幅広い開発に使えるプログラミング言語「Kotlin」は、「Java」に代わる選択肢になる。JavaではなくKotlinを使う理由は何か。その魅力を解説する。
「Kotlin」(コトリン)は、メインフレームアプリケーションからモバイルアプリケーションまで幅広く開発に使えるプログラミング言語だ。近年はKotlinをプログラミング言語「Java」と併用する、もしくはJavaの代替としてKotlinを採用するという動きが広がりつつある。Javaではなく、Kotlinが人気を集める理由はどこにあるのか。開発者がKotlinを好む理由を5つに分けて紹介する。
KotlinはJavaをベースにしている。開発者はJavaのコーディングスキルがあれば、Kotlinでもソースコードを書ける。そのため、「IntelliJ IDEA」などのIDE(統合開発環境)では、Javaコードから同等の機能を持つKotlinコードを生成することが可能だ。
KotlinはJavaをベースにしている一方で、冗長な要素を削除している。そのため記述するソースコードの量はJavaよりもKotlinの方が少なくなる。この結果、Kotlinにはコードエラーやバグの抑制、運用負荷軽減、ユーザーエクスペリエンス(UX)向上ができるというメリットがある。
Kotlinは、Javaプログラムを稼働させる「Java仮想マシン」(JVM)向けに「バイトコード」という中間コードを出力する。この仕組みによって、KotlinでもJavaと同様、最新のJVMの性能を最大限生かすことができる。
他にも、プログラミング言語「JavaScript」やネイティブコード向けにソースコードを生成する、といったことも可能だ。ただし、ライブラリの選択肢や移植性について制約がある点を考慮すべきだ。
Javaには「関数はクラス(メソッドやデータなどを定義したもの)に属さなければならない」という制限がある。一方でKotlinにはこのような制限がなく、特定のクラスに所属しない関数「トップレベル関数」を用いて静的メンバー(クラスに属するフィールドやメソッド)を定義できる。この仕組みによって、ソースコードの読みやすさが向上する他、「クラスごとに生成可能なクラスファイル数に制約がある」といったJVMの課題を解消できる。
Kotlinはトップレベル関数だけでなく、他の関数をスコープ(プログラム内で変数を使う範囲)付きで導入できる。そのためクラス内で静的メンバーを定義するためのオブジェクト「コンパニオンオブジェクト」を使用し、効率的なソースコード管理を実現可能だ。
Kotlinは、演算子のオーバーロードが可能だ。つまり、特定のクラスで使えない関数や演算子があっても、ユーザーが独自に定義することで引数に応じて使い分けることができる。これによって、煩雑さを抑えた方法でベクトルや行列を操作できる。
例えばJavaは、正確な算術演算をしたい場合にクラス「BigDecimal」を実装する必要があったが、ソースコードの複雑化といった課題を招いていた。Kotlinはこのような課題を回避しつつ、柔軟に演算子を使用できる。
後編は、JavaではなくKotlinを使う理由を本稿とは別の観点から紹介する。
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