「大規模アクションモデル」(LAM)の登場により、RPA市場には大きな変化が起きようとしている。ユーザー企業は従来型のRPAを代替する手法をどう評価しているのか。
主要RPAベンダーの対抗馬として、スタートアップ企業のOrby AIが注目を集めている。同社は、タスクを自律的にこなす「大規模アクションモデル」(LAM)などの生成AI技術を用いる。従来型のRPAに対して、LAMによる効率化の手法はどのような評価を得ているのか。
Orby AIはLAMなどの生成AI技術を用いることで、従来型RPAよりも迅速かつ安価なビジネスプロセスの自動化を目指している。一方で、Orby AIのユーザー企業からは不安を訴える意見が出てきているようだ。
不動産サービス企業Jones Lang LaSalle IP(JLL)は、2024年初頭からOrby AIのツールを試験的に運用し、請求処理をはじめとする各種プロセスの自動化を図っている。JLLでエンタープライズシステムの最高情報責任者(CIO)を務めるブルース・ベック氏は、Orby AIのようなスタートアップ企業のツールを採用することに、不安を感じているという。
スタートアップ企業のツール導入を検討する場合、その製品が今後普及するのか、自社が唯一のクライアントになってしまうのではないか、といった懸念が付きまとう。「また一から他社製品を検討するような事態は避けたい」とベック氏は話す。
Orby AIの共同設立者であるベラ・リウ氏とウィリアム・ルー氏は、技術的なバックグラウンドを持ち、一流大学でMBAを取得している。だが、Orby AIは彼らにとって初めてのビジネスだ。そのため、ベンチャーキャピタルによる支援が重要な役割を果たすことになる。こう指摘するのは、技術コンサルティング企業Enterprise Management Associatesで代表取締役と最高執行責任者(COO)を兼務するダン・ツイング氏だ。
主なOrby AIの出資者の中には、Walt Disney StudiosおよびDreamworksの元会長で、IT系ベンチャーキャピタルWndrCoの共同設立者であるジェフリー・カッツェンバーグ氏がいる。他にも、資金調達ラウンドにはNew Enterprise Associates、Wing VC、Pear VCといった企業が名を連ねている。
Orby AIは、Automation Anywhere、Blue Prism、UiPathといった大手RPAベンダーだけでなく、Writer、Tabnine、Brevian、LightOn、Tune AIといった他の生成AIスタートアップ企業とも競い合う必要もある。一方でツイング氏は、Orby AIをはじめとする生成AIスタートアップ企業には、大きなチャンスが待ち受けていると話す。同氏によれば、従来型のRPAは扱いづらく、導入も維持も難しいため、Deloitte Touche TohmatsuやKPMGなどコンサルティング企業に大きな利益をもたらした。しかし今では、「価値の低い技術となりつつある」という。
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