ウオーターフォール型開発は、実はソフトウェア開発の“ある誤解”から生まれた開発手法だ。アジャイル型開発の考え方も踏まえて、ウオーターフォール型開発が生まれた歴史を振り返ってみよう。
「ウオーターフォール」型開発は、開発工程を上流から下流へと順番に進める手法だ。長年にわたってさまざまな組織で採用されてきたこのウオーターフォール型開発は、ソフトウェア開発の“ある誤解”から生まれたものだった。それは、小規模な変更を短期間のうちに繰り返す「アジャイル」型開発とも関連がある。どういうことなのか。ソフトウェア開発の歴史を振り返ってみよう。
1970年、コンピュータ科学者のウィンストン・ロイス氏は学術論文「Managing the Development of Large Software Systems」を発表した。
ソフトウェアのバージョン管理が普及していなかった時代に発表されたこの論文は、大規模な開発チームでのソフトウェア開発の進め方を提案するものだ。開発者が設計書を作成する際に、共同作業で使うインタフェースを指定することで、チーム内の意思疎通が円滑になり、混乱が起きにくくなり、各開発者は作業を進めやすくなる。
残念ながら、ロイス氏の提案は意図した通りには広まらなかった。同氏が描いたソフトウェア開発管理のビジョンは、アジャイル型開発に近いものだったと著者は考えている。一方で、同氏が示した「Cascading relay of responsibilities」(訳:連なった小さな滝のような責任の連鎖)の図は、偶然にも「ウオーターフォール」という名称を生むきっかけとなる。多くの人がそれを文字通りに受け取り、「厳格かつ段階的な開発プロセスを奨励するもの」と解釈した。
後にロイス氏は、誤って広まったウオーターフォール型開発モデルのリスクについて警告しているが、結果的にそのまま普及することとなった。
後編は、ウオーターフォール型開発の課題を解消するための3つのステップを紹介する。
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