「ウオーターフォール」が好きな企業、「アジャイル」に失敗する企業の特徴2大開発手法を比較【後編】

従来は「ウオーターフォール」型開発が主流だったシステム開発で、「アジャイル」型開発に移行する企業の動きが目立つ。しかし、移行は一筋縄ではいかない。

2024年03月20日 07時00分 公開
[Darcy DeCluteTechTarget]

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アジャイル | 開発プロセス


 代表的なシステム開発手法として、上流工程から下流工程へと順番に開発を進める「ウオーターフォール」型開発と、小規模な変更を短期間のうちに繰り返す「アジャイル」型開発がある。

 従来、企業が採用する開発手法としてはウオーターフォール型が主流だったが、近年では“アジャイル移行”に目を向ける企業の動きが広がる。その背景や、移行で企業が直面する課題について解説する。

ウオーターフォールを好む企業、アジャイルに失敗する企業

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 ウオーターフォール型開発は、次のような特徴を持つ開発チームやプロジェクトに適している。

  • 機能要件が明確に定義されている
  • 開発チームが10人以上のメンバーで構成されている
  • DevOps(開発と運用の融合)ツール群と、それを使いこなせる開発者がいる
  • 開発着手以降は、基本的にマイナーチェンジのみ対処する
  • 経営陣が開発チームを管理したいと考えている

 大企業、特に金融や製造業、政府機関におけるプロジェクトでは、ウオーターフォール型開発が好まれる傾向がある。事前に要件収集を実施することで、プロジェクトの予算計画やマイルストーン策定の正確性を高められるからだ。

 一方で近年、ビジネスにおける競争が激化して開発にスピードが求められる中で、柔軟に変更に対処できるアジャイルへの移行が目立つ。アジャイルの代表的なフレームワーク「スクラム」の適用を目指して、進行役「スクラムマスター」を雇う企業も存在する。

 スクラムマスターの目標は、企業にスクラムのメリットを認知させ、慣れ親しんだウオーターフォール型開発からの転換を促すことだ。しかし、このような変革は企業風土の変革なしに達成するのは難しい。スクラムを部分的に取り入れるだけの「スクラムもどき」に陥る企業も少なくない。

 例えば、事前計画や要件収集の段階では、クライアントの快適さを優先してウオーターフォールのやり方から抜け出せないというケースがよくある。

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