警戒すべき危険な攻撃の一つに、水飲み場型攻撃がある。狩りから名付けられたこの手口はどのようなもので、どう対策を打てばいいのか。攻撃事例を交えて解説する。
水飲み場型攻撃(Watering Hole Attack)とは、標的がよく訪れるWebサイトをマルウェアに感染させ、そのWebサイトを経由して標的の端末に侵入する手口を指す。水飲み場型攻撃は狩猟に由来する言葉だ。獲物が利用する水飲み場で待ち伏せ、獲物が警戒を緩めた瞬間に攻撃を仕掛ける。水飲み場型攻撃の被害は深刻になる可能性があるので備えが必要だ。攻撃の実例も交えて、どのような手口なのかを詳しく見てみよう。
水飲み場型攻撃の特徴は、標的のシステムではなく、標的がよく訪れるWebサイトが感染源になることだ。主な流れは以下の通り。
水飲み場型攻撃には、サイバー犯罪者が用いる他の手口と類似している点がある。
水飲み場型攻撃は検出が困難だが、幾つかの兆候がある。兆候に気付いたら、直ちにセキュリティ担当者に連絡しよう。
ここで、水飲み場型攻撃の被害を抑えるためのベストプラクティス(最適な方法)を紹介する。
水飲み場型攻撃の恐ろしさを実感するために、近年発生した攻撃の実例を見てみよう。
国際民間航空機関(ICAO)のWebサイトが水飲み場型攻撃を受け、システムがマルウェアに感染した。この攻撃を実施したのは、スパイ活動を目的としたサイバー犯罪集団「Emissary Panda」(別名「APT27」)だ。ICAO職員のデータといった機密情報が盗まれたとみられる。
ウクライナ政府機関のWebサイトがマルウェア「Petya」によって感染され、同Webサイトを利用している新聞社や省庁、銀行などのシステムが侵害された。Petya感染には、ウクライナ政府機関の税務会計ソフトウェアの脆弱(せいじゃく)性が悪用された可能性がある。
監視ツールベンダーSolarWindsが水飲み場型攻撃を受けた。この攻撃では、ロシアのサイバー犯罪集団「Nobelium」がSolarWindsのソフトウェアアップデートに不正コードを仕込み、それがSolarWindsのユーザー組織に配布された。攻撃の影響を受けたのは、数千の組織だとみられる。
ある日本の大学のWebサイトが水飲み場型攻撃を受けた。この攻撃は学生や研究者を狙い、音声・動画再生ソフトウェア「Adobe Flash Player」のアップデートに見せかけ、ポップアップメッセージをクリックするように誘導。クリックすると、マルウェアがダウンロードされて実行されるようになっていた。標的のシステムが実際にマルウェアに感染することはなかったという。
少数民族クルド人に関する25のWebサイトに水飲み場型攻撃が仕かけられ、ユーザーの機密情報が漏えいした。この攻撃は「SilentSelfie」と名付けられ、ユーザーの位置情報を盗んだり、不正なアプリケーションをインストールさせたりすることが目的だった。
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