Googleが「C++」に代わるプログラミング言語「Carbon」を開発するのは、C++に対する開発者の不満解消が目的だ。C++の弱点とは何なのか。なぜ課題があるにもかかわらず、C++は使われ続けているのか。
2022年7月、Googleが実験的なプログラミング言語「Carbon」(Carbon Language)を発表した。同社はプログラミング言語「C++」の後継を目指してCarbonを開発しているという。だが業界の懐疑的な姿勢が、Carbonの普及の妨げとなる可能性がある。
C++は企業におけるアプリケーション開発の主要なプログラミング言語だ。一方でC++には欠点があり、代わりとなるプログラミング言語が必要だと主張する開発者もいる。
2022年7月、C++コミュニティーの活動を支援する非営利団体Cpp Torontoは、C++エンジニア向けカンファレンス「CppNorth 2022」を開催した。Googleでプリンシパルソフトウェアエンジニアを務めるチャンドラー・カルース氏は、CppNorth 2022の基調講演に登壇。そこでカルース氏は、新たなプログラミング言語開発に取り組む理由として、現状のC++が抱える問題を以下のように指摘した。
「GoogleはC++の仕組みを土台として、C++と互換性のあるCarbonを開発する。これによりC++の問題を解決し、C++からの移行を容易にする」と同氏は述べる。
Carbonは、C++のソースコードを含むソフトウェア開発に適している。とはいえ新たなプログラミング言語への切り替えは簡単なことではない。
調査会社Forrester Researchでシニアアナリストを務めるアンドリュー・コーンウォール氏は、C++の後継を作る上で、世の中にC++で書かれた大量のソースコードが存在することを問題視する。プログラミング言語を切り替えるということは、アプリケーションを実装した人の離職後、技巧が凝らされたソースコードを書き直さなければならないということだ。「それは大変難しいと同時に、費用もかかる」とコーンウォール氏は語る。
コーンウォール氏は「C++のモダナイゼーション(最新化)は無意味になる可能性がある」と指摘する。その理由として同氏は、新しいプログラミング言語を求める開発者は、すでに「Rust」などの別のプログラミング言語に切り替えていることを挙げる。
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