開発現場に普及している「Java」と「Python」には、それぞれ異なる課題がある。両プログラミング言語の設計に関わる本質的な違いから、その答えを探る。
プログラミング言語の選択は開発プロジェクトの成否を左右する。人気のプログラミング言語「Java」と「Python」は、内部構造や設計思想に大きな違いがある。両言語を複数の観点から比較することで、それぞれの言語が目指す方向性と、その結果として生じる長所および短所が明確に見えてくる。開発者が気にすべき違いとは何か。
スタンドアロンアプリケーション開発の分野でJavaとPythonを比較してみよう。
一部のPythonユーザーには、Javaでmainメソッドを宣言するための「public static void main(String[] args)」というフレーズが冗長に映る可能性がある。
以下は、スタンドアロンのJavaプログラムを、開発・実行環境「Oracle JDK」のバージョン21(Oracle JDK 21、通称「Java 21」)より前のバージョンで実装した例だ。
public class HelloWorld { public static void main(String[] args){ System.out.print("Hello World"); } }
Java 21では、public static void main(String[] args)という記述の一部を省略できるようになり、この点が改善された。
先ほどのサンプルコードは、mainメソッドを「HelloWorld」クラスに格納している。この設計はmainメソッドの予期しない実行を防ぐことができ、セキュリティの向上に役立つ。Javaは構造や制御を明示することを重視しており、この厳格さがセキュリティ強化につながっている一方、Pythonよりも厳しい制約を生んでいる。
一方でPythonは、外部ファイルやモジュールを読み込む構文「import」でPythonファイルを読み込んだタイミングで、トップレベル(関数やクラス定義などのブロックの外)にある命令が実行される。次のシナリオを考えてみよう。攻撃者が悪意のある命令をトップレベルに記述したPythonファイルを作成する。この悪意のあるファイルを呼び出すように標的のPythonファイルを改変するだけで、悪意ある命令が実行される危険性があるということだ。この問題は、Pythonの標準機能だけで防ぐことは難しい。
スタンドアロンアプリケーションを開発する上で、JavaとPythonにはそれぞれに長所と短所が存在する。その違いは、主に言語の根本的な設計に基づくものだ。特に、Javaは単一の明確なエントリーポイントを持つプログラムを作ることができる一方で、Pythonでは難しいという点は、スタンドアロンアプリケーション開発者が言語を選択する上での大きな判断材料になり得る。
ただしスタンドアロンアプリケーション開発や対話的なプログラム開発・実行環境(REPL:Read-Eval-Print Loop)の適性という観点は、プログラミング言語を評価する1つの側面に過ぎない。企業がプログラミング言語を選ぶ際は、言語の特性に加えて、開発チームのスキルや運用上の制約といったさまざまな要素を踏まえて検討することが重要だ。
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