生成AIのビジネス活用が広がる中、課題になるのは、生成AIを安全に使うためのインフラ構築だ。そのポイントとは何か。「プライベートAI」をキーワードに解説する。
クラウドサービスを利用した生成AI(AI:人工知能)ツールをビジネスに取り入れる動きが広がっている。組織は生成AI利用によってさまざまなメリットを得つつあるが、本格的なビジネス活用に当たっての課題も見えてきた。代表的な課題の一つは、データのセキュリティを確保しながら、生成AI利用のインフラを構築するということだ。パブリッククラウドを利用する場合のリスクを踏まえて、生成AI活用ではどのようなインフラが求められるのかを考えてみよう。
組織は生成AIを意思決定や顧客関係の構築に生かすために、財務や販売、マーケティング、物流、研究開発などのさまざまなデータを分析しなければならない。その中には、機密情報が含まれる場合もあるので、セキュリティやコンプライアンス(法令順守)を考えることが欠かせない。セキュリティやコンプライアンスの観点から問題視されるのは、ユーザー同士がインフラを共有するパブリッククラウドに機密情報を送ることだ。
クラウドベンダーPulsant最高技術責任者(CTO)のマイク・ホイ氏はパブリッククラウドについて、「機密情報を扱うユースケースにはあまり適していない」と指摘する。機密情報を扱う際は、よりアクセス制御が行き届いた環境が必要になる。「データ漏えいといった事態が発生するリスクを低減するために、組織には自社内でインフラを整備することが求められる」(同氏)
大半の組織は生成AIをまず試験的に導入し、具体的な活用シーンを模索してきた。今後は、生成AIのより本格的な利用が見込まれている。だからこそ、組織は今の段階で生成AI利用のインフラも考え、本格利用に備えたインフラ構築に取り組まなければならないとホイ氏は強調する。
パブリッククラウドを用いても、データ保護の責任はユーザー組織にある。「データをパブリッククラウドにアップロードすれば、本来はアクセスしてはいけない人や組織にアクセスされる可能性がある」(ホイ氏)
こうした問題の解決策として考えられるのは、生成AI利用のインフラとしてプライベートクラウドを利用すること。生成AI用のデータを自社内に置けば、データ流出のリスクを減らすとともにコンプライアンスの強化を図れる。
「パブリッククラウドは必要ないと話しているわけではない。特に生成AI利用の初期段階においてパブリッククラウドが果たすべき役割があることは明らかだ。しかし、生成AIの本格的な利用が進むにつれ、プライベートなインフラが最適なケースは増えるだろう」(ホイ氏)
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