破られにくいパスフレーズ入門【後編】
パスワードより安全で覚えやすい「パスフレーズ」の作り方
パスワードは長く複雑にするほど、覚えにくいといった課題がある。パスフレーズを使用することで、こうした従来型パスワードの課題を克服できる可能性がある。どのように作ればいいのか。
攻撃者はさまざまな方法でユーザーのパスワードを窃取し、企業ネットワークに侵入しようとする。パスワードを長く、アルファベットの大文字や小文字、記号、数字などを組み合わせた複雑にすることで、セキュリティを強固にできる。しかし、長く複雑なパスワードはユーザーが記憶しにくいため、結果的にユーザーがパスワードを使いまわしたり推測されやすいパターンを採用したりして、安全性を損ねてしまう可能性がある。
こうした中で注目を集め始めたのが、複数の単語やフレーズ(言い回し)を組み合わせた「パスフレーズ」だ。ただし、やみくもに複数の単語やフレーズを使えばよいわけではない。安全で覚えやすいパスフレーズを作成するためのこつを紹介する。
安全で覚えやすい「パスフレーズ」の作り方とは
併せて読みたいお薦め記事
連載:破られにくいパスフレーズ入門
パスワードの新常識
パスフレーズ作成のベストプラクティスは次の通りだ。
よく知られているフレーズを使用しない
パスフレーズやパスワードの価値は、他人に知られないことにある。有名なフレーズを選べば、推測が容易になり、脆弱(ぜいじゃく)になる。攻撃者は辞書に載っている単語をパスワードの推測に利用する「辞書攻撃」を使用する。楽しみながら独自性の高いパスフレーズを考えよう。
関連性のない単語を使用する
本や映画、よく使われる言い回しから引用しない。例えば「LemonCactusRocketWhisper」(レモン、サボテン、ロケット、ささやき)のように互いに関連性がない4つ以上の単語を選ぶ。
長くする
パスワードおよびパスフレーズは長ければ長いほど安全性が増す。最低16文字、理想は20文字以上だ。例えば「DolphinPianoGalaxyBreezeCup」(イルカ、ピアノ、銀河、そよ風、コップ)だ。
複雑にする
必須ではないが、大文字、数字、特殊文字を追加することでより複雑にできる。解読に必要な時間と計算量が増し、ブルートフォース(総当たり)攻撃に対して耐性が高まる。例えば、「LazyPineapple77!Moon」(怠け者パイナップル77!月)だ。ただし、複雑にする欠点として、より覚えにくくなる可能性がある。
覚えやすくする
イメージやストーリーを伴ったパスフレーズを作成する。より映像的でユニークなイメージが伴うほど、思い出しやすくなる。例えば「RobotDancesOnJellyMountain」(ロボットがゼリーの山の上でダンスする)だ。
パターンを避ける
連続した数字や文字、あるいは名前、誕生日、ペットの名前など、自分に関連する一般的な単語を使用しない。
その他、強力なパスフレーズの特徴は以下の通りだ。
- ランダムな名詞
- 関連性のない4つの名詞。例えば、「TableFalconMirrorCloud」(テーブル、ハヤブサ、鏡、雲)。
- 叙述的なフレーズ
- 形容詞と名詞を組み合わせ、映像的なイメージを表現する。例えば、「SilentOceanBrightStarFish」(静かな海、輝くヒトデ)。
- アクションの描写
- 動詞と名詞を使用して、アクションを描写する。例えば、「JumpingCatPaintsBlue」(ジャンプする猫は青く塗る)。
- 奇想天外なストーリー
- 覚えやすいミニストーリーを作成する。例えば、「PirateEatsLemonUnderMoon」(海賊は月下でレモンを食べる)。
その他のサンプルは次の通りだ。
- GreenTigerSingsAtMidnight(深夜、緑の虎が歌う)
- PurplePandaJumpsOverRain(紫のパンダが雨を飛び越える)
- DancingFoxOnCloudNine(とてもうれしくて踊るキツネ)
- WhisperingTreeEchoesSunlight(ささやく木が太陽の光をこだまする)
パスフレーズ管理のヒント
パスワードと同様、パスフレーズの管理と保護は欠かせない。組織のセキュリティチームは、以下のベストプラクティスを取り入れるべきだ。
- パスワードマネジャー (パスワード管理ツール)を使用する
- 複数のパスフレーズを安全に保存し整理できる。
- 使い回しを避ける
- 異なるアカウント間でパスフレーズを使い回さず、各アカウントで一意のパスフレーズを使用する。
- 定期的に更新する
- セキュリティを高めるために定期的に変更する。データ侵害があったら即刻変更する。
- MFA(多要素認証)を有効にする
- 強固なパスフレーズを導入して安心するのではなく、認証のステップを増やすことで、セキュリティを強化する
パスフレーズは従来のパスワードに代わる強力な方法だ。強固なセキュリティ対策とユーザーにとっての使いやすさを兼ね備えている。これまで紹介した方法に従うことで、より安全なパスフレーズを作成できるはずだ。
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