導入済みの「SASE」見直しも? ネットワークセキュリティの“3大動向”猛威を振るう攻撃にどう対処するか

クラウドサービスの普及を背景に、ネットワークセキュリティの重要性が高まっている。今知っておくべきトレンドは何か。「SASE」の導入傾向をはじめとした、2025年の動向を簡潔にまとめた。

2025年04月09日 05時00分 公開
[John GradyTechTarget]

 2025年に入ってからもサイバー攻撃は猛威を振るっている。SaaS(Software as a Service)をはじめとしたクラウドサービスを狙った攻撃も活発になっており、クラウドサービスを保護するためのネットワークセキュリティの重要性が増している。ネットワークセキュリティの2025年の主要な動向とは何か。クラウドサービスを安全に使うために見逃してはいけない、3つのトレンドを紹介する。

1.SASE、SSE利用の拡大

 ネットワークセキュリティの新しい手法や技術として「SASE」(セキュアアクセスサービスエッジ)と「SSE」(セキュリティサービスエッジ)が登場してから5年以上が経過した。SASEはネットワークとセキュリティの機能を組み合わせたクラウド型の仕組みだ。SSEはSASEを構成するコンポーネントで、セキュリティの機能を集約している。SASEとSSEの導入は広がりつつあるが、取り組みの進捗(しんちょく)は組織によって大きく異なる。

 SASEとSSEの利用に関して大半の組織はまだ初期段階にあり、自社に適した活用方法を模索したり、ベンダーの選定を進めたりしている。一方でSASEとSSEをいち早く導入した組織は、アクセス制御の強化やクラウド移行といった初期の目標を広げ、より高度なセキュリティ効果を求めている。例えば、SASEとSSEからさまざまなデータを得て、脅威の検知や対処に生かす取り組みが注目されている。

 もう一つ、SASEとSSEを巡る新たな動向として注目されるのがベンダー選定の見直しだ。SASEとSSE製品は技術や機能、使い方などのさまざまな面で進化し、選択肢が広がっている。これを背景に、ベンダーを変更する組織の増加が見込まれている。

2.生成AIによる運用管理の自動化

 画像や文章を生成するAI(人工知能)技術「生成AI」(ジェネレーティブAI)の普及は、ネットワークセキュリティにも影響を与えつつある。生成AIは、攻撃者に悪用されるリスクがある一方で、システムを保護する側にもさまざまなメリットをもたらすと考えられる。特に生成AIに対する期待が大きいのは、ネットワークセキュリティの運用管理の作業を自動化することだ。

 2025年には、ネットワークセキュリティ製品に生成AIを取り入れて運用管理作業を部分的に任せる方向に、大きな進歩が見られるだろう。今すぐにそうした製品が登場するというよりは、中期的なトレンドとして捉えてもらいたい。

3.ネットワークセキュリティとID管理の連携

 近年、ネットワークとセキュリティの一体化が進んでいる。そうした中、ネットワークセキュリティベンダーが「次の市場」として着目しているのは、ID(アイデンティティー)の分野だ。ネットワークセキュリティにおいて、ID保護は極めて重要だ。そのため、ネットワークセキュリティベンダーとID管理ベンダーの連携が進む可能性がある。

 全ての通信を信頼しない「ゼロトラストセキュリティ」の考え方を取り入れた技術の一つとして「ZTNA」(ゼロトラストネットワークアクセス)がある。ZTNA製品の大半では、特権アクセス管理が中核的な機能になっている。SASE製品はシングルサインオン(SSO)機能を備えた製品もあるが、大半の組織は現在もID管理ベンダーに頼り続けている。そう考えると、今後、ID管理ベンダーを買収して製品を統合させるネットワークセキュリティベンダーが出てくるのは、十分にあり得ることだと筆者はみている。

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