いまさら聞けない「ノーコード開発」ではなく「ローコード開発」を選ぶ理由押さえておきたい「ローコード開発」の基礎知識【前編】

「ローコード開発」は、開発の効率化に役立つ技術として注目を集めている。具体的にどのようなメリットがあるのか。「ノーコード開発」と何が違うのか。

2025年03月31日 05時00分 公開
[Gerie OwenTechTarget]

 「ローコード開発」は最低限のソースコードを記述する開発手法で、開発効率を向上させる技術として注目を集めている。具体的にどのようなメリットがあるのか。「ノーコード開発」とは何が違うのか。押さえておきたい基礎的なポイントをおさらいしよう。

なぜ「ローコード」を使う? 「ノーコード」との使い分けは?

 ローコード開発とは、アプリケーションの一部を、あらかじめ構築されたモジュールやコンポーネントを活用して実装する開発手法だ。一般的なローコード開発ツールは、ドラッグアンドドロップなどのビジュアルインタフェースが搭載されており、コーディング量を抑えながら迅速に機能を構築できる。

 スクラッチ開発と比較して、ローコード開発では記述するソースコードの量は減少する傾向にあるが、完全にノーコードで簡潔するわけではない。モジュールのカスタマイズやシステム連携のために、ある程度手動でのコーディングが必要になる場合もある。

 ローコード開発の最大のメリットは「開発スピードの向上」だ。事前に構築されたモジュールを活用することで、アプリケーションの機能実装にかかる時間を大幅に短縮できる。特に経験豊富な開発者は、より創造的なタスクや、優先度の高い業務に多くの時間を割くことができる。

 さらにローコード開発は、外部システムとの統合において強みを持つ。ローコードツールを活用することで、対象となるシステムの詳細を全て学ばなくてもスムーズな連携が可能となり、開発効率の向上につながる。

「ノーコード」との違いは?

 ローコード開発とノーコード開発は、どちらもアプリケーション開発を自動化、効率化する手法であり、開発、テスト、デプロイ(配備)といったプロセスを簡素化する。両者は一見似た概念に見えるが、「機能性」と「使いやすさ」の2点で明確に異なる。

 ローコード開発は、ある程度のコーディングを伴う開発手法であり、プログラミング言語の基本的な知識が求められる。例えば、経験豊富な開発者がシステム統合やカスタムロジックの実装など、一部の開発タスクにローコード技術を活用するケースが考えられる。ローコードツールのテンプレートを活用しつつ、必要に応じて手動でソースコードを記述することで、柔軟性を持たせながら開発を進められるのが特長だ。

 一方で、ノーコード開発は文字通り、ソースコードを一切記述しない開発手法だ。ソースコードは完全に抽象化されており、プログラミングの専門知識を持たない、業務部門の担当者や市民開発者(ITを専門としない開発者)でも、直感的な層さでシンプルなアプリケーションやWebサイトを構築できる。特に単純な業務プロセスの自動化や簡易的なツール作成に適しており、業務現場の担当者が自らアプリケーションを作成し、業務改善を迅速に進めることができる。

 技術的な観点では、多くの開発ツールがドラッグアンドドロップやモデル駆動型のインタフェースを採用し、ローコードとノーコード両方のアプローチを採用している。ただし、ノーコード開発であっても、複雑な業務プロセスや外部システムとの統合が必要な場合には、経験豊富な開発者のサポートが不可欠だ。そのため、ローコードとノーコードを適切に使い分け、開発プロジェクトの要件に応じた最適なアプローチを選択することが重要だ。


 次回は、ローコード開発と従来型開発の違いを解説する。

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