「RPA」と「AIエージェント」の違いが分かる“10の視点”AI時代の自動化を考察する【後編】

「RPA」と「AIエージェント」はどちらも業務自動化に役立つ技術だが、それぞれ異なる特徴を持つ。10個の視点で両者を比較する。

2025年06月06日 08時00分 公開
[Kashyap KompellaTechTarget]

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 「RPA」(ロボティックプロセスオートメーション)と「AIエージェント」(AI:人工知能)は、いずれも業務の自動化を支援する技術だが、その特性や使いどころは異なる。どちらを導入すべきか判断に迷う企業のために、両者の違いを10個の視点で比較する。

「RPA」「AIエージェント」を10の視点で比較

  1. 技術の成熟度
    • RPAは2010年代に登場し、広く企業に導入されてきた実績ある技術だ。対して、AIエージェントは比較的新しく、大規模な導入事例はまだ限られている。
  2. 汎用(はんよう)性
    • RPAはあらかじめ定義されたルールに従って既存の業務プロセスを正確かつ効率的に処理する。一方のAIエージェントには、従来RPAでは対応が難しかった非定型業務にも応用できる対応力がある。
  3. 状況適応力
    • RPAはルールベースで動作するのに対し、AIエージェントはタスクに応じて判断を下し、ツールを自律的に選択および実行する。その分、動的な状況変化にも対処できるが、設計と制御にはより慎重なアプローチが求められる。
  4. マルチモーダル性
    • AIエージェントはテキスト、音声、画像、動画といった多様な形式を処理可能なマルチモーダル性を備えている。これに対し、RPAは基本的に定型フォーマットやテキストベースの処理に限定される。
  5. 処理負荷
    • AIエージェントは大規模言語モデル(LLM)を活用するため、多くの計算リソースを必要とし、レイテンシ(遅延)も発生しやすい。一方のRPAは軽量で高速に動作しやすく、インフラへの負荷は比較的小さい。
  6. ユーザーインタフェース(UI)依存性
    • GUI(グラフィカルユーザーインタフェース)ベースのRPAは、画面操作の再現によって自動化を実行する。そのため、UIが変更されると動作しなくなるリスクがある。一方、AIエージェントはUIに強く依存しない構成も可能で、変更への耐性がある。
  7. ユーザーとの関与レベル
    • RPAは主にバックエンド業務を無人で処理するのに適している。一方、AIエージェントは対話インタフェースを通じてユーザーや顧客と直接やりとりするシナリオに適している。
  8. 信頼性
    • AIエージェントは自律性に優れる反面、AIモデルが事実に基づかない回答を出力する「ハルシネーション」を起こすリスクがある。一方、RPAはスクリプト通りに動作するため、動作結果が予測しやすく安定している。
  9. 技術革新のスピード
    • AI技術は急速な進化を遂げており、市場には新しいツールや機能が次々と登場している。RPAベンダーは安定性を重視しつつ、サードパーティーのAI機能と連携することで進化を図っているのが現状だ。
  10. API(アプリケーションプログラミングインタフェース)へのアクセス性
    • AIエージェントはAPI経由でシステムと連携する設計が主流だ。そのため、APIが用意されていない環境では柔軟に動作できない可能性がある。一方、RPAはGUI操作により、APIが存在しない古いシステムにも対応しやすい。

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