AI技術の活用には、画像や文章などの非構造化データを大量に管理しなければならない。そうした際に不可欠なのが「ベクトルデータベース」だ。なぜ重要であり、どう役立つのか。
AI(人工知能)技術を活用する上で、データの特徴を数値の並びとして表現した「ベクトルデータ」が重要になってきている。画像や文章、音声などの非構造化データを効率的に処理し、それらの価値を引き出す上でベクトルデータは不可欠だ。AI技術活用において、ベクトルデータを扱う「ベクトルデータベース」の重要性と、その役割について解説する。
リレーショナルデータベースは、行と列で構成されたテーブルにデータを格納する。これに対してベクトルデータベースは、特徴や性質を数値として表し、多次元空間の点としてデータを保持する。
データポイント間の距離を測定し、完全な一致ではなくデータの類似性に基づいて検索、取得するのがベクトルデータベースの特徴だ。本のデータを例に挙げて考えよう。リレーショナルデータベースは、著者やタイトル、出版日を基に本を検索する。ベクトルデータベースは、内容、トーン、プロット構造、スタイルといった特徴を参照して、それらの要素が似ている本を見つけ出すことが可能だ。このような検索を、近似最近傍(ANN:Approximate Nearest Neighbor)探索などのアルゴリズムを使用して実現している。
ベクトルデータベースは、画像や文章をAI技術で自動生成する「生成AI」を利用したアプリケーションの運用に不可欠だ。生成AIを使う上で欠かせない、大量のベクトルデータを管理、検索するために重要な役割を果たす。生成AIの用途が広がるにつれて、ベクトルデータベースの用途も広がりを見せている。
次回は、ベクトルデータベースが価値を発揮できる10件の用例を紹介する。
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