Nutanixの新規ユーザーが本音で明かす「脱VMwareの理由」は?Nutanixに移行した企業が語る【後編】

BroadcomによるVMware買収を受け、さまざまな企業がVMwareからの移行を検討している。Nutanixは2025年5月に開催したイベントにVMware製品から移行したユーザー企業を招き、座談会を実施した。

2025年06月18日 07時00分 公開
[Antony AdsheadTechTarget]

 半導体ベンダーBroadcomによる仮想化ベンダーVMware買収以降、さまざまなユーザー企業がVMware製品からの脱却を検討しており、そのチャンスを競合ベンダーが狙っている。

 Nutanixは2025年5月に開催した年次イベント「Nutanix .NEXT 2025」に、VMware製品からNutanix製品に移行した3つの組織の担当者を招き、移行の経緯について対談した。各組織はどのような経緯で仮想化基盤の移行を決めたのか。

各組織が脱VMwareをした経緯とは

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連載:Nutanixに移行した企業が語る

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VMwareからの移行の現実


 Nutanixのイベントで対談した人物は次の通り。

  • オーストラリアで土木業務や鉱山開発業務を営むGolding Contractors(以下、Golding)のIT管理者ドム・ジョンストン氏
  • 三井住友海上火災保険(MSIG)の子会社であるMSIG Asiaのインフラ・業務担当バイスプレジデント、キー・ユー・ウェイ氏
  • 米国海軍で、病院船(負傷兵や海難者らを収容し、治療しながら輸送する船)の「Mercy」と「Comfort」を運用するマイク・テイラー氏

テイラー氏 最初に病院船のデータセンターを見たときのことはよく覚えている。ラックは5台しかなく、その5台のうち2台はサーバインフラを運用するためだけに使っていた。同僚の1人は「あれ、まだSAN(ストレージエリアネットワーク)ディレクタ(データセンター用スイッチ)を使っている」と言った。当時、SANは時代遅れになりつつあった。

 一方でNutanixは当時、既にハイパーコンバージドインフラ(HCI)を実現していて、独自のソフトウェアがあり、そのソフトウェアはITエンジニアにとって分かりやすかった。

 われわれはBroadcomの買収による影響は受けていない。われわれはそれ以前にNutanixを導入開始した。2025年5月現在も、一部の仮想化基盤にはVMware製品を使い続けている。問題は金銭ではなく、アップデートできないことだ。Broadcomの買収以降、われわれが最も影響を受けているのは更新プログラムのダウンロードなどの保守サポートだ。もしNutanixに移行せず、純粋にVMwareのハイパーバイザー「ESXi」だけを使い続けていたら金銭面が負担になっていただろう。

ジョンストン氏 Amazon Web Services(AWS)とVMwareの関係が変化して以降、VMwareからオンデマンド災害対策(DR)クラスタは使えなくなったと通知が来た。同社の説明によると、DRクラスタを起動する前に本番クラスタの電源を落とせば、基本的にわれわれのDRプランは引き続き使用できるということだった。われわれは毎月DRクラスタをテストしていたが、もうそれができなくなった。

ウェイ氏 コストが全てだった。最後の更新時の請求額は4倍から5倍になった。ワークロード(処理やタスク)を全てNutanixに移行させるきっかけとなったのは、この要因が大きかった。

―― Nutanixに切り替えた代償は。VMwareと同じ機能を利用できているか

テイラー氏 代償はあったとしても、軽微だ。私のチームはVMwareのツールに精通していた。Nutanixのツールの操作も短期間で習得できたが、学ぶ必要はある。例えばOVA(Open Virtual Appliance)ファイルをインポートする方法は、VMware製品とは異なる。だが、移行の代償があるとしたら、機能面ではなく学習に必要な時間だけだ。

 それどころか、ハイパーバイザーとしてAHVを使うことで、機能はむしろ強化されたと考えている。セキュリティに関しては、仮想化製品を軍で使うためには脆弱(ぜいじゃく)性スキャンの結果を提出する必要がある。セキュリティを維持して常に最新の状態に保つのは非常に骨が折れる。Nutanix製品であればその負担が軽減される。

ジョンストン氏 代償や機能については、2つのツールの違いに関する用語や形式の違いに過ぎない。Nutanix製品がスナップショットを処理する方法は、VMware製品がスナップショットを処理する方法とは異なる。われわれはその差を学ぶ必要がある。チームには準備を整えさせ、トレーニングを受けさせ、何をすべきかを示す必要がある。

 損なわれた機能はないと思う。いわばOSを「Windows 10」から「Windows 11」に移行するようなものだ。機能の場所は違っても機能そのものはほとんど変わらない。

ウェイ氏 代償はないと思う。10年前であれば、他のベンダーのソフトウェアとの互換性が問題になった可能性があるが、今は違う。

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