看護師の給料が「ゼロ円」に――給料未払い問題の“意外過ぎる”原因とは医療機関に見るシステム移行の難しさ【前編】

給与支払いトラブルが発生した、米国の医療機関Santa Rosa。その背景には、給与計算システムに関する“ある変化”があったという。その変化とは何なのか。

2022年09月17日 08時30分 公開
[Patrick ThibodeauTechTarget]

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 米国カリフォルニア州にある医療機関Santa Rosa Memorial Hospital(以下、Santa Rosa)の正看護師ピーター・ブラックナー氏は、同院の看護職員組合長を務め、給与支払いトラブルに関する組合員からの相談を受ける立場だ。よくあるトラブルとしては、給与額の誤り、勤務時間の計上漏れ、賞与の未払い、シフトの計算違いなどがあるという。Santa Rosaは、米国の医療グループProvidence St. Joseph Health(以下、Providence)が運営する医療機関の一つだ。

謎の「給料ゼロ円」問題を招いた意外な原因とは?

 2022年7月初旬、Santa Rosaで給与支払いトラブルが発生した。Providenceが系列医療機関50件以上の給与計算システムを新システムに移行させた後のことだった。このときProvidenceは、人事、給与計算、財務、サプライチェーンといったモジュールを含むERP(統合業務)パッケージから、Oracle製クラウドERP(クラウドサービス形式のERPパッケージ)に移行した。Providenceの系列医療機関のうち、Oracle製クラウドERPへの移行で問題が発生している医療機関の総数は不明だ。

 オレゴン州在住の、あるProvidence従業員は最近、給与計算システムの問題について集団訴訟の地位を求める訴えを起こした。ブラックナー氏によると、給与が全く支払われていない看護師もいた。Providenceがグループ内の問題解決用に運用するチケット管理システムでは、問題が解決する前にチケットがクローズされてしまうのだという。

 ERPパッケージ移行後のトラブルは珍しくない。米国で20件以上の医療機関を運営する医療グループSutter Healthでも同様の問題が発生している。Sutter Healthは人事・給与計算システムをLawson Software製品からWorkday製品に移行中だ。それ以外のERP機能については今もLawson Softwareのシステムを使用している(Lawson Softwareは2011年にInforに買収されている)。

 カリフォルニア州にあるSutter Health系列の医療機関Eden Medical Centerでユニバーサルケアユニットに所属する正看護師イングリッド・ラグーバー氏は次のように述べる。「こうした給与計算のエラーが完全に解決する時期は明確になっておらず、既に発生しているエラーをSutter Healthはまだ完全には修正していない」

 ラグーバー氏によると、Sutter Healthからの説明はいずれも「不明瞭」だ。Sutter Healthは「問題の解決がいつになるかのタイムラインを示しておらず、問題の原因と解決策について明確に説明していない」(同氏)という。Eden Medical Centerで問題が出始めたのも2022年7月だ。

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