C++が“使ってはいけないプログラミング言語”だと言われるのはなぜ?「Carbon」は「C++」の後継になり得るか【第2回】

「C++」は、「C」の後継として生まれたプログラミング言語だ。後継言語として強力な仕組みを持つ一方、さまざまな問題を抱えていると専門家は指摘する。どのような問題なのか。

2022年09月26日 05時00分 公開
[Stephanie GlenTechTarget]

 プログラミング言語「C++」は、プログラミング言語「C」から派生した。そのためC++は、Cの仕組みを受け継いでいる。C++エンジニア向けカンファレンス「CppNorth 2022」の基調講演において、「C++の成功にはCの継承が不可欠だった」と、Googleのプリンシパルソフトウェアエンジニアであるチャンドラー・カルース氏は語った。同社はC++の後継を目指して、プログラミング言語「Carbon」(Carbon Language)の開発を進めている。

 CからC++への移行は比較的スムーズに進んだ。一方でC++が抱える“ある問題”が顕在化した。

C++が“使ってはいけない”と言われるのはなぜ?

 「C++はさまざまな癖がある複雑なプログラミング言語だ。構文を理解して記述するのが難しい。そのためバグが発生する可能性が高く、修正に費用も時間もかかる」。プログラミング学習サイト「Savvy Programmer」の創設者兼編集者のモーシェッド・アラム氏はそう話す。「C++は企業におけるアプリケーション開発にはあまり適していない」ともアラム氏は語る。

 企業におけるアプリケーション開発にC++が最適なプログラミング言語ではないことには、調査会社Forrester Researchでシニアアナリストを務めるアンドリュー・コーンウォール氏も同意する。「C++は強力なプログラミング言語だが、多くの災いを引き起こす可能性がある」とコーンウォール氏は述べる。一方「さまざまなシステムの構築にC++は十分役割を果たしている」という考えも示す。

 「C++にはメモリに関する安全性の問題がある。これはC++で開発したアプリケーションに深刻なセキュリティリスクをもたらしかねない」。アプリケーション開発企業Intelivitaの共同創設者であるダバル・サルバイヤ氏はそう説明する。C++では、開発者がメモリ領域の確保や解放といった処理をソースコードに明記する必要がある。適切なメモリ管理ができていないC++アプリケーションは、確保できているメモリ領域を越えてデータを書き込んでしまうことがある。これを「バッファオーバーフロー」の脆弱(ぜいじゃく)性と呼ぶ。

 ソースコード共有サービス「GitHub」で公開している情報によると、Carbon開発チームは、こうしたメモリの安全性の問題を大きな課題だと捉えており、C++の後継言語はメモリの安全性を確保すべきだと主張する。他方で「メモリの安全性に関する取り組みの優先順位は高くない」とも説明する。「われわれがセキュリティ分野で真っ先に重点を置くのは、重要かつ実装難易度が高くない機能だ」と開発チームは言及する。

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