を目指すに当たり、壁に突き当たっているケースは多い。既存の業務やシステムと生成AIをスムーズに組み合わせ、自社に合った形で活用するには、どうすればよいのか。

From Informa TechTarget

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。

ITmedia マーケティング新着記事

news027.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。

news023.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...

news025.png

「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。