人工知能(AI)技術の利用は医療機関の収益サイクル管理にさまざまなメリットをもたらす。患者もその恩恵を受ける可能性がある。具体的にはどのような利点があるのか。
医療サービスの請求書を作成したり、支払いを追跡したりする医療機関の業務、「収益サイクル管理」。現在、人工知能(AI)技術を取り入れ、収益サイクル管理の改革を目指す動きが加速化している。AI技術が収益サイクル管理にもたらすメリットとは何か。
2023年12月に医療ITベンダーAKASAが公開した調査結果は、450人以上の医療機関の最高財務責任者(CFO)から寄せられた回答をまとめたものだ。それによると、医療機関の約4分の3が収益サイクル管理の自動化に取り組んでいる。人手不足の深刻化を背景に、医療機関の大半は今後も継続的に自動化に注力し、その一環としてAI技術を採用することが見込まれている。
AI技術の利用は医療機関にとって待ったなしの取り組みだ。収益サイクル管理を担当するスタッフの退職や過労による休職、収益サイクル管理業務の外部委託による品質低下など、医療機関が現在直面している課題は多岐にわたる。
医療ITベンダーCodaMetrix代表取締役兼CEOのハミド・タバタバイ氏によると、医療業界は収益サイクル管理におけるAI技術の利用に関して転換点を迎えている。「早期導入者は、採用したAI技術についてさまざまな問題点が見えてきて、ベンダー戦略を見直している」とタバタバイ氏は説明する。
次のステップとして特に期待が高まっているのは、AI技術によって収益サイクル管理のデータから「洞察」を得ることだとタバタバイ氏は主張する。人が気付かないことをAI技術が指摘してくれて、財務改善におけるヒントを得られるという。「AI技術は患者の入院期間や治療の効果、支払いパターンなど、さまざまなデータを結び付けた高度な分析が可能だ」と同氏は解説する)
AI技術の利用は医療機関だけではなく、患者にもメリットをもたらす可能性がある。例えば請求情報に不備があった場合に、その患者に対して医療サービスの提供が十分だったかどうかを判断し、追加のサービスを提案するなど治療の改善につなげることができる。ポイントになるのは、分析対象となるデータの厳選による品質確保だ。タバタバイ氏は「分析するデータの品質が低ければ、洞察を得られないだけではなく、トラブルを招いてしまう恐れもある」と警鐘を鳴らす。
その実現に向け、医療機関はAI技術を利用する体制を整えなければならない。「医療機関のIT部門と財務部門、管理部門が連携し、『成果を上げるために必要なものは何か』を一緒に考えることが重要だ」とタバタバイ氏は助言する。AI技術利用の一環として、結果の測定や問題点の洗い出しも欠かせないと同氏は付け加える。
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