バグ修正に追われて本来の開発が進まないという状況は避けたいものだが、バグを完全に排除することは難しい。修正したはずのバグが再発する“悲劇”を繰り返さないための、効果的なバグ修正方法とは。
開発チームが最善を尽くしても、アプリケーションにバグ(不具合)は発生する。バグはコーディングにおける欠陥だ。バグが存在すると、アプリケーションの動作速度の低下、異常な動作、フリーズ、クラッシュを引き起こす可能性がある。バグはソースコードのあらゆる部分に存在する可能性があり、セキュリティ上の問題、API(アプリケーションプログラミングインタフェース)のエラー、データベースのエラーなどにつながりかねない。
アプリケーションを使うエンドユーザーもバグの影響を受ける。バグによるエラーが発生すると、エンドユーザーの不満につながったり、作業のやり直しを強いられたりなど、影響はさまざまだ。
開発チームはエンドユーザーのフィードバックを受けてバグを発見し、修正することがある。開発中にバグを特定できるのであれば、そちらの方が望ましい。完全な予防が不可能な以上、開発チームはバグを修正し、再発を防ぐ方法を知っておく必要がある。本連載はバグ修正とバグ防止のベストプラクティスを紹介する。
開発チームは詳細かつ効果的な手順に従ってバグを修正するために、ベストプラクティスを確立することが重要だ。理想的には、一度修正したバグを再発させるべきではない。以下にバグ修正のベストプラクティスを挙げる。
エンドユーザーから不具合の報告を受けたら、開発チームはソースコードを精査し、エラーの根本的な原因を特定する必要がある。エラーが起こらないように対処するのではなく、原因になったバグを特定、修正しなければならない。
テスト環境または開発環境でのバグの再現は、根本的な原因を特定することに役立つ。バグの中には、アプリケーションの設定ミスやシステム構成の違いに起因するものがある。バグを再現することで、効果的にバグを修正できる。
AI(人工知能)技術を活用した自動テストツールは、開発中の迅速なバグ特定に有用だ。近年の自動テストツールはAI技術を取り入れており、バグを特定し、単体テスト(プログラムの最小単位である機能の動作テスト)などの自動テスト用のソースコードを支援する機能を備える。開発と並行してテストを実行する機能を搭載するツールもあり、時間の節約や手戻りの削減に貢献し得る。
開発チームのメンバー間で積極的に協力することを習慣化することは、エンドユーザーから報告されたバグを迅速かつ正確に修正するための近道だ。バグについてチームで話し合うことは、設計やコーディングについてのブレーンストーミングをする機会になり、より良い修正方法を見つけることにつながる可能性がある。
バグを修正した実行可能ファイルを本番環境にデプロイ(展開)する前に、必ずテスト環境で検証することが重要だ。現代のアプリケーションは複雑で、しばしば複数のコンポーネント(部品)が複雑に連携している。その場合、バグを修正することによって新しいバグが発生しかねない。あるバグを修正しても、それによって別のバグが生じてしまっては、エンドユーザーは満足しないだろう。
本番環境で発生した全てのバグに対して、既存のテストケース(動作を確認するための手順や条件をまとめたもの)を更新するか、新しいテストケースを作成する必要がある。定期的なスモークテスト(基本動作確認テスト)や回帰テスト(変更による影響を確認するためのテスト)に、本番環境で起きたバグの情報を追加することで、将来同じバグが再発することを予防できる。
本番環境で発生したバグの修正に対して、単体テストを作成するか、実行可能ファイルを検証するためのテスト群にテスト用プログラムを追加する。これらを使うことで、ビルド(実行可能ファイルの生成)前にバグを特定しやすくなり、本番環境でのバグ再発を防ぐことが可能だ。
全てのテストケースに合格したら、開発チームは新しい実行可能ファイルを作成し、スモークテストと回帰テストをテスト環境で実行する。この手順を踏むことで、バグ修正によって意図せず発生した新たなバグを特定できる。バグ修正に関するテストでは、スモークテストと回帰テストを必ず計画、実行しよう。そうすることで、本番環境でのバグの再発や新たなバグの発生を防げる。
顧客企業は通常、新しい実行可能ファイルを受け取ると、それを用いてテストを実施する。顧客企業に再テストの結果に関するフィードバックを依頼して、フィードバックを受け取るまではバグ修正のプロジェクトを終わらせずに待つ。
同じバグの再発を避けるために、テストやバグ修正のプロセスを継続的に改善することは不可欠だ。開発チームがイテレーション(短期間で繰り返す開発サイクル)やアプリケーションの公開を振り返る際、チームの学びの場のために、顧客企業が報告した全てのバグとその修正について話し合うことを習慣化しよう。顧客企業からのフィードバックは、アプリケーションのUX(ユーザーエクスペリエンス)の向上にも役立つ。最後に、バグの記録と、テスト結果や顧客企業からのフィードバック、関連するテストケースをひも付け、文書化する。
次回は、バグを予防するためのベストプラクティスを紹介する。
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